メインコンテンツに移動

ホンダなど、考えるだけでロボットを制御するBMI技術を開発


 ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン( http://www.honda-ri.com/ )と国際電気通信基礎技術研究所(ATR、 http://www.atr.jp/ )、島津製作所は、世界で初めて※1脳波計(Electroencephalography 以下、EEG)と近赤外光脳計測装置(Near-Infrared Spectroscopy 以下、NIRS)を併用し、加えて新たな情報抽出技術を使用することで、ボタンを押すなどの身体を動かす動作が不要な、考えるだけでロボットを制御できるブレイン・マシン・インターフェース(Brain Machine Interface 以下、BMI)技術を開発した。将来的には、知能化技術やロボット技術などとの融合による、より人に優しい製品開発への応用を目指す。



 人が考えるとき、脳では微弱な電流や血流の変化が生じる。これらをいかに正確に計測・解析できるかが、BMI技術の開発で最も重要な点である。新開発のBMIは、脳活動に伴う頭皮上の電位変化を計測するEEGと、脳血流の変化を計測するNIRSを併用し、これら二種類の複雑な情報を統計処理する情報抽出技術を新開発した。これにより、人が考えるだけで脳活動を高精度に判別することを可能とした。また、2006年に発表したBMIで用いた機能的核磁気共鳴画像(functional Magnetic Resonance Imaging 以下、fMRI)装置は、大型で、かつ強力な磁場が発生するため使用環境が限られていたが、新開発の計測装置には、より小型のEEGやNIRSを用いることで、様々な場所に移動して使用することを可能とした。



 実験では、はじめに、使用者の頭部にEEGとNIRSのセンサーを装着する。次に、使用者に4つの選択肢※2から選んだ1つを提示。使用者は身体を一切動かさずにその選択肢をイメージし、その際の脳活動に伴う脳波と脳血流の変化を同時計測する。計測されたデータはリアルタイムで解析され、使用者のイメージを判別する。その結果を受け取ったASIMOが手や足を上げるなどの動作を行う。今回の実験では、世界最高水準※3の90%以上の正答率を達成した。



 ホンダは、2005年よりATRとともに人と機械をつなぐ新しいインターフェースの可能性を探るべく、BMI技術の研究・開発を行っている。両社の共同研究の結果、2006年5月には、fMRI装置を用いたBMIの開発に成功し、脳への電極の埋め込みや特殊な訓練なしに脳活動を解読し、ロボットハンドを制御することに世界で初めて成功した。


※1、3 ホンダ、ATR調べ
※2 今回の実験では、「右手」「左手」「足」「舌」の4つ。使用者には、それらの部位を使用した運動をイメージしてもらう