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NSK、高精度FA機器向け低トルク・高剛性 シール付き薄肉アンギュラ玉軸受を開発

 日本精工(NSK、 http://www.jp.nsk.com )は、FA機器向けに従来品よりも低トルク、小型・軽量、高剛性を実現する「低トルク・高剛性 シール付き薄肉アンギュラ玉軸受」を開発した。FA機器で使用される電動アクチュエータや、産業ロボットの高精度化、省エネ化、省スペース化、メンテナンスフリー化に貢献することで、2011年度に5億円の売上を目指す。

 医療・バイオ分野、光学部品、自動車など幅広い業界において、加工精度の向上や搬送工数の削減など、FA機器の高精度化、効率化のニーズが高まっている。これに伴い、搬送や加工用途のアクチュエータやロボットの関節部では、従来のギヤ駆動に代わって、高精度な位置決めを可能にするDDモータの採用が広がっており、軸受には、より一層の低トルク、高剛性への対応が求められている。

 NSKでは軸受内部仕様を最適設計、低トルク、低トルク変動を実現したコンパクトで高剛性な省エネアンギュラ玉軸受を開発、本開発品をDDモータ化が進むロボットの関節部や電動アクチュエータなどに採用することで、FA機器の高精度化、省エネ化、省スペース化、メンテナンスフリー化を図る狙い。

 製品の特徴は以下のとおり。

(1)低トルク・低トルク変動による高精度化、省エネ化
 現在、搬送装置や位置決めテーブル、産業ロボットなどには、主にクロスローラ軸受(ころ軸受)が使われている。しかしクロスローラ軸受はトルクが高いことから、転動体に玉を採用し、起動トルクを50%、動トルクを最大75%減少させることに成功。これにより大幅な省エネ効果を上げることが可能となる上、トルク変動も小さく抑え、位置決め精度を高める。

(2)コンパクト化と高負荷容量の両立による省スペース化
 玉径・玉数の最適化を実施し、熱処理、加工、装着後の軌道輪変形を防止するシール設計を行い、クロスローラ軸受同等以上の剛性、負荷容量を確保し、外径寸法を最大3割小さくし、省スペース化に貢献。

(3)長寿命化によるメンテナンスフリー化
 耐フレッチング性*1の高いグリースを封入し、シールを装着している。保持器はグリースの保持が良く耐熱性の高い樹脂保持器を開発致した。これにより、クロスローラ軸受に比べ約6倍の寿命を実現し、メンテナンスフリー化に貢献する。

*1 耐フレッチング性: 二面間の相対的繰り返し微小滑りによって生ずる摩耗。軌道輪と転動体との接触部やはめあい面に生ずる。