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ISO転がり軸受専門委員会国際会議、14年ぶりに日本で開催

 日本ベアリング工業会(会長:横山元彦・ジェイテクト社長)は10月2日、6月29日~7月3日に沖縄で開催されたISO/TC4(転がり軸受専門委員会)国際会議について、概要を報告した。

 開催されたのはISO/TC4と、その下にある六つのSC(分科委員会)、一つのWG(作業グループ)と一つのAd hoc会議(特別会議)で、日本で開催されたTC4会議としては、1995年の横浜会議以来14年ぶり。今回は10ヵ国から37名が参加、主に表の議題について審議がなされた。

 最終日に行われたTC4本会議では経済産業省産業技術環境局基準認証ユニット産業基盤標準化推進室課長補佐の鬼束忠人氏が臨席、各SCおよびWGの議長または幹事(あるいはコンビーナ)より決定事項と進捗状況の報告が、以下のとおり行われた。


  1. TC4事務局から、ISOデータベースの新案に関する構造・使用方法・システムについてプレゼンがあったほか、2009 ISO UpdateとしてISOルールの各種変更や注意点、確認の説明があった。
  2. WG17(GPS:製品の幾何公差仕様)として、GPSをTC4規格に採り入れることを確認。ISO199(スラスト軸受―公差)、ISO492(ラジアル軸受―公差)、ISO582(面取寸法―最大値)の3規格で検討を行い、2013年までに改正作業の完了を目指す。次回の同会議は2010年3月15日~17日にスウェーデンで行う予定。
  3. 上記ISO199、ISO492、ISO582の改正のためのNP(新業務項目提案)を発行する。A.Gergely氏(元SKF)をプロジェクトリーダーとし、GPSの適用に向けて2009年11月16日~18日にドイツでworkshopを開催する。
  4. CAG(Chairman Advisory Group)は解散し、AG1(Advisory Group)を設立、AG1の議長立候補を受け付ける。
  5. ISO5573(用語)へのGPS関連用語採用の検討はWG18(転がり軸受用語)で行い、2009年12月31日までにレポートを出す。
  6. SC8(定格荷重および寿命)の議長としてドイツのMartin Correns氏(Schaeffler)を選出した。
  7. Ad hoc(円筒ころ)会議での討議の結果、セラミックころの規格化は時期尚早として中止することに、鋼製ころについてはWG19を設立することになった。
  8. TC4/WG7(リニア軸受用語)とTC4/WG14(鋼球および窒化ケイ素球)は業務を終了しており、解散する。
  9. SC11/WG1(スリーブ形リニア玉軸受)は業務を終了しており、SC幹事が解散手続きをする。
  10. CAG(TC4組織検討)の会議結果により、従来のSC6(インサート軸受)の業務範囲を拡大、新SC6(玉軸受・インサート軸受・鋼球)とし、新SC6の幹事国に日本がノミネートされた。投票で承認が得られれば、TC4において、初めて日本がSC幹事国となる。
  11. 次回TC4国際会議は2011年6月にヨーロッパで、2013年には中国で開催する予定。


 日本ベアリング工業会では今回の会議について、「TC4議長であるGorenne氏(元SKF)より“完璧な準備と運営に深く感謝する”との讃辞をいただく成功を収めた。こうした地道で誠実な貢献が国際標準化活動における日本の存在感を示し、今後の日本の発言力強化にもつながっていく」と評価しながらも、「欧州勢会議出席メンバーの多くが古参であるのに対し、日本の参加者は定期的に代わっていく」との現状を踏まえ、今後TC4会議で日本がリーダーシップをとるには長期間にわたり参加可能な人材の育成と確保が必要、と強調している。