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第83回『アイ・ラブ・トラブル』

 ライバル紙の事件記者の男女が、列車事故にからむ陰謀をめぐりスクープ合戦を繰り広げるロマンティック・サスペンス・コメディ。

 事件記者から作家になったシカゴ・クロニクル紙の名物コラムニスト、ピーター・ブラケット(ニック・ノルティ)は、ピンチヒッターとして出掛けた列車の脱線事故の現場の取材で、ライバル紙であるシカゴ・グローブ紙の美人記者サブリナ・ピーターソン(ジュリア・ロバーツ)と出会う。ピーターが新米と侮っていたサブリナは、翌朝の朝刊で列車事故に紛れて殺された男のスクープを掲載、ピーターは本腰を入れて事件を追い、2紙の事件記者によるスクープ合戦が始まる。二人は事件の背景にチェス化学の開発したLDFという、子牛に乳を出させる画期的な物質があることをつかむが、真相に迫るにつれ、二人の身に危険が迫っていく。

 サブリナが危険を冒し夜間に潜入したチェス化学では、不思議なことに近代的な本社ビルで牛が飼われている。実験のためということであろうが、整然としたオフィス内に柵もなく牛がいるのは、何とも不思議な光景である。この牛たちのために、夜間にピック・アンド・プレイスのロボットが定期的に干し草を運んでいる。自動車のラインなどで部品をつかんである場所においていく、あの典型的な産業用ロボットである。たぶんこの干し草にLDFという物質を配合しているのだろう。どこか、夜間に蛍光灯をつけて鶏に昼だと錯覚させ、卵を多く産ませる仕組みを連想させる。

 アクションを抑えたニック・ノルティと少し色気を抑えたジュリア・ロバーツのコミカルな役どころと、二人の巧みな化かし合い、恋の行方と、スリリングな場面でのメカの活用も見逃せない。