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神戸製鋼所、加工性や遅れ破壊特性に優れたTBF型1180MPa級自動車用冷延ハイテンを開発

 神戸製鋼所( http://www.kobelco.co.jp )は、加工性や遅れ破壊特性に優れた「TBF型1180MPa級自動車用冷延ハイテン」を開発、日産自動車の新車種でボディ骨格の主要部品に採用が決定したと発表した。

 同社は、新しいミクロ組織のTBF型ハイテン(980MPa級から1470MPa級まで)でメニュー化および一部の実用化をすでに実施してきた。今回、同組織を活用し、対象部品の材料要求特性達成に向け日産と共同で検討した結果、特に加工性に重要な伸び特性を向上させ(従来の約2倍)、遅れ破壊特性にも優れるTBF型1180MPa級ハイテンの開発に成功した。また、日産でのスポット溶接工法等の開発を経て、2013年発売予定の新車種のボディ骨格部品への採用が決定した。1180MPa級ハイテンが、ボディ骨格に採用されるのは、世界初になるという。

 神戸製鋼所は、USスチールとの合弁会社である米国プロテック社において連続焼鈍設備(CAL:冷延鋼板製造設備)の導入を決定しており、欧州での技術提携、インドおよび中国においても共同事業の検討を開始するなど、グローバルハイテン戦略を薄板事業の中核と位置づけている。また、鋼板の高機能化のみならず、同社独自の超ハイテンプレス加工技術やフェストアルピーネ クレムス社(オーストリア)と共同開発した超ハイテンロールフォーム技術、さらにグループ会社である日本高周波鋼業の超ハイテン用金型材料技術などのソリューション技術を引き続き、日系自動車メーカーに提供していく。

※ TBF型ハイテン(Trip aided Bainitic Ferrite)
 高強度の組織(ベイニティックフェライト相)に加工性を向上させる組織(残留オーステナイト相)を微細に分散させることで、強度と加工性(伸び特性)の両立を可能とし、さらに、遅れ破壊特性にも優れることが特長。