理研など、CNTを従来の1000倍高分散化させて配向性や電気伝導性の制御が可能な液晶材料を開発

 理化学研究所( http://www.riken.jp )と東京大学、筑波大学は、カーボンナノチューブ(CNT)を従来の1000倍も高分散化させて、配向性や電気伝導性の制御を可能とした液晶材料の開発に成功した。

 優れた機械特性や電気特性を持つCNTは、新規材料として産業利用が期待されている。この特性を生かすためには、CNTを1本1本のレベルまで高分散化させる必要がある。しかし、従来の液晶にCNTを混合する方法では、配向制御は可能となるものの、液晶との親和性が悪く実用化するための充分な量を分散させることができなかった。一方、これまでの研究から、CNTの表面はマイナス電荷を帯びたパイ電子(パイ軌道にあり、パイ結合に関与する電子。有機伝導体や炭素材料において電気伝導を担う)が豊富に存在するため、プラス電荷を帯びたイオン液体とは親和性が良いことが明らかになっていた。

 今回、共同研究グループは、配向性に優れ、かつイオン液体よりもイオン化した部位が多いイミダゾリウム(窒素原子2つを含む5員環)を有するイオン液晶にCNTを混合したところ、5~10重量%にもおよぶCNTが極めて効率的に分散化することを見出した。

 これは従来の液晶に比べ1000倍も大きな量となる。また、混合物を詳しく調べたところ、CNTとの混合により液晶が垂直配向すること、剪断力や加熱により液晶とCNTの配向方向を独立に制御可能であること、さらにはCNTの配向によっては電気伝導特性が2桁以上も変化することを明らかにした。今後、ソフトエレクトロニクス(伸縮性を持つ導電材料によるエレクトロニクス)の実現に向けたCNT複合材料開発への応用が期待できる。

イオン液晶とCNTの混合の様子と得られたペースト状混合物イオン液晶とCNTの混合の様子と得られたペースト状混合物:150℃で30分程度混ぜ合わせると、黒いペースト状の混合物が生成。CNTの混合比を5~10重量%程度まで増やしても混合物は流動性を保ち、室温でも液晶を形成。