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三菱重工業、ボーイング787向けに100号機目となる複合材主翼を出荷

 三菱重工業は、米国ボーイング社の最新鋭中型ジェット旅客機787型機向けに100号機目となる複合材主翼を名古屋航空宇宙システム製作所大江工場(愛知県名古屋市港区)から出荷した。2007年5月の初号機出荷から約5年半かけての達成で、記念の複合材主翼は、同工場に隣接する東名古屋港埠頭から船で中部国際空港に運ばれた後、専用貨物機でボーイング社チャールストン工場(サウスカロライナ州ノースチャールストン市)へ輸送されることとなる。

 複合材主翼は、旅客機では787型機が初めて採用したもの。炭素繊維と樹脂を組み合わせた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製で、従来のアルミ合金やチタン合金に比べ強度・剛性および耐蝕性に優れる。また、最新の空気力学に基づく機体形状の効果とも相まって大幅な軽量化と従来機比約20%の燃費向上を達成、最高レベルの環境パフォーマンスを実現した。

 このような数々の優れた特徴を持つ787型機の需要は順調に拡大を続けており、三菱重工業においても複合材主翼の増産を求められている。そのため、複合材を硬化するために2006年から稼働している世界最大級のオートクレーブ(複合材硬化炉)1号機に加え同型の2号機を2011年に導入、また、一層の生産性向上のための自動孔明機などを採用するなどして、生産のレートアップに努めている。

 同社は今回の複合材主翼100号機出荷を弾みとして、さらなる生産性向上に取り組むとともに、大型複合材主翼の設計・製造で比類ない技術を確立して、航空宇宙分野の新たな機体開発などを図る。