コベルコ科研、FPD向け酸化物半導体評価用差動マイクロPCD装置を開発

 コベルコ科研は、フラットパネルディスプレイ(FPD)の薄膜トランジスタ(TFT)に用いられる酸化物半導体の特性を評価することが可能な差動マイクロPCD装置を開発した。

 本装置の実現により、TFTを形成することなく、インラインでTFT特性評価が世界で初めて可能になったという。これにより、高輝度化・低消費電力化の実現に向けて注目の高い酸化物半導体の歩留向上に貢献する。

 同社は、低温ポリシリコン(LTPS)薄膜向け差動マイクロPCD装置を長年手掛けてきたが、神戸製鋼所の技術協力により得られたTFT形成の初期工程である酸化膜成膜段階で、TFT形成後の性能が予測可能であるとの知見をもとに、活用ノウハウを開発し、独自の判定手法を組み込むことで、酸化物半導体向けに展開、すでに一部のFPDメーカーに納入を始めている。

 差動マイクロPCD法は、励起光源としてのレーザーと、時間に対するキャリア数の変化を捉えるプローブとしてのマイクロ波を利用した測定手法であるマイクロPCD法を神戸製鋼およびコベルコ科研が独自に改良し高感度化した手法であり、これにより得られる再結合ライフタイムは、微量の欠陥や汚染に鋭敏に反映し、電極付けなどを必要とせず非接触、非破壊で評価できることから、SiウェーハやSiデバイスの製造工程の代表的な管理技術となっている。コベルコ科研では10年前から、高精細FPDパネル向けLTPS薄膜の結晶化評価に差動マイクロPCD法を適用し、多くLTPS-FPD量産工場で採用されるに至った。

 今回、これまで培った差動マイクロPCD法による半導体評価技術を、近年注目が高まっているInGaZnOをはじめとする酸化物半導体薄膜に適用してその信号波形を解析したところ、TFTの移動度や安定性の評価が可能であることを見出した。これまでは、TFTを実際に形成した後でなければその性能の評価ができなかったが、今回開発した差動マイクロPCD装置は、酸化物半導体を成膜した直後で、その特性を評価することが可能で、絶縁膜等が積層されたデバイス構造においても評価可能だという。

 これらの知見により、差動マイクロPCD装置を研究開発(R&D)時および量産ラインに適用することで、酸化物半導体TFTの特性を適切に管理でき、酸化物半導体を用いたFPDの開発を加速するとともに、量産時における歩留まり向上に貢献する。