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NTN、軸の回転トルクを60%低減する自動車変速機用シールリング

NTN「低トルクシールリング」 NTNは、樹脂複合材料の組成を最適化するとともに、シールリング側面に特殊形状の潤滑溝を設けることにより低トルク、低摩耗、低オイルリークを実現した自動車変速機用シールリング「低トルクシールリング」を開発した。

 自動変速機(AT)や無段階変速機(CVT)には、外径15~60mmの樹脂製シールリングが4~10個使用されている。シールリングは変速機の油圧回路内で相対運動する軸とハウジングの間に組み付けられ、摺動しながらオイルを密封する役割を果たしている。自動車の燃費基準がますます厳しくなる中で、変速機のシールリングには一層の低トルク、低オイルリークのほか、信頼性向上が求められている。

 同品は、特殊充填剤を配合したPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂を用い、射出成形を行う際、シールリングの側面にV字状の潤滑溝を形成した。また、V字状溝の形状を最適設計し、オイルリーク特性を確保しながらシールリングを組み付ける軸溝側面との接触面積を小さくした。さらに、摺動面への油の供給性を改良し、潤滑状態を向上させた。この結果、従来品に対し、軸の回転トルクを60%低減することに成功し、摩耗量についても最大1/10と大幅に向上させた。加えて、材料組成の見直しにより、シールリング幅を30%低減させた。これにより、ATやCVTの高効率化、小型化を図る。


 同社では、同品を省エネルギーを図る商品として、すでに自動車用変速機メーカーに提案を開始しており、今後、農業機械や建設機械用変速機への用途拡大も図る。