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日立金属、希土類磁石スラッジの環境親和型リサイクル方法を開発

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スラグ(左)と銑鉄(右)スラグ(左)と銑鉄(右) 日立金属は、希土類磁石の生産過程で発生する加工くず(スラッジ)から、希土類元素と鉄を回収できる新しいリサイクル方法を開発した。希土類元素を高い回収率で回収できるだけでなく、環境への負荷を抑え、これまで埋め立て処理をしていた鉄くずも再利用可能な銑鉄として回収することが可能となる。

 同社は製鉄において使用されている直接還元製鉄法を、焼成したスラッジ(焼成スラッジ)に適用することによって、希土類元素を抽出できるリサイクル方法(炭素熱還元法)を開発した。

 焼成スラッジを鉄鉱石に見立てて炭素とともに加熱することによって、希土類元素をスラグ(スラッジ上に浮上する物質)として回収する。試験結果では、希土類元素抽出にかかる時間が従来の湿式法に比べて短く、回収率も高くなることを確認した。さらに残った鉄くず(酸化鉄)は、再利用可能な銑鉄となる。また、炭素熱還元法は酸による抽出ではないため、酸の使用をホウ素抽出時のみに減らすことが可能であり、環境への負荷が低減されるという。

 同社は、2014年度中を目標に本リサイクル方法の実用化の検討を進め、環境親和性の高い国内完結型の希土類磁石のリサイクルまでを含めたサプライチェーンの構築を目指す。