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テルモ、生体吸収性ステントを開発する仏ART社の独占買収権取得に関する契約を締結

 テルモ)は、生体吸収性ステントを開発するフランスのArterial Remodeling Technologies社(ART社)の独占買収権取得、同社との薬剤溶出型生体吸収性ステントの共同開発および同社への段階的な投資に関する契約を締結した。

 ステントは、狭窄(きょうさく)や閉塞した血管の内腔を拡げる筒状の埋め込み型治療機器で、心臓の冠動脈における狭心症、心筋梗塞の治療などに使用する。近年では、留置後の再狭窄(さいきょうさく)の抑制を期待し、金属製ステントに塗布した薬剤が徐々に周囲の組織に放出される薬剤溶出型冠動脈ステントが多く使用されている。

 また次世代技術として、体内で分解、吸収される生体吸収性ステントへの注目が高まっているという。従来の金属製ステントのように体内に残らないため、血栓症の低減、また抗血栓薬の服用期間の短縮などが期待されている。世界では現在、年間約500万本以上のステントが使用されているが、最近の学会では、2020年には650万本へ増加、そのうちの半数以上が生体吸収性ステントになるとの報告がされているという。

 テルモは冠動脈治療領域において、金属製薬剤溶出型ステント「ノボリ」を欧州や国内などで販売しているほか、後継品の「Ultimaster(アルチマスター)」がCEマークを取得し、2014年6月に発売予定。今回、標準的に使用されると見込まれる生体吸収性ステントを取り組むことで、今後、金属製薬剤溶出型ステントと合わせた両輪での成長を図る。

 同社では、生体吸収性および金属製薬剤溶出型ステントを合わせたステント全体のピーク時の売り上げを約500億円と見込んでいる。