産総研、単層カーボンナノチューブを効率的に分散できる分散剤

 産業技術総合研究所 スマートマテリアル研究グループの松澤洋子主任研究員は、少量の添加で効率よく単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を分散でき、光を当てるとほぼ全量を簡単にSWCNT表面から外せる光応答性SWCNT分散剤が、不純物を含んだSWCNTの非破壊的な精製プロセスに適用できることを実証した。

 SWCNTをはじめとする各種のカーボンナノチューブは、水にも有機溶媒にも分散し難い点が応用上の制約の一つとなっている。SWCNTの半導体型と金属型の分離技術や透明導電膜作成といったデバイスへの搭載技術では、SWCNT分散化技術の高度化は必須である。

 従来、産総研は光応答性SWCNT分散剤を開発していたが、今回、この分散剤は現在知られている最も高性能なSWCNT分散剤に匹敵する高効率な分散能をもつことを、各種評価法により明らかにした。また、この分散剤は光反応により数時間でほぼ全量を外せることを熱重量分析により確認した。さらに、この分散技術と超遠心分離を組み合わせることで、SWCNTを非破壊的に精製できることを実証した。これにより、不純物を含むSWCNTサンプルを実験室スケールで簡単に精製できるようになった。

 今後は、不純物の除去率向上や光による脱離時間の一層の短縮など、精製プロセスを最適化する。SWCNTのデバイス実装技術を目指した光応答性分散剤の固体中での光反応については、この分散剤を用いてSWCNT分散液由来の固体膜を作成し、フォトリソグラフィーによるSWCNT薄膜の微細加工技術の開発へと展開していく予定である。