NEDO、福祉用具開発3テーマに実用化支援

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、歩行補助システムなど福祉用具の新たな三つのテーマについて、実用化支援を行う。福祉用具の開発時のリスクを低減し、高齢者、心身障害者および介護者のQOL向上に寄与することを目指す。

 日本は、高齢社会の急速な進展に伴い、心身の機能が低下し、日常生活を営むのに支障のある高齢者や心身障害者の自立を促進するとともに、介護者の負担の軽減を実現する福祉用具の開発が強く求められている。しかし、福祉用具は、高齢者や心身障害者および介護者がユーザーであり、使用用途や身体の障害度合いが人によって異なり、個別用具ごとのマーケットが小さい多品種少量生産の製品であるため、事業者は大きな開発リスクを抱えているのが現状だという。

 こうした背景のもと、NEDOは1993年以降、「課題解決型福祉用具実用化開発支援事業」において、福祉用具の開発を行う企業等に対して実用化支援を継続的に実施している。今回は、歩行補助システム、ALS(Amyotrophic lateral sclerosis)患者等向け非接触型スイッチ、英語対応点字翻訳システムの開発の新たな三テーマに助成を行い、高齢者、心身障害者および介護者のQOL向上に貢献することを目指す。採択テーマと助成先は以下の通り。

あらゆる状況に歩行補助できるMy地図端末機器の開発
 視覚障害者の自立歩行を補助するため、全地球航法衛星システムと準天頂衛星システムとを組み込んだ高精度位置情報検出機器を用いて、独自の地図データベースとして歩行経路の目印情報をクラウドに登録することにより、使用者専用の地図データベースを作成し、歩行を補助するシステムを開発する。歩行誘導は骨伝導ヘッドホンによる音声案内およびアイウェアに取り付けた小型カメラによる信号機の色判断システムを基本とし、登録ルートから外れた時には、警告音を鳴らし、定めたルートに戻れるように誘導できることを特徴とする。
【助成予定先】ニュージャパンナレッジ、フォルテ

スマートフォン、骨伝導スピーカー等を用いた歩行補助システムスマートフォン、骨伝導スピーカー等を用いた歩行補助システム

視線や目・瞼の動きで意思伝達装置等を操作するスイッチの開発
 従来におけるALS患者等向けの意思伝達装置・コール機器・環境制御装置を視線により操作するスイッチは、眼瞼下垂・眼振・瞳可動域が小さいなどの症状により、視線操作が困難だった。本研究開発では、視線の検出精度向上のために患者単位でパラメータ調整を行う機能を追加するとともに、目やまぶたの動きを画像解析する機能を新たに加え、患者ごとに動きの大きさを測定し、動きの大きさからON/OFFが調整できる非接触型スイッチの開発を行う。
【助成予定先】エンファシス

マルチデバイス・英語対応点字図書製作システムの開発
 障害者差別解消法が施行され、合理的配慮の観点から行政機関のみならず民間の事業者も「点字」で情報提供を行うことは非常に重要になっている。従来の表記方式である「アメリカ式表記(EBAE)」から、「統一英語点字(UEB)」への変換機能を開発し、再点訳することなく読者へ提供することで表記方式の違いによるバリアを取り除くとともに、点訳作業の負担軽減を目指す。
【助成予定先】テクノツール