フェローテック、オートモーティブ プロジェクトを始動

 フェローテック( http://www.ferrotec.co.jp/ )は本年1月に「オートモーティブ プロジェクト」を立ち上げ、自動車のマーケットを部門横断的に攻略していく。第一弾として、1月17日~19日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された「オートモーティブワールド2018」に出展、燃費向上につながる自動車の軽量化や、電動化、自動運転化などに取り組む自動車業界に対し、磁性流体やサーモモジュールの新しい適用を提案した。
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 フェローテック創業の技術である「磁性流体」は、流体でありながら外部磁場によって磁性を帯び磁石に吸い寄せられる機能性材料。磁性流体の液体Oリングをシャフト上に形成して外部からのコンタミを防ぐ磁性流体シールは、真空シールとして半導体製造装置などで多くの実績を持つ。自動車分野では、磁性流体の放熱効果やダンピング効果などによる高音質化や小型化などからスピーカーに採用されているが、今後はドライビングフィール向上や電動化対応などで適用拡大を狙う。

 その一つが「アクティブダンパー」への適用だ。磁性流体は磁性微粒子と界面活性剤、ベース液という三つの主要成分で形成されるが、フェローテックでは従来よりも大きい磁性粒子からなる「振動制御用 新磁性流体」を開発、印加磁場によって磁性粒子の配列を制御し振動をアクティブに制御する「アクティブダンパー」への適用を提案する。開発品は、同用途の市場で既に採用されている磁気粘性流体(MRF)に比べ、印加磁場の強さによってせん断力(粘性)がより大きく変化し、エンジンやシートなどの振動吸収にも適用できると考えている。同社では磁気応答性や安定性の高さなどをアピールして、採用を促していく。

 また、磁性流体は磁界を作用させることで磁化するが、磁界を取り除くとすぐに磁化が消失する、いわゆる「超常磁性」を示す。磁性流体をベースにした超常磁性を有する唯一の固体材料Hzero®が公開されたが、これを磁性コアとした「直流電流測定センサ」は、ゼロ点まで精度良く測定できるものである。リチウムイオン電池では、過放電と過充電を避けるために安全マージンをかなり大きくとっているが、より精度良く充電レベル(SOC)を推定できるようになることで、車載バッテリーの利用効率の向上、電気自動車(EV)の走行距離延長につながる。

 さらに先述のHzero®コンポジット材料は、高い周波数でも磁気応答性が優れた特徴をもつが、各種樹脂材料に磁性流体を均一に分散させ練り込むことで固形物、ゴム、ゲル、スポンジ材料から、接着剤といった形で提供できる。例えばモーターなどにおいて、磁気ヒステリシスがない磁性材料によって鉄損をゼロにすることで、エネルギー効率を改善できる。「国内の産業用モーターの効率が1~2%改善されると原発1基分の電力量を削減できると言われているが、モーターの使用がますます増えていく自動車業界において、省エネ、バッテリー寿命延長に貢献できる」(同社FF営業部長・廣田泰丈氏)と見る。

 一方、同社のサーモモジュール製品は、売上の30%が自動車向けであり、そのメインが、自動車用温調シート向けである。サーモモジュールは、電気を通すと片面が温まり、もう片面は冷やされる半導体冷熱素子。

 小型、軽量でフロンを必要とせずに温度制御を行えることから、カップホルダーなどへの検討が自動車メーカーで進んでいるほか、夏場/冬場に熱くなりすぎたり冷たくなりすぎたりしないようサーモモジュールを組み込んだ「温調ステアリング」も採用が検討されている。
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 また、ヘッドアップディスプレイ(HUD)において、高強度レーザーを照射して走行データをフロントガラスに投影するレーザープロジェクターでは、熱によって色調やコントラストが変わってしまう問題があり、省スペースで温度制御が可能なサーモモジュールの採用も始まってきている。

 さらに、「採用が有力な、レーザー光を使ったレーダー『LiDAR(ライダー)システム』や、より遠方の照射を可能にするレーザーヘッドライトなどでも、温度制御が必要になる。大空間の温度調整には不適だが、局所的な温度制御では、小型、軽量、低消費電力、低コストで環境負荷のないサーモモジュールが有用」(同社TE営業部長・八田貴幸氏)と、自動運転を見据えた各種システムについても、提案を進めていく。

 フェローテックでは、磁性流体とサーモモジュールを中心とした製品技術のアプリケーション拡大によって、自動車向けの売上高を現在の50億円から3年間で200億円に拡大したい考えだ。