メインコンテンツに移動

mst配信ニュース 表面改質の情報サイト

DIC、めっき可能なPPSコンパウンドを開発

3ヶ月 1週 ago
DIC、めっき可能なPPSコンパウンドを開発

 DIC( https://www.dic-global.com/ja )は、塚田理研工業および吉野電化工業と共同で、めっき可能なPPSコンパウンド「DIC.PPS MP-6060 BLACK」(以下「MP-6060」)を開発した。本開発品とめっき技術の組み合わせにより、特殊なエッチング工程を必要とせず、既存のプラスチックめっきラインでスーパーエンプラPPSの金属めっき処理が量産可能となる。

 PPSに金属めっきをすることにより、耐久性が必要とされる電子機器筐体やコネクタなどの金属部品の樹脂化と電磁波シールドの両立が可能となる。特に、電動化や自動運転化が進む車載部品では、ECU(電気制御ユニット)やADAS(先進運転支援システム)の筐体などの樹脂化が軽量化につながり、燃費効率と航続可能距離を向上させることで、性能とサステナビリティの両面での貢献が見込まれる。今後、電気自動車(EV)やPCなど耐久性が必要となる電子機器分野を中心に需要を取り込むことで、2030年の売上高30億円を目指す。

 PPSはスーパーエンプラとしての耐久性や軽量化、加工性などの長所から、車載電子機器などに使用されてきた。金属等の電気導体では電磁波の遮蔽効果が得られるが、プラスチックは電磁波を透過するため、筐体として電磁波を防ぐにはプラスチック表面に金属皮膜を形成するなどの電磁波シールド技術の使用が必要となる。しかし、PPSはその高い耐薬品性から一般的なプラスチックめっきで用いられるエッチング溶液が前処理に使用できず、金属膜との密着が難しいとの課題があった。これまで、めっきの密着性を付与するためにブラスト処理、プラズマ処理、フッ酸処理、濃硝酸処理などの特殊なエッチング工程が必要だったという。

 今回、同社が開発したMP-6060は、クロム酸などの汎用溶液でのケミカルエッチングが可能で、既存のプラスチックめっき設備で金属めっきが可能となった。

MP-6060のめっき工程無電解・電解めっきの比較

 

admin 2024年1月12日 (金曜日)
admin

川崎重工、民間航空機分野のNadcapの議決メンバーに加入

3ヶ月 1週 ago
川崎重工、民間航空機分野のNadcapの議決メンバーに加入

 川崎重工( https://www.khi.co.jp )は、民間航空機分野における世界的な特殊工程認証制度であるNadcapにおいて、認証ルールや基準策定の議決メンバーであるサブスクライバーとしての登録・加入が認められた。これは、同社が世界的に信頼性の高い航空機およびエンジンメーカーとして認められたもので、そのうち同社は日本で2例目となる。

 Nadcapは、1990年に開始された世界標準の認証プログラムで、米国PRI社(Performance Review Institute)が第三者機関として、民間航空機製造の特殊工程審査を行う。Nadcapサブスクライバーとして認められた世界の航空機およびエンジンメーカーが特殊工程の世界標準となる認証ルール・基準を策定している。

 同社は従来からNadcap認証のもと民間航空機事業および民間エンジン事業を展開しているが、サブスクライバーとなったことで、新たにNadcapの認証ルール・基準策定に同社の保有技術や知見を生かすことができるようになる。

 また、Nadcap認証を取得しているサプライヤーに対しては、川崎重工によるサプライヤーごとの審査に替えて、PRI社による審査結果を活用することで、審査の標準化および審査数の削減による効率化につながる。さらに、サプライヤはNadcap認証を取得することで、顧客ごとに異なる審査を受けていたものから、PRI社の審査のみとなることで受審回数を削減でき、経済的・時間的なメリットを享受することができる。

 

 Nadcapの特殊工程とは、浸透探傷検査や放射線透過検査などの非破壊検査、熱処理、めっきなどの表面処理、溶接、レーザー加工、複合材部品の成型や接着作業などの複合材加工、ショットピーニングなどの製造工程が該当し、厳格な品質管理が求められ世界標準による認証が要求される。

 

admin 2024年1月12日 (金曜日)
admin

メカニカル・サーフェス・テック2023年12月号 特集「DLCコーティングの現状と最新技術動向」12月25日に発行!

3ヶ月 4週 ago
メカニカル・サーフェス・テック2023年12月号 特集「DLCコーティングの現状と最新技術動向」12月25日に発行!

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2023年12月号 特集「DLCコーティングの現状と最新技術動向」が当社より12月25日に発行される。

 今回の特集では、FCVA法によるDLC膜の三次元成膜技術の成果と課題および今後の研究動向について、同志社大学で取り組んでいるDLC膜の膜質制御と新たな被膜強度評価法について、DLC膜の光学的特性評価法のISO規格の概要とその活用方法について、大気中と乾燥窒素中のDLC膜のアルミ材によるトライボロジー特性の比較について、国内トップクラスのDLC生産量を誇る東研サーモテックの現状と今後の展開について、ガスクラスターイオンビームによるDLC膜の概要と高密度・低残留応力膜の形成について紹介する。

 

特集:DLCコーティングの現状と最新技術動向

◇PECVD成膜法およびFCVA成膜法による三次元部材へのDLC成膜と特性評価・・・鳥取大学 為野 悠人、東京工業大学 平田 祐樹

◇DLC膜の膜質制御と評価に関するこれまでの取り組み・・・同志社大学 中村 守正

◇DLC膜の光学的特性評価法のISO規格とその活用・・・DLC工業会 平塚 傑工

◇DLCコーティングのアルミ材による摩耗メカニズム・・・ナノコート・ティーエス 熊谷 泰、川本 秀士、坂下 武雄

◇DLCコーティングの特性を活用した新分野への展開・・・東研サーモテック 髙橋 顕 氏に聞く

◇ガスクラスターイオンビーム(GCIB)による高密度・低残留応力DLC膜の形成・・・野村鍍金 西山 昭雄、吉川 亮太、兵庫県立大学 豊田 紀章

連載

注目技術:半導体製造プロセス向けDLCコーティング・・・日本コーティングセンター

トピックス

表面設計コンソーシアム、設立講演会を開催

第16回岩木賞に、神戸製鋼所、大阪大学 孫 栄硯氏、宮崎大学 大西 修氏が受賞

雑誌ご購入

定期購読はこちらから

単号のみのご購入はこちらから(外部サイト)

admin 2023年12月21日 (木曜日)
admin

日本熱処理技術協会、第28回熱処理国際会議IFHTSE2023を開催

4ヶ月 ago
日本熱処理技術協会、第28回熱処理国際会議IFHTSE2023を開催

 日本熱処理技術協会は11月13日〜16日、横浜市のパシフィコ横浜 会議センターで「第28回熱処理国際会議(IFHTSE2023)」(実行委員長:豊田工業大学・奥宮正洋氏)」を開催した。

会場となったパシフィコ横浜 会議センター

 

 IFHTSE2023にはヨーロッパやアメリカ、アジア等から多くの参加者があり、以下のようなトピックスで一般講演やポスターセッションが行われた。
・鉄鋼材料・非鉄合金材料の熱処理技術
・表面硬化技術
・焼入れ技術
・積層造形技術における熱処理および熱化学処理
・表面被覆技術
・ロウ付け
・熱処理および表面技術の金属物理
・熱処理および表面処理部品の試験・評価法
・熱処理および表面処理のモデリング・シミュレーション
・部品の残留応力と変形
・工業炉および表面処理炉
・人工知能によるプロセス制御と熱処理および表面処理の信頼性
・省エネルギーとCO2排出削減
・熱処理および表面処理の環境対策
・ショットピーニング
・鉄鋼材料・非鉄合金材料の熱処理・加工とそのメタラジー・特性

一般講演の様子

 

ポスターセッションの様子


 Plenary Lectureでは、香港の香港城市大学のLu Jian氏が「Recent development of Surface Modification: from Nanostructure to Supra-Nanostructure」と題し結晶粒微細化に関して、デンマークTechnical University of DenmarkのMarcel Somers氏が「Nitriding and nitrocarburizing; an interwoven braid of science and innovation」と題し窒化・表面硬化熱処理に関して、それぞれ講演を行った。また、Keynote Lectureでは、ハンガリーのObuda UniversityのImre Felde氏が「Biomimetic methods and AI technics assisting Heat Treatment processes」と題し熱処理シミュレーションに関して、オーストラリアのAW BellのRoger Lumley氏が「A study on the homogeneity of plastic deformation and its importance to tensile ductility in Al-Si-Cu-Mg (C355) investment castings」と題しC355インベストメント鋳造における塑性変形の均一性と引張靭性について、イタリアのUniversity of TrenoのMassimo Pellizzari氏が「Heat Treatment for Additive Manufacturing」と題し積層造形における熱処理に関して、九州大学の土山聡宏氏が「Microstructure control of a medium manganese steel by combined interrupted quenching and intercritical annealing」と題し合金設計と組織制御に関して、ドイツIWTのRainer Fechte-Heinen氏が「Quenching and Distortion」と題し焼入れプロセスにおける歪み形成に関して、横浜国立大学の高橋宏治氏が「Effects of laser peening on the very high cycle fatigue strength of additively manufactured maraging steel」と題し3D積層造形した金属材料のレーザーピーニングによる疲労強度向上に関して、それぞれ講演を行った。

ドイツIWTのRainer Fechte-Heinen氏によるKeynote Lectureの様子


 また、各地域の熱処理の特色や現状の課題、今後の展開についての情報提供および議論を行う「熱処理サミット」が開催された。アメリカIpsen InternationalのJanusz Kowalewski氏がアメリカの熱処理事情について、ドイツIWTのRainer Fechte-Heinen氏が「ヨーロッパの熱処理事業について、DOWAサーモテックの加賀誠士氏がアジア地域の熱処理市場について、日本金属熱処理工業会副会長でメタルヒート社長の原敏城氏が日本の金属熱処理業界動向について、日本熱処理技術協会副会長で日本パーカライジング フェローの渡邊陽一氏が日本の熱処理技術の最近の研究開発動向について、それぞれ発表した。

熱処理サミットの様子

 

 今回はさらに、24社の企業による展示ブースが併設され、国内外の熱処理・表面処理・分析装置・測定装置などのさまざまな企業の展示が行われたほか、出展企業によるランチョンセミナーも行われた。

HEFグループによる企業展示の様子

 

新東工業による企業展示の様子

 

山本科学工具研究社によるランチョンセミナーの様子


 IFHTSE2023では、日本熱処理技術協会 60周年記念式典を併せたウェルカムパーティーや、バンケット、オプショナルツアーなどさまざまなイベントが企画された。15日に開催されたバンケットでは、アルコ弦楽四重奏団による演奏や、横浜芸妓組合による演奏と踊り、アルコ弦楽四重奏団と横浜芸妓組合のコラボレーションによるステージなどが披露された。

バンケットでのアルコ弦楽四重奏団による演奏

 バンケットではまた、ポスターセッションにおける「優秀ポスター賞(Best Poster Award)」の受賞者が、以下のとおり発表された。

P20 
「Interfacial Microstructure and Fracture Behavior of Fe/Ni Interface by Solid-state Compressive Bonding」

Sien Liu, Shoichi Nambu, 
Department of Materials Engineering, The University of Tokyo

P9  
「Corrosion Behavior of 316L Stainless Steel Arc-coated ZrTiAgN Multilayer Film in Media Containing Chloride」

Chun-Yin Lin, Mu-Jou Ho, Cheng-Hsun Hsu 
Department of Mechanical and Materials Engineering, Tatung University
    
P33   
「Effect of Nitriding Conditions on 304 Stainless-steel Plasma Nitrided with Ni Screen」
 
Masaki Kuribayashi, Akio Nishimoto 
Department of Chemistry and Materials Engineering, Kansai University

P42  
「Short-time Induction Treatment to Improve Fatigue Strength and Wear Resistance of Ti-6Al-4V Alloy Formed by Laser Powder Bed Fusion 」

Koki Matsumoto 1 , Li He 1 , Shogo Takesue 1 , Yoshitaka Misaka 2 , Tatsuro Morita 1 
1 Kyoto Institute of Technology, 
2 Neturen Co., Ltd

kat 2023年12月19日 (火曜日)
kat

高機能トライボ表面プロセス部会、第22回例会を開催

4ヶ月 1週 ago
高機能トライボ表面プロセス部会、第22回例会を開催

 表面技術協会 高機能トライボ表面プロセス部会(代表幹事:岐阜大学 上坂裕之氏)は12月7日、名古屋市天白区の名城大学で「第22回例会」を開催した。

開催の様子

 

 高機能トライボ表面プロセス部会は、自動車の低燃費化・高性能化などへの高機能トライボ表面の寄与が増してきていることを背景に、自動車関連・コーティング関連企業や、大学・研究機関などが参加しての分野横断的な議論を通じ、低摩擦/高摩擦、耐摩耗性などに優れた高機能トライボ表面のためのプロセス革新に向けた検討を行う場として、2014年に設立された。

 今回は上坂会長の開会の挨拶に続いて、以下のとおり講演が行われた。

・「反応性プラズマによる透明導電膜の正イオン蒸着技術および負イオン照射」北見尚久氏(住友重機械工業)…プラズマ成膜における反応性プラズマ蒸着(Reactive Plasma Deposition、RPD)の特長(成膜フラックスの高イオン化率や化学結合に適した成膜粒子エネルギーの制御が可能など)やRPDで得られるITO膜とGZO膜の特長について述べた。また、成膜粒子解析技術として基板への飛来粒子定量分析(中性粒子と正イオン)、RPDによる薄膜成長の機序解析(ITO膜の移動度と成膜レートのエネルギー依存性、GZO膜の成長促進因子と点欠陥制御)、酸化物成膜といったRPDの産業展開、酸素負イオン照射技術(Reactive Nion)の特長と酸化物への酸素負イオン照射効果について紹介した。

・「HiPIMSによるDLC硬質化の最先端」太田貴之氏(名城大学)…HiPIMSによるDLC成膜の方向性として高硬度化とドロップレットレス化(低摩擦係数)を掲げ、そのアプローチとしてパルス波形(大別してシングルパルスとダブルパルス)と希ガスを用いた手法を紹介した。シングルパルスHiPIMSによるDLC成膜(イオン(炭素、アルゴン)の挙動と硬度)やダブルパルスHiPIMSによるDLC成膜(パルス間隔の効果)について報告。パルス条件の調整によって成膜速度と硬度の向上が両立できると総括した。さらに、シングルパルスHiPIMSにおける希ガス(アルゴン、ネオン、キセノン)の効果について紹介した。イオンフラックスが少ないキセノンにおいて高硬度のDLC膜が得られた理由として、高質量キセノンのボンバード効果が高硬度化に寄与する可能性を示唆した。

・「地熱発電システムにおける低付着カーボンコーティングの開発」中島悠也氏(富士電機、Zoom講演)…地熱発電における出力低下要因となるシリカスケールの付着抑制に向け、化学的に析出付着するシリカに対してDLCによる低付着化を行った結果、シリカの析出付着モードに対して低付着なDLC化学構造を明確化、低sp2結合量、高水素含有量でシリカ付着量が低減した。また、DLCにおけるシリカ低付着モデルを解明、sp2減、水素含有向上によるシリカ付着力低減効果を明確化した。さらに、蒸気系統(タービン翼)から、熱水系統(管内)への展開を担い、DLC管内成膜プロセスを構築、蒸気/熱水系統ともにシリカの付着を劇的に抑制できることを確認。DLCは地熱発電で問題となっていたシリカスケールに対して抜本的かつ新しい解決手段で、地熱発電の事業性向上に寄与できると総括した。

 続いて、名城大学 太田研究室の見学会が実施された後、閉会した。

見学会の様子

 

kat 2023年12月12日 (火曜日)
kat

ナノ科学シンポジウム2023がハイブリッド開催

4ヶ月 1週 ago
ナノ科学シンポジウム2023がハイブリッド開催

 ナノテクノロジーと走査型プローブ顕微鏡(SPM)に特化した「ナノ科学シンポジウム(NanoScientific Symposium Japan 2023 : NSSJ2023)」が10月27日に東京都文京区の東京大学 浅野キャンパス 武田ホールで、対面参加とオンライン参加からなるハイブリッド形式で開催された。主催は関東学院大学材料・表面工学研究所とパーク・システムズ・ジャパンで、協賛はNanoScientificとヤマトマテリアル、Ark Station、後援は日刊工業新聞社とメカニカル・テック社。

参加者による記念撮影


 科学技術の革新によりナノ科学では材料、表面を計測・解析する方法も各種発展している。特に、SPMの登場により、 ナノレベルでの表面計測・解析の基礎技術としての重要性が日々増している。ナノ科学シンポジウム(NSSJ)は、走査型プローブ顕微鏡を用いた 材料科学、半導体およびライフサイエンス分野の最先端の研究情報を共有・交換するSPMユーザーシンポジウム。2020年から開催され4回目となる今回は、以下の登壇者による講演のほか、ポスター発表がなされた。

・特別講演「ナノテクノロジーとナノ原子(=水素)考察」西 和彦氏(日本先端工科大学(仮称))…注目される水素を作るナノテクノロジーの着想点として、粒子の大きさを小さくし総表面積(反応面積)を大きくする、反応温度を上げる、反応気圧を上げるという化学反応の加速や、究極の水素ビジネスである水を還元して水素にする還元剤の研究、水素を貯蔵・デリバリーするナノカプセルの生成のほか、常温核融合もどき、常温超電導の周辺、元素間融合など、ビジネスになる理論・実学の追求を目指し新設する日本先端工科大学(仮称)の研究分野の一端を紹介した。

特別講演を行う西氏


・「AFMナノインデンテーションによる1次元グラフェン歪み格子の作製」田中悟氏(九州大学)…グラフェンに歪み(勾配)を加えると発生する「擬磁場」は電子の運動を仮想的に表す「場」であるが、実際の電子はあたかも磁場下にあるような運動を行う。この擬磁場を周期的に形成することでランダウ量子化,無磁場の量子異常ホール効果の観察が期待されるが、そのためには1・2次元周期歪みグラフェンの形成が必要となる。ここでは1次元歪み格子の実現のため、AFMナノインデンテーションによるSiC表面への周期的ナノトレンチ構造の形成とグラフェン転写による歪みの導入を試みた結果を議論した。

・「SPM技術を用いた全固体電池の評価」富沢祥江氏(太陽誘電)…全固体電池のサイクル特性やレート特性などの性能向上を図る上で、効率的・効果的な解析技術が不可欠となる。全固体電池の詳細な動作解析を行う目的でSPM装置を導入した。SPM技術の中でもケルビンプローブフォース顕微鏡(KPFM)による電位分布評価は、電池を駆動させながら(operando計測)、電極内部の電位変化を可視化できるため、不良箇所を特定したり、正負各極の動作メカニズムを詳細に解明したりできる強力な手法である。ここではKPFM以外にも、SPMを活用した材料物性の評価事例、全固体電池デバイスの解析事例を紹介した。

・「3D Heterogeneous Integrated System Chip Technology」G.P. Li 氏(カリフォルニア大学 )…ここでは、将来のエッジシステムとして、統合センシングやワイヤレス通信、AIデバイスを支える3Dヘテロジニアス集積システム(3D HIS)チップ技術を取り上げた。3D HISはムーアの法則を超える半導体のナノエレクトロニクスを実現する。提案された3D HISチップ技術の研究は、相対的な人認知機能を模倣する多機能3Dシステムの開発に注がれていると述べた。

・「薄膜デバイスにおける巨大磁気回転効果」能崎幸雄氏(慶應義塾大学)…マクロな回転運動から磁気を生み出す磁気回転効果は、約100年前にアインシュタイン、ドハース、バーネットによって発見された。しかし、キロヘルツオーダーの高速な回転運動でも地磁気程度の微弱な磁気しか生み出せなかったため、これまでその応用研究はほとんど行われてこなかった。講演者は、最新のナノテクノロジーを駆使することにより、薄膜デバイス内にギガヘルツオーダーの超高速な回転運動を生成し、巨大な磁気回転効果を生み出すことに成功した。当日は、磁気回転効果の基礎とその薄膜デバイス構造を概説し、磁気回転効果のデバイス応用についてその可能性を語る。

・「AFM Methodologies for Quality Assessment of Lithium-ion Battery Electrodes」Seong-Oh (Jake) Kim氏(Park Systems)…リチウムイオン電池 (LIBs) はスマートフォンやノートパソコン、EVなどのポータブル蓄電デバイスとして広く使われている。LIBs のnmスケールでの形態と電気特性との相互作用を理解することは、LIBs の性能と品質管理の進歩の上で極めて重要となる。ここでは、AFMを用いてLIBs の電極材料の分析を実施、LIBs のカソードとアノードの活材料の役割や、バッテリーの容量と電力に及ぼすそれらの影響を浮き彫りにした。

・「ダイヤモンド半導体デバイスの作製とインチ径ウェハの成長メカニズム」嘉数 誠氏(佐賀大学)…ダイヤモンドはバンドギャップが5.47eVのワイドギャップ半導体で、絶縁破壊電界、熱伝導率、キャリア移動度が高く、シリコン、シリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)を超える大電力・高効率パワー半導体として期待されている。ここでは、サファイア基板とMgO基板を用いた場合を比較し、ダイヤモンドの初期成長表面をAFMで観察し、結晶品質を決める成長機構を調べた。

・「半導体光デバイスと通信・センサーへの応用」荒川太郎氏(横浜国立大学)…半導体レーザーをはじめとする半導体光デバイスは、光ファイバー通信、センシング、分光分析、加工、医療・バイオなどさまざまな分野に応用され、光エレクトロニクスと呼ばれる工学分野の中心を担っている。化合物半導体光デバイスは主にレーザーや発光ダイオード、光変調器、光スイッチなど能動素子として使用され、シリコン光デバイスも発光素子を除く能動・受動素子として使用されている。ここでは化合物半導体とシリコン光デバイスを中心に、それらの動作原理と光ファイバー通信やバイオセンサー・ガスセンサーへの応用例を紹介した。 

・「AFMによる粘弾性計測の最新の展開」中嶋 健氏(東京工業大学)…AFMを用いて粘弾性計測を行う試みにはいくつかの方法がある。ここでは、それらについて概観するとともに、特に貯蔵弾性率・損失弾性率などを画像化できるナノ粘弾性計測手法(nanoDMA)について、原理と最新の展開を紹介した。例えば、フィラーと高分子マトリックスからなるナノコンポジットの界面の粘弾性について、マトリックスがゴム状態にある場合とガラス状態にある場合で界面の振る舞いが異なっている。それを可視化した最近の論文について詳しく述べた。

 当日はまた、30件のポスター発表が実施され、選考委員により最優秀賞1名、優秀賞2名が以下のとおり選考された。

◆最優秀賞
・「分子応答型DNAナノポアを用いたATP計測技術の確立」赤井大夢氏(長岡技術科学大学)

◆優秀賞
・「原子層モアレ超格子直接観察用資料の作製」川瀬仁平氏(東京大学)

・「Mapping force inside living cells by AFM in response to environmentalstimli」王 洪欣氏(物質・材料研究機構)

ポスターセッション表彰式のようす

 

kat 2023年12月12日 (火曜日)
kat

トライボコーティング技術研究会、令和5年度第2回研究会を開催

4ヶ月 1週 ago
トライボコーティング技術研究会、令和5年度第2回研究会を開催

 トライボコーティング技術研究会(会長:理化学研究所 大森 整 主任研究員)は10月5日、東京都板橋区の板橋区立グリーンホールで「第148回研究会:令和5年度第2回研究会」を開催した。今回は、マイクロ加工シンポジウム「第51回 マイクロファブリケーション研究の最新動向」のトライボセッションとして開催された。「第10回板橋オプトフォーラム」も同時開催された。トライボセッションでは以下の発表があった。

会場の様子

・「株式会社オンワード技研の会社概要とコーティング技術について」川畠丈志氏(オンワード技研)…熟成してきた自社の強味として、1990年代から手がけているDLC技術の業界に対する認知度の高さや、T字型フィルタードアーク方式の装置など自社開発の装置(保有装置15台中自社開発装置が10台)があること、DLC膜一つをとっても各種製法による水素含有DLC(a-C:H)コーティングから水素フリーDLC(ta-C)コーティングまで顧客ニーズに合わせたさまざまな膜の提案ができること、年間140万点の受託加工において欠けなどのハンドリングミスが8点という、コーティングの前後処理から膜の試験測定評価までの徹底した品質管理体制などをアピールした。

講演する川畠氏

 当日は企業展示コーナーが併設され、トライボコーティング関連ではRtec-Instrumentsが多機能トライボメーター(摩擦摩耗試験機)や三円筒転がり疲労・耐ピッチング性評価試験機などのトライボロジー試験機を紹介したほか、オンワード技研が各種DLCとそれらを施した切削工具のサンプルを展示した。また、東京理科大学 佐々木信也研究室(主宰:佐々木信也教授)が充実した試験分析評価装置を保有し各種のトライボロジー試験が可能なトライボセンターについて、埼玉工業大学 長谷研究室(主宰:長谷亜蘭准教授)が光学・精密部品の生産技術に寄与するアコースティックエミッション(AE)センシングとトライボロジーについて紹介した。

Rtec-Instrumentsの展示ブース

 

kat 2023年12月12日 (火曜日)
kat

表面改質展・真空展2023など7展が開催

4ヶ月 1週 ago
表面改質展・真空展2023など7展が開催

 「表面改質展2023」「真空展2023」「2023洗浄総合展」など7展(主催:日刊工業新聞社など)が11月29日〜12月1日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。表面改質関連では、以下のような出展があった。

表面改質展2023のようす

 三洋貿易( https://sanyo-trading.co.jp/ )は、ドイツ・KRUSS(クルス)社製のコーティング表面を計測するハンディ3D接触角計「Ayriis」を紹介した。同品は3D接触角の測定に対応したPC不要のハンディ接触角計。ワンクリックのわずか数秒で、表面のぬれ性を示す接触角を全自動で評価できる。測定フード内に90個のLED光源が液滴を覆うように配置されており、液滴表面で反射されるこれら光のパターンを2台のカメラで解析することによって接触角を算出する。液滴法は固液界面のベースラインを読み取る必要があり、場合によってはそこで機器由来または使用者由来の誤差が発生するリスクがあったが、3D接触角ならベースラインを読み取る必要がないため、初めて装置を触る人でも熟練者と同じ測定精度を保つことができるという。

三洋貿易のブース

 東京電子( https://www.toel.co.jp/ )は、ベリリウム銅合金(0.2%BeCu)製の真空構造材を展示した。ベリリウム銅による真空構造材は熱伝導率が極めて高く、熱輻射率が高いことが特徴。一般的に真空構造材に用いられているステンレスと比較すると熱伝導率は13倍高く、熱輻射率は1/7以下であることから、高温にならずガス放出を大きく抑えることができる。同社ではベリリウム銅が真空構造材として適応するために加工後、研磨工程、還元・脱ガス工程、バリア膜形成工程を行い、さらなる低ガス放出、低水素放出、低温化、耐水素吸着化を実現している。

東京電子のブース

 東ソー( https://www.tosoh.co.jp/ )は、、PVDやCVDコーティングなどのドライコーティングの前処理に適した炭化水素系高機能洗浄方法「HC-WSエマルジョン洗浄」の紹介を行った。この洗浄方法は、水切り剤である「HC-WSシリーズ」に水を加え、超音波等でエマルジョン化させた液中でワークの洗浄を行う。洗浄後は、HC-250もしくはHC-370で容易にリンスをすることができる炭化水素と水の両方の洗浄作用が兼ね備わっているため、油性から水溶性の汚れまで幅広い汚れを除去できるとともに、乾燥した水溶性加工油や異物等に対しても極めて優れた除去能力を発揮する。また水洗浄と異なり、錆びの心配もない。さらに、液管理が容易なことも特徴の一つだという。同社では、洗浄試験の依頼も受け付けている。

東ソーのブース

 ナノテック( https://www.nanotec-jp.com/ )は、開発用小型HiPIMS成膜装置「ICF330-SP」の展示を行った。同装置は大電力マグネトロンスパッタリング(HiPIMS)でのコーティングに機能を特化した小型の成膜装置。機能特化によりコストを抑え低価格で提供できるようにした。キャスターを取り付けコンセントによる給電とすることで装置の移動を可能にしている。同装置は2024年春頃の販売を予定しており、現在は試作や機器のレンタルに対応しているという。また、同社のコーティング受託加工の売上の約半分を占める医療用のDLCコーティング「生体適合性ICFコーティング」についても紹介を行った。

 不二WPC( https://www.fujiwpc.co.jp/ )は、機械部品や金型の疲労強度を向上するWPC処理やDLCコーティング、これらの複合技術を紹介した。また、グループ会社のサーフテクノロジーが手掛ける食品分野では、小麦粉やコーンスターチなど食品粉体のホッパーやフルイなどへの付着を抑制する効果があり採用実績の多いショットピーニング技術「マイクロディンプル処理®」をベースに、より細かい粉体の付着抑制効果を実現しつつ、食中毒の原因となる大腸菌や黄色ブドウ球菌などの繁殖を抑制、さらには死滅させる技術を紹介した。マイクロディンプル処理による食品粉体の付着抑制(食品ロスの防止)・滑り性向上(生産性向上)の提案に加えて、新たに抗菌性付与という点を謳っていくことで、ユーザーである食品加工工場でのコーティング不使用による異物混入防止に加えて、煩雑なサニテーション作業の低減が可能になることを訴求していく。

不二WPCのブース

 レスカ( https://www.rhesca.co.jp/ )は、DLCコーティング膜を中心とした硬質被膜などの界面強度評価を行う摺動型はく離強度試験機「OST3000」の実機を展示した。同試験機は、測定途中に任意のタイミングで圧子と試料両方の摩耗状態の観察を行う。装置の測定結果として得られる印加荷重および摩擦力(摩擦係数)の出力と別に任意タイミングでの摩耗痕観察画像を取得することで、摩耗の進行状況や、摩擦力(摩擦係数)変化発生要因解析や、破壊起点の解明等に使用できる。測定モードはステップ荷重、リニア荷重、一定荷重(距離)を用意。標準で測定対象物及び圧子の摩耗痕を観察するCCDカメラを装備しているが、AFMや白色干渉顕微鏡等を追加することも可能。

レスカのブース

 

admin 2023年12月11日 (月曜日)
admin

HEF、第8回鉄道技術展でブッシュと窒化処理を提案

4ヶ月 2週 ago
HEF、第8回鉄道技術展でブッシュと窒化処理を提案

 HEF DURFERRIT JAPANは11月8日~10日、千葉市美浜区の幕張メッセで開催された「第8回鉄道技術展2023」(主催:産経新聞社)に出展した。

HEFブースの様子

 

 HEFブースでは今回、フランスの鉄道車両において多数採用されている「HEFブッシュ」が紹介された。ブッシュのしゅう動面内のグリース分布をコントロールし、給脂インターバルの長期化を実現することで高速鉄道AGVなどに採用されている。こうした実績を背景に、日本国内でも鉄道分野でのHEFブッシュ採用の提案が早くから進められており、国内の地下鉄車両などですでに採用されている。HEFブッシュを採用することで、軌道保守や分岐器、車両(例えばブレーキ装置、トーションバー・アンチローリング装置、連結システム)などにおいて、メンテンナンスフリーや寿命延長に寄与できることを提案した。

HEFブッシュ

 

 また、CLIN(Controlled Liquid Ionic Nitriding)技術を適用したクリーンな塩浴軟窒化プロセス「ARCOR処理」を紹介。優れた耐摩耗性・耐焼付き性・耐食性を持つことから、六価クロムめっき代替処理として提案を行った。本プロセスに関わる薬剤は欧州化学物質庁(ECHA)に登録されREACH規制に適合する環境対応型プロセスとして認定を受けている。
 

ARCOR処理をした各種部品 kat 2023年12月4日 (月曜日)
kat

大同特殊鋼、ベトナム子会社が新工場で熱処理、表面処理を導入

4ヶ月 2週 ago
大同特殊鋼、ベトナム子会社が新工場で熱処理、表面処理を導入

 大同特殊鋼の連結子会社であるベトナムのDAIDO DMS VIETNAM CO.,LTD.(以下 DMSV)は10月10日、主要取引先をはじめとする関係者が出席し、現地ベトナムにて新工場の開所式を開催した。

開所式でのテープカットの様子

 DMSVは大同特殊鋼と同社の連結子会社である大同DMソリューションの両社で2008年にベトナムに設立した金型用鋼の加工販売拠点。今回、事業拡大に備えて新工場を建設し、2023年5月に旧工場から転居、同月に稼働を開始した。

 式典では、大同特殊鋼 副社長の山下敏明氏が出席し、「新工場は以前の工場から大きく変化を遂げている。これまで以上にスピーディに、日本と同様の品質をベトナムの皆さまに提供していくことを期待している」と祝辞を述べた。

 新工場は旧工場の約3倍の面積を持ち在庫保管能力を強化したほか、これまで行ってきた機械加工ラインに加えて、新たに熱処理ラインと表面処理ラインを導入し製造プロセスを拡張した。また、作業および物流効率に配慮したレイアウトとし生産能力の向上を目指している。

 DMSVは、大同特殊鋼の工具鋼製品の素材提供から加工および熱処理まで手掛けることで、成長著しいベトナム市場において日本国内同様の品質・サービスを提供していく。

admin 2023年12月1日 (金曜日)
admin

表面設計コンソーシアム、設立講演会を開催

4ヶ月 4週 ago
表面設計コンソーシアム、設立講演会を開催

 表面設計コンソーシアム(https://surfacedesignconsortium.com/)は11月15日、神奈川県海老名市の神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)海老名本部で催された「Innovation Hub 2023」の1フォーラムとして、「表面設計コンソーシアム 設立講演会~神奈川から世界へ、ものづくり中小企業による産学公地域連携の新しいカタチ~」を開催した。

開催の様子

 

 表面設計コンソーシアムは、複雑な表面課題にソリューションを提供しつつ、今後求められる表面課題に対応する複合処理の技術開発をする目的で設立された。創設メンバーは、微粒子投射技術を有する不二WPC(https://www.fujiwpc.co.jp/)と、多様なコーティング技術を持つ日本電子工業(http://www.ndkinc.co.jp/)、熱処理技術を提供する武藤工業(https://www.mt-k.com/)、金型の設計・製造を手掛ける昭和精工(https://www.showa-seiko.co.jp/)に加えて、豊富な分析評価技術を保有するKISTEC、理論構築を担う横浜国立大学。

 当日はまずKISTEC理事長の北森武彦氏が挨拶に立ち、「例えば、自転車のベアリングを変えるという表面設計だけでも、動力伝達の改善に寄与できたという経験がある。脱炭素社会において最適な表面設計を提供し企業の課題解決を図るとともに、部材のエネルギー効率を高め企業と社会の脱炭素にワンストップソリューションで貢献する本コンソーシアムの活動の意義は大きい。この活動において中小企業支援に務めるKISTECとしては、強みとする表面解析・分析で積極的に寄与していきたい」と述べた。

挨拶する北森氏


 続いて本講演会の司会も務めるKISTEC 川崎技術支援部長の髙木 眞一氏が、「KISTECのものづくり中小企業支援と表面設計コンソーシアム」と題して講演した。表面に優れた機能を与えるには、ベース素材の材料設計技術や表面改質技術、その上に被覆する薄膜制御技術、さらには最表面のテクスチャ制御技術までをトータルに高度なレベルで協調させる「設計」が必要であるとする表面設計の考え方について説明。現象が複雑・動的でメカニズム解明が容易でないといった表面技術分野において、KISTECなど公設試は分析・評価技術に強みはあるものの、生産技術に関わる企業にニーズ・オーダーに対して1機関で表面設計ソリューションを開発・提供することは難しい。これに対し表面設計のスペシャリスト集団である表面設計コンソーシアムは、情報が分散しがちで目標が不明瞭になりがちといった、ものづくり企業を取り巻く環境の変化や課題に対して、ワンストップで情報を集約・統合し目標の明確化と技術の統合を図り技術の高付加価値化につなげることのできる、産官公地域連携の新しい形である、と総括した。

講演する髙木氏


 また、横浜国立大学大学院 工学研究院長の梅澤 修氏が、「擦り合わせ技術の複合化によるシステムソリューションを目指す」と題して講演。大量生産・大量消費・大量廃棄社会からグリーン循環社会へとパラダイム変化する中で量の価値観から質の価値観へと変化してきている一方で、特に中小企業では低コスト競争で失われた人材能力(現場技術)や広い視野で本質をとらえる人材育成(研究開発)が課題となっている。中小企業では擦り合わせ技術に強みがある一方で、核心技術への理解不足、Designing力の欠如、ユーザーからの情報開示がなくソリューションにフィードバックできない、といった問題を抱えている。これに対し産学公連携の新しい形である企業主体の本コンソーシアムには、産業社会に対しては技術蓄積と競争力を生かし、人材を育成するとともに、課題とそのソリューションに関する情報を整理・共有するための懸け橋となってもらい、また中小企業に対しては核心技術を理解させて擦り合わせ技術をつなぐための、垂直連携による情報とソリューションの高度化を図るための役割を担ってほしい、と応援した。

講演する梅澤氏


 さらに、不二WPC 取締役 技術開発部長の熊谷正夫氏が「企業連携で目指すもの-新たなビジネスモデルと複合技術によるイノベーション」と題して講演。日本はもはや技術的にも先進国ではなく、技術開発の主体は大企業から中小企業へと移っている。こうした日本の生き残る道は「製品・技術の付加価値を高め、かつ内需を増やす(高く売って賃金に反映させる)」ことで、産学公連携による複合技術によって最適な表面設計を実現することで、ユーザーにコストプライスではなくバリュープライスを認めてもらうことが重要。バリューを評価してもらうための中心的なスペースとして、不二WPC内に新設した「ソリューションラボ」を、ユーザーとともに実際の不具合品を見ながら故障解析を行い複合技術による最適化提案を行うほか、これから必要となる技術開発のための単体試験・実証試験が行え複合技術による技術提案ができる場と紹介。また、単一技術では要求特性に対し十分な効果が得られない場合に、(学術的な知見や製造技術を踏まえて総合的に協調させる)表面設計的な複合技術が有効である事例を示した。

講演する熊谷氏

 

 その後、コンソーシアムメンバー各社の得意技術紹介が以下のとおり行われた。

 不二WPC 技術開発部 主任研究員の斎藤邦夫氏は、弾性変形がメインのショットピーニングに対し塑性変形がメインのWPC処理は表面組織の微細化による疲労強度向上や、残留応力の付与といった、さまざまな特長を持つことを説明したほか、機械部品の破壊の8割を占めるとされる疲労破壊のWPCによる対策事例などを紹介。さらに食品分野で採用実績の多いFDA取得のDLCとWPCの複合処理の提供が可能とアピールした。

齋藤氏


 日本電子工業 相模原工場長の池永 薫氏は、同社が①高周波焼入れ・焼戻し、②プラズマ窒化、③セラミックコーティング・DLCなどの硬質被膜と言う各種表面改質処理を、ユーザーニーズに合わせて提供できることを紹介。プラズマ窒化処理層の上にSi含有DLC膜を組み合わせたハイブリッド処理では、DLCで通常必要なCr系中間層が不要でダイレクトに成膜でき、さらに同ハイブリッド処理を一つの炉で連続処理できるという強みをアピールした。

池永氏


 武藤工業 企画開発部長の中村正美氏は、真空熱処理、ソルト焼入れ、油焼入れ、サブゼロ処理など同社が手掛ける幅広い処理について、特長や処理事例を紹介。また、同社HPでは熱処理研究等に関して直感的に理解できる「お役立ち資料」がダウンロードできることをアピールした。熱処理は機械的特性を高めるが、材料を硬くした時のコーティングへの影響やワイヤーカットへの影響を考慮する必要があるとして、コーティングや切削技術のスペシャリストを抱えるコンソーシアムとの協調で最善の方法を提案していきたいを述べた。

中村氏


 昭和精工 代表取締役の木田成人氏は、金属プレス用金型と金型を使用した設備に強みがあること、近年では新分野としてリチウムイオン電池用金型の受注が伸びていることなどを紹介。国内最大市場シェアを持つ飲料・食品アルミ容器金型に関するトピックスとして、SDGsの観点からペットボトルに代わり需要が増してきているリサイクル率94%のアルミ缶における新しい成形の話題などについて紹介した。また、新しい試みであるキャンプ製品の開発・販売やSNSを利用したウェブマーケティングなどについて紹介した。

木田氏


 KISTEC 川崎技術支援部長の髙木眞一氏は、ソリューションラボの保有する試験・分析設備で主だった解析は十分可能だが、より詳細な分析が必要とされる際にはKISTECの分析・評価設備が利用できることを紹介。微粒子ピーニングによる浸炭焼入れの鋼表面のナノ結晶化や、ファインブランキング用金型の耐久性向上などの分析・評価事例を紹介しつつ、集束イオンビーム(FIB)と透過電子顕微鏡(TEM)、電子線マイクロアナライザー(EPMA)などKISTECの保有する微細構造解析や成分分析機器などを駆使して、表面にまつわる不具合原因解明や新技術開発の支援が可能なことをアピールした。

髙木氏

 

kat 2023年11月20日 (月曜日)
kat

第16回岩木賞に、神戸製鋼所、大阪大学 孫 栄硯氏、宮崎大学 大西 修氏が受賞

5ヶ月 1週 ago
第16回岩木賞に、神戸製鋼所、大阪大学 孫 栄硯氏、宮崎大学 大西 修氏が受賞

 トライボコーティング技術研究会、未来生産システム学協会(FPS)などからなる岩木賞審査委員会は、「第16回岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)」を発表した。岩木賞は、表面改質、トライボコーティング分野で著しい業績を上げた個人、法人、団体を顕彰するもので、当該分野で多くの功績を残した故 岩木正哉博士(理化学研究所 元主任研究員、トライボコーティング技術研究会 前会長)の偉業をたたえ、2008年度より創設されたもの。

 16回目となる今回は、神戸製鋼所が業績名「AIP法による高Al含有立方晶AlCrN皮膜および装置の開発」により事業賞に輝いた。また、大阪大学 孫 栄硯氏が業績名「ビトリファイドボンド砥石とフッ素系プラズマを用いたドレスフリー研磨法の開発」により優秀賞に輝いた。さらに、宮崎大学 大西 修氏が業績名「次世代のマルチレンジ対応型加工プロセスを目指す純氷ブロック砥石の提案と研究開発」により奨励賞を受賞した。

 切削工具向けの代表的な皮膜であるAlCrN皮膜は、皮膜中のAlの含有量が多いほど耐酸化性に優れ、高速切削や高切込みなどの難加工条件に適しているが、皮膜の金属元素の内概ね65at%以上とAl含有率が多くなりすぎると、皮膜構造が高硬度な立方晶から六方晶へと変化し硬度が低下するという課題があった。この課題に対して事業賞の業績「AIP法による高Al含有立方晶AlCrN皮膜および装置の開発」は、アーク蒸発源の磁場設計やプラズマ制御技術の開発、蒸発源試作や成膜実験などを行い、アーク蒸発源μ-ARC(ミューアーク)を開発、Al含有率が70at%以上であっても立方晶を維持し、マクロパーティクルも少ない高硬度かつ高面粗度のAlCrN皮膜の成膜を可能とすることに成功したもの。上記の新型アーク蒸発源や新型エッチング源、新制御システムなどを搭載し本年4月に発売を開始した新型PVDコーティング装置AIP-iXがすでに販売実績を持つことや、本装置で成膜される高硬度かつ高面粗度膜が、従来アーク蒸発源では難しかった小径工具といった精密な切削工具においても適用が可能であること、また、既存用途である金型や部品だけでなく、パーティクルが少ないといった利点から水素関連や電池関連新規用途への展開も期待できることなどが評価された。

 SiC、GaN、ダイヤモンドなどの高硬度で化学的に不活性の難加工材料の最終仕上げ方法では、スラリーを用いたCMP(化学機械研磨)プロセスが多用されるが、スラリー研磨ではエッチピットのために表面粗さが悪化するなど多くの課題を持つ。スラリーの代わりに固定砥粒(砥石)を用いたドライ研磨法ではその課題を解決できるが、研磨中の砥粒の摩耗に起因する「目つぶれ」や、砥粒間への切りくず侵入などに起因する「目詰まり」などの問題が研磨速度低下の原因となる。ドレッシングは砥石の切れ味を回復できるが、頻繫な目直しは加工能率の低下とコストの上昇を招く。優秀賞の業績「ビトリファイドボンド砥石とフッ素系プラズマを用いたドレスフリー研磨法の開発」では、難加工材料表面に照射し改質膜を形成することで軟質化させる「CF4プラズマ」と、母材より軟質な固定砥粒を作用させ軟質層のみを除去してダメージフリーな表面が得られる「ビトリファイド砥石」の使用で、オートドレスと高い研磨レートを実現できる、完全ドライのプラズマ援用研磨法(PAP法)を提案。AlN基板のドライ研磨において、同砥石のボンド材主成分であるシリカがエッチングされ、リアルタイムに適度なオートドレッシング作用がなされ砥石の目詰まりが起こらないことや、CF4 含有プラズマの照射でAlN基板表面に除去されやすいAlF3軟質層が形成されるため、プラズマ援用ドレッシングとプラズマ改質の相乗効果により、プラズマ照射なしの場合と比べ約2倍の研磨レートが得られたことなどが評価された。

 奨励賞の業績「次世代のマルチレンジ対応型加工プロセスを目指す純氷ブロック砥石の提案と研究開発」では、結合剤として純水を凍らせた氷である「純氷」を用いた純氷ブロック砥石(PIB砥石)を開発、PIB砥石は純氷によって結合剤自体が冷却作用を持ち、かつ砥石表面から溶解・脱落した結合剤は環境に悪影響のない“水”となり、これが潤滑・切りくず除去作用を生むことで、研削油剤や研磨剤を使わない環境の構築できる。また、研削油剤・研磨剤による作業環境悪化も抑止できるほか、研削油剤・研磨剤・結合剤から工作物へのコンタミネーションの抑止にも効果が期待できる。さらにPIB砥石の製作段階で、砥石内の砥粒の粒度や分布を調整することで、一つの砥石で荒加工から仕上げ加工までとマルチレンジに対応可能といった砥石も製作できるなど、さまざまな応用が可能な砥石となる。PIB砥石が環境に悪影響を及ぼさず、荒加工から仕上げ加工まで対応可能なことや、石英ガラスやLED基板などに使われるサファイアに対して加工が可能なことなど、本砥石が実用化した際の産業界への波及の可能性などが評価された。

 第16回岩木賞の贈呈式と受賞業績の記念講演は、2024年2月22日に埼玉県和光市の理化学研究所 和光本所で開催される「第26回『トライボコーティングの現状と将来』シンポジウム」(通算150回研究会)で行われる予定。
 

kat 2023年11月9日 (木曜日)
kat

KISTEC、トライボロジー技術フォーラムの参加受付開始

5ヶ月 2週 ago
KISTEC、トライボロジー技術フォーラムの参加受付開始

 神奈川県産業技術総合研究所(KISTEC、 https://www.kistec.jp/ )機械・材料技術部は12月8日、神奈川県海老名市のKISTEC海老名本部で「令和5年度トライボロジー技術フォーラム ~低炭素社会の実現に向けたトライボシステム開発~」を開催する。当日は会場での開催と同時にオンライン上でライブ配信を行うハイブリッド形式にて開催する。参加費は無料。時間は13時30分~16時30分まで。問い合わせ・申し込みはこちらから。

 フォーラムの内容は以下のとおり。

「オープニング」 青木 信義 氏(KISTEC 機械・材料技術部 部長) 超低環境負荷潤滑剤を目指した糖アルコールの潤滑特性とレオロジー特性 本田 知己 氏(福井大学 工学研究科産業創成工学専攻 教授)

 環境に優しい新たな潤滑剤として食品成分である糖アルコールおよび還元水あめのトライボロジー特性を調べた結果、NSF H1規格の食品機械用潤滑油と比較して同程度、またはそれ以上に良好な摩擦特性を有する糖アルコールを4種類見いだした。ここでは、摩擦摩耗試験とレオロジー測定の結果をもとに、低摩擦発現機構の解明を試みた結果について、最新のデータを含めて概説する。

環境にやさしい潤滑剤とDLCを用いたグリーントライボロジー技術動向 加納 眞 氏(KANO Consulting Office 代表)

 環境にやさしい生分解性潤滑油やアルコール水溶液とDLCコーティングの組み合わせによる超低摩擦特性は、近年多くの論文が公開されているだけでなく、すでに欧州では実量産適用に向けた国家プロジェクトが実施されている。その適用ターゲットの一つが歯車となっている。本フォーラムにおいては、それらに関連した摩擦特性や開発動向について紹介する。   

「連続荷重増加すべり試験および潤滑下の試験によるダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の評価技術について」 吉田 健太郎 氏(KISTEC 機械・材料技術部 材料物性グループリーダー)

 KISTECでは硬質薄膜の機能性評価試験を実施している。本フォーラムでは連続荷重増加すべり試験を用いたDLC膜の損傷形態の評価、およびDLC膜と潤滑剤含有成分との相互作用による反応膜の形成と低摩擦化の関係について解説する。

「KISTEC内トライボロジー関連設備見学」

admin 2023年11月1日 (水曜日)
admin

メカニカル・サーフェス・テック2023年10月号 特集「自動車の表面改質」「ピーニング」10月25日に発行!

5ヶ月 3週 ago
メカニカル・サーフェス・テック2023年10月号 特集「自動車の表面改質」「ピーニング」10月25日に発行!

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2023年10月号 特集「自動車の表面改質」キーテク特集「ピーニング」が当社より10月25日に発行される。

 今回の特集「自動車の表面改質」では、ステンレス溶射ボアとの凝着摩耗に対応した厚膜DLCピストンリングについて、燃料電池向けターボチャージャの技術と適用状況について、自動車部品メーカーに対し長期的にコミットするめっきメーカーの取り組みについて、自動車の電動化や自動運転が進むにつれて重要性が増す電磁波シールド性に関するドライコーティングの技術について紹介する。

 また、キーテク特集「ピーニング」おいては、微粒子投射処理による抗菌性能の付与について、レーザーピーニングの開発状況と適用状況について紹介する。

キーテク特集:ピーニング

◇微粒子投射処理による抗菌性能の付与・・・サーフテクノロジー 西谷 伴子

◇レーザーピーニングの適用状況と今後の展望・・・新東工業 小林 祐次

連載

注目技術:めっき応用技術「MID工法」による、PPS樹脂製ロボットハンドへのセンサー機能の付与・・・DIC

トピックス

表面設計コンソーシアムが設立、11月15日にKISTECで設立講演会を開催

JASIS2023開催、表面試験・評価・分析機器などが展示

雑誌ご購入

定期購読はこちらから

単号のみのご購入はこちらから(外部サイト)

admin 2023年10月24日 (火曜日)
admin

ブルカー、AFMタッピングモード用純正シリコンカンチレバーの販売を開始

6ヶ月 ago
ブルカー、AFMタッピングモード用純正シリコンカンチレバーの販売を開始

 ブルカーは、オリンパス製マイクロカンチレバーOMCL-AC160TS-R3/C3とOMCL-AC240TS-R3/C3シリーズの販売終了に伴い、その完全後継品となるタッピングモード用純正シリコンカンチレバー「OTESPA-R4」と「OLTESPA-R4」の販売を開始致した。プローブ設計、プローブ製造装置、製造プロセスが同じである完全後継品のため、従来のオリンパスマイクロカンチレバーと同じ使用方法・条件での使用が可能。日本国内では、ブルカージャパン ナノ表面計測事業部(http://www.bruker-nano.jp)が取り扱いを開始している。

ブルカー製タッピングモード用純正シリコンカンチレバー「OTESPA-R4/OLTESPA-R4」

 

 場所を狙いやすい高解像度観察に最適なタッピングモード用シリコンカンチレバーの特長は、以下のとおり。

・高い水平分解能:三角形の形状を持つプローブは、探針先端が安定した鋭さを保つ。実際、背面アルミコート付きのプローブでさえ、探針の先端曲率半径は平均10nm以下となるように作られている。OTESPAプローブは、非常に応用範囲が広く、結晶表面、薄膜、ICデバイスなどの形状を優れた分解能で測定できる

・先端探針構造:鋭利な探針は、カンチレバー先端に配置されており、探針位置とサンプル測定位置の関係をAFMの光学顕微鏡で観察できるため、簡単・正確に位置合わせを行うことができる

 また、それぞれの完全後継品の特長は、以下のとおり。

 OTESPA-R4(OMCL-AC160TS-R3/C3後継品)は、優れたQ特性による高分解能イメージングを実現。共振周波数300kHz(標準値)とバネ定数26N/m(標準値)を両立。タッピングモードにおけるサンプルへのダメージを最小限に抑える。

 OLTESPA-R4(OMCL-AC240TS-R3/C3後継品)は、粘弾性測定やソフトサンプルに対応するバネ定数2N/m(標準値)のタッピングモード用シリコンカンチレバー。ソフトマテリアルの形状評価や粘弾性計測などに最適。

 仕様は以下のとおり。

 

kat 2023年10月17日 (火曜日)
kat

ブルカー、ポリマー薄膜から硬質薄膜、半導体デバイスなどの機械的特性評価に最適なナノインデンターシステムをリリース

6ヶ月 ago
ブルカー、ポリマー薄膜から硬質薄膜、半導体デバイスなどの機械的特性評価に最適なナノインデンターシステムをリリース

 ブルカーはこのほど、ナノメカニカルテストにおいて優れたレベルの性能、自動化、生産性をもたらすナノインデンターシステム「Hysitron TI 990 TriboIndenter®」をリリースした。日本国内では、ブルカージャパン ナノ表面計測事業部(http://www.bruker-nano.jp)が取り扱いを開始している。

ナノインデンターシステム「Hysitron TI 990 TriboIndenter」

 

 TI 990は、業界をリードするナノインデンターシステムを包括的に進化させたもので、新しい測定モード、さらにスループット2倍と高速化された測定モード、200mm ×300mmの広いテストエリアを備えている。

 これによって例えば、ポリマー薄膜のナノスケール試験の精度向上、コンビナトリアル材料科学のスループット向上、300mm半導体ウエハのマルチ測定分析などを可能としている。性能、使いやすさ、柔軟性を兼ね備えた TI 990 は、ポリマー研究、合金開発、半導体デバイスなどに対して最適な機械的特性評価ソリューションを提供する。

 複数の特許取得済みである独自の技術を活用したTI 990は、ナノスケールでの定量的な機械的特性評価およびトライボロジー特性評価を可能にする。新しいPerformech IIIコントローラ、高度なフィードバック制御モード、次世代nanoDMA IV動的ナノインデンテーション、XPM II高速機械特性マッピングなど、測定および解析プロセスのあらゆる面で最新技術を採用。ユニバーサル・サンプル・チャックを使用することで、ほぼすべてのサンプルを取り付け、より広い試験可能領域で測定することができる。トップビューのサンプルナビゲーションは、新しいTriboScan 12ソフトウェアでのシステムセットアップを効率化し、装置の遠隔操作をより簡単にする。

 ミネソタ大学ツインシティーズ校のNathan Mara教授は、「TI 990には、強力な新制御モード、特に新しい混合モード・フィードバック制御が搭載されており、幅広い時間領域での研究の可能性が広がっている。小さな長さスケールでの新しい実験の可能性が広がっていることに感動している」と語っる。

 また、ブルカーのナノメカニカルテスト事業部統括部長のOden Warren博士は、「TI 990はテストプロセスと可能性を最適化するためにあらゆる面が再考されている。当社のエンジニアは、測定の柔軟性の向上からシステムのセットアップの容易さ、操作の合理化まで、すべてを改善した。この新しいシステムでお客様が飛躍的な進歩を遂げられることを楽しみにしている」とコメントしている。

kat 2023年10月17日 (火曜日)
kat

JASIS2023開催、表面試験・評価・分析機器などが展示

6ヶ月 1週 ago
JASIS2023開催、表面試験・評価・分析機器などが展示

 日本分析機器工業会と日本科学機器協会は9月4日~6日、千葉市美浜区の幕張メッセ 国際展示場で、分析機器・科学機器の総合展示会「JASIS2023」を開催した。展示会では、354社・機関、1096小間(昨年322社・機関、982小間)の出展と「新技術説明会」、「JASISトピックスセミナー」の講演が多数催された。リアル展示会への来場者は16115名(昨年12465名)、新技術説明会の聴講者数は6908名(同9884名)、トピックスセミナーの聴講者数は4991名(昨年2654名)だった。表面試験・評価機器関連では以下のような展示があった。

JASIS2023のようす

 大塚電子( https://www.otsukael.jp/ )は、測定する人も場所も選ばずに、瞬時に対象物(フィルムやガラスなどの透明材料)の三次元情報として、光の波の情報全て(光波動場)を独自の波面センサで取得して、可視化する光波動場三次元顕微鏡「MINUK」を紹介した。観察および測定対象(以後、対象)から生じる光波動場を、結像素子を介さずに波面センサに記録して、任意の面の像を計算処理で生成する。視野700×700μm、深さ1400μmの三次元情報を対象にフォーカスを合わせることなく2秒未満(標準)で取得して、取得した三次元情報を、後から無段階で任意面を再生できる(デジタルリフォーカシング)。また、防振に優れた独自設計のため設置環境をあまり気にしないで済む。

大塚電子「MINUK」

 JFEテクノリサーチ( https://www.jfe-tec.co.jp/ )は、シリコンウエハやガラス、樹脂フィルム、金属などの表面の0.1~50μmの薄膜の膜厚分布を短時間に高精度で測定・表示できる膜厚分布測定装置「FiDiCa(フィディカ)」を紹介した。面分光が可能な同社独自のイメージング分光器「インスペクター」を用い、薄膜の分光スペクトルを測定し、分光干渉法を利用した独自アルゴリズムにより、膜厚の分布を高解像度かつ高精度に測定する。従来の分光干渉法を用いた膜厚計は、点測定のため、走査して面分布を測定すると100点でも1時間以上要していたという。本装置では、150万点の膜厚データを約10分で測定することができ、大幅な効率化が図れる。測定モードは、高精細と高速の二つのモードを備えている。A4サイズの対象を高精細モードで0.2mmメッシュでは約10分間で測定する。高速モードで3mmメッシュでは約15秒間で迅速に測定が行える。

JFEテクノリサーチ「「FiDiCa」」

 島津製作所( https://www.shimadzu.co.jp/ )は、堀場製作所と共同開発を行った「LC-Ramanシステム」の実機を展示した。同システムは島津製作所の高速液体クロマトグラフ(HPLC)と堀場製作所のラマン分光装置を融合させた計測機器。HPLCの「わける」技術とラマン分光装置の「みえる」技術の融合により、計測の精度や効率を大幅に高めるとともに未知成分の検出も期待できる。HPLCとラマン分光装置をつなぐ専門ソフトウェア「LiChRa(リクラ)」を搭載し、それぞれから得られたデータや試料情報を紐付け一元管理を行う。アプリケーションとしては、ヘルスケア分野ではバイオマーカー探索や生体中成分の分析、食品分野では糖類、脂肪酸の組成分析や新規機能成分の探索、化成品分野では合成化合物の構造推定、不純物評価、化粧品などの成分構造変化分析など。

島津製作所「LC-Ramanシステム」

 新東科学( https://www.heidon.co.jp/ )は、直交バランスアーム方式や測定中にカバー可能な機構を採用したスタンダードモデルの摩擦摩耗試験機の実機を展示した。摩擦力を測定する荷重変換器を測定子直上に配置し、不要な機構をなくしたことにより、高いレスポンスとセッティングの誤差を排除した。また、試料テーブルの摺動方向をアームに対して直交させことにより、往路復路の荷重変動をなくし耐摩耗性評価の信頼性を大幅に向上させた。さらにY方向ステージを標準装備して13mmストロークするように設計、一度試験が終わった後もサンプルを付け替えることなく別の部分で測定が行える。オプションのトライボソフトを使用するとパソコンから簡単に条件入力、解析、さらに試験操作まで行える。

新東科学「トライボギアTYPE:40」

 THK( https://www.thk.com/ )は、軸受に求められる機能と非磁性を高次元で両立する直動案内「LMガイド」、ボールねじ、ボールスプライン、クロスローラーリングなどの「高機能非磁性製品」を紹介した。磁気をほとんど帯びず、かつ軸受に適した硬度を持つ特殊合金「THK-NM1」を使用することで、比透磁率が1.005未満という高水準の非磁性を実現、強磁場を発生させる核磁気共鳴分析装置(NMR)や電荷を帯びた粒子を扱う透過型電子顕微鏡(TEM)などでの使用に最適。今回はまた、そうした分析装置・観察装置への試料のハンドリングを行い24時間の無人での分析や実験を実施できる、自社製ロボットやロボットハンド「ならいグリップハンド」を用いた自動化システムを提案した。

THK「自社製ロボットおよびロボットハンドを用いた分析・実験業務の自動化システム」

 パーク・システムズ・ジャパン( https://www.parksystems.co.jp/ )は、人工知能(AI)を搭載した次世代自動原子間力顕微鏡(AFM)「Park FX40」を展示した。ロボティクスと機械学習機能、安全機能、特殊なアドオンとソフトウェアを搭載。プローブ交換、プローブ識別、レーザーアライメント、サンプルの位置調整、サンプルへのチップアプローチ、イメージングの最適化など、スキャンにおけるパラメーターおよび事前準備に関わるすべての設定を自動で行える。機械学習の積み重ねでAIによる自動機能の適正化、スキャン前の煩わしい準備の自動化、複数のポイントを目的に応じて自動測定など、自動化AFMの実現によるユーザーの利便性とパフォーマンスを向上させた。

パーク・システムズ・ジャパン「Park FX40」

 リガク( https://japan.rigaku.com/ja )は、業界初の自己診断機能vestaeye®の搭載により、今までは測定を行わないと判断がつかなかった潜在的な問題も早期に発見し素早く対処することが可能となる示差走査熱量計(DSC)「Thermo plus EVO3シリーズ DSCvesta2」を紹介した。オートサンプルチェンジャー(ASC)付きの場合の測定条件は、単一ウィンドウで簡単に設定でき24試料までセット&1000連続測定が可能なため、測定点数が多いときや長時間の無人測定に有効。各種冷却ユニットや試料観察ユニットとも干渉せずに同時使用が可能で拡張性に優れているほか、センサの機械的強度や熱応力に強いエンボス形状で、耐久性を追求した。

リガク「DSCvesta2」

 

admin 2023年10月11日 (水曜日)
admin

ナノ科学シンポジウム2023が10月27日にハイブリッド開催

6ヶ月 3週 ago
ナノ科学シンポジウム2023が10月27日にハイブリッド開催

 ナノテクノロジーと走査型プローブ顕微鏡(SPM)に特化した「ナノ科学シンポジウム(NanoScientific Symposium Japan 2023 : NSSJ2023)」(https://event.nanoscientific.org/jp/2023)が10月27日10時~17時30分に、東京大学 浅野キャンパス 武田ホール(東京都文京区弥生2丁目11-16 武田先端知ビル5階:浅野正門入ってすぐ左手)での対面参加とオンライン参加からなるハイブリッド形式で開催される。

 主催は関東学院大学材料・表面工学研究所とパーク・システムズ・ジャパンで、協賛はNanoScientificとヤマトマテリアル、Ark Station、後援は日刊工業新聞社とメカニカル・テック社。

 シンポジウムHP(https://event.nanoscientific.org/jp/2023/registration)から参加登録できる。参加費は無料。

 

 科学技術の革新によりナノ科学では材料、表面を計測・解析する方法も各種発展している。特に、SPMの登場により、 ナノレベルでの表面計測・解析の基礎技術としての重要性が日々増している。ナノ科学シンポジウム(NSSJ)は、走査型プローブ顕微鏡を用いた 材料科学、半導体およびライフサイエンス分野の最先端の研究情報を共有・交換するSPMユーザーシンポジウムで、今回のNSSJ 2023では、科学に変革をもたらすSPMの幅広い応用と技術に焦点を当て、先端技術のための新しいナノ材料、機能性表面、さらにナノテクノロジーやSPMを使った応用技術についても紹介する。

 2020年から開催され4回目となる今回は、以下の登壇者による講演のほか、ポスター発表がなされる。

特別講演 タイトル未定 西 和彦氏(日本先端工科大学(仮称)設置準備委員会 特別顧問) AFMナノインデンテーションによる1次元グラフェン歪み格子の作製 田中 悟氏(九州大学大学院工学研究院 教授)

 グラフェンに歪み(勾配)を加えると擬磁場が発生する。擬磁場は電子の運動を仮想的に表す「場」であるが、実際の電子はあたかも磁場下にあるような運動を行う。この擬磁場を周期的に形成することにより、ランダウ量子化,更に(無磁場の)量子異常ホール効果の観察が期待されるが、そのためには1・2次元周期歪みグラフェンの形成が必要である。本発表では1次元歪み格子の実現のために、原子間力顕微鏡(AFM)ナノインデンテーションによるSiC表面への周期的ナノトレンチ構造の形成とグラフェン転写による歪みの導入を試みた結果を議論する。

SPM技術を用いた全固体電池の評価 富沢祥江氏(太陽誘電 開発研究所 材料開発部)

同社では発火や爆発の危険性が極めて少ない安全な全固体電池を開発している。全固体電池のサイクル特性やレート特性などの性能向上を図る上で、効率的かつ効果的な解析技術が不可欠である。全固体電池の詳細な動作解析を行う目的でSPM装置を導入した。SPM技術の中でもケルビンプローブフォース顕微鏡(KPFM)による電位分布評価は、電池を駆動させながら(operando計測)、電極内部の電位変化を可視化できるため、不良箇所を特定したり、正負各極の動作メカニズムを詳細に解明したりできる強力な手法である。本発表ではKPFM以外にも、SPMを活用した材料物性の評価事例、全固体電池デバイスの解析事例を紹介する。

3D Heterogeneous Integrated System Chip Technology G.P. Li 氏(カリフォルニア大学 教授)

 The combination of Internet of Things (IOT) and deep machine learning (AI) at edge is emerging as an universal solution in various industrial sectors. It is envisioned under IOT/AI that a new ecosystem will be established to transform fundamentally how human will interact with physical world, leading to truly industry revolution. Consequently, it promises a great potential to address and solve some of the challenges facing the world today such as resource and energy productivity, environmental sustainability, and demographic change. To enable such a future smart edge system, one needs to research physical mechanisms and mathematical algorithms for multi-sensor data fusion, to research manufacturing processes for implementation of the edge system, and to develop on-time and real-time prediction and adaptive control/learning. New 3D heterogeneous integrated system (HIS) chip engineering technologies will be explored in order to address these emerging demands in future smart edge systems.

 In this talk, we will first describe the nature of the future smart edge system and its applications. Then a 3D heterogeneous integrated microchip technology architecture enabling AI is proposed. Manufacturing methods for designing, fabricating, and integrating sensing, wireless communication and AI in 3D HIS chip technology will be discussed for implementing smart cyber-physical-human-environment system as an intelligent platform for future edge system. 3D heterogeneous integrated system will also enable nanoelectronics beyond Moore’s integrated circuits paradigm, next generation of cyber physical edge intelligence science and technologies, and beyond human machine interaction. The proposed HIS chip technology will unite individual discipline research efforts into a 3D system with multiple functions mimicking holistic human cognitive functions in a technology platform.

薄膜デバイスにおける巨大磁気回転効果 能崎幸雄氏(慶應義塾大学 理工学研究科 教授)

 マクロな回転運動から磁気を生み出す磁気回転効果は、約100年前にアインシュタイン、ドハース、バーネットによって発見された。しかし、キロヘルツオーダーの高速な回転運動でも地磁気程度の微弱な磁気しか生み出せなかったため、これまでその応用研究はほとんど行われてこなかった。講演者は、最新のナノテクノロジーを駆使することにより、薄膜デバイス内にギガヘルツオーダーの超高速な回転運動を生成し、巨大な磁気回転効果を生み出すことに成功した。当日は、磁気回転効果の基礎とその薄膜デバイス構造を概説し、磁気回転効果のデバイス応用についてその可能性を語る。

AFM Methodologies for Quality Assessment of Lithium-ion Battery Electrodes Seong-Oh (Jake) Kim氏(Park Systems)

 Lithium-ion based batteries (LIBs) are widely used as portable energy storage devices in various applications, including smartphones, laptops, and electric vehicles. Understanding the interplay between morphology and electronic properties at the nanometer scale is crucial for advancing the performance and quality control of LIBs. 

 This study provides a brief introduction to the basic principles of batteries and highlights the analysis of lithium-ion battery materials using Atomic Force Microscopy (AFM). The structure and composition of LIB electrodes, including active materials, conductive materials, and binders, are discussed. The role of active materials in the cathode and anode, and their impact on battery capacity and power, is highlighted. The challenges associated with volume changes and structural evolution of electrode materials during charge-discharge cycles are also addressed. 

 AFM is presented as a versatile platform for investigating the morphology and electrical properties of LIB materials at the micro- and nano-meter spatial resolutions. The ability of AFM to provide correlative information, including topography and electrical properties, such as resistance and local work function and the application of AFM in studying electrode materials for LIBs, including characterization of pristine materials, evaluation of electrode fabrication processes, and probing mechanical and electrical degradations caused by cycling, are highlighted. AFM is recognized as a valuable tool for gaining insights into the degradation mechanisms of LIBs and advancing the development of next-generation battery technologies.

ダイヤモンド半導体デバイスの作製とインチ径ウェハの成長メカニズム 嘉数 誠氏(佐賀大学大学院理工学研究科 教授)

 ダイヤモンドはバンドギャップが5.47eVのワイドギャップ半導体で、絶縁破壊電界、熱伝導率、キャリア移動度が高く、シリコン、シリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)を超える大電力・高効率パワー半導体として期待されている。

 講演者らは、875MW/cm2の出力電力(BFOM)を示すダイヤモンドMOSFETを作製した。オフ電圧は3659Vである。この素子は、NO2を用いたp型ドーピングと低温堆積Al2O3膜によるパッシベーションの独自技術を用いている。

 また、ダイヤモンドウェハは、2インチ径まで大口径化が進んでいる。サファイア基板とMgO基板を用いた場合を比較し、ダイヤモンドの初期成長表面をAFMで観察し、結晶品質を決める成長機構を調べた。

半導体光デバイスと通信・センサーへの応用 荒川太郎氏(横浜国立大学 理工学部 数物・電子情報系学科 教授)

 半導体レーザーをはじめとする半導体光デバイスは、光ファイバー通信、センシング、分光分析、加工、医療・バイオなど様々な分野に応用されており、光エレクトロニクスと呼ばれる工学分野の中心を担っている。化合物半導体光デバイスは主にレーザーや発光ダイオード、光変調器、光スイッチなど能動素子として使用されている。シリコン光デバイスも発光素子を除く能動・受動素子として使用されており、いずれの場合も半導体が重要な役割を果たしている。

 本講演では、これまで講演者らが研究・開発してきた化合物半導体およびシリコン光デバイスを中心に、それらの動作原理と光ファイバー通信やバイオセンサー・ガスセンサーへの応用例を紹介する。 

AFMによる粘弾性計測の最新の展開 中嶋 健氏(東京工業大学 物質理工学院 教授)

 AFMを用いて粘弾性計測を行う試みにはいくつかの方法がある。

 本講演ではそれらについて概観するとともに、特に貯蔵弾性率・損失弾性率などを画像化できるナノ粘弾性計測手法(nanoDMA)について、原理と最新の展開を紹介する。例えば、フィラーと高分子マトリックスからなるナノコンポジットの界面の粘弾性について、マトリックスがゴム状態にある場合とガラス状態にある場合で界面の振る舞いが異なっている。それを可視化した最近の論文について詳しく取り扱う。

kat 2023年9月26日 (火曜日)
kat

表面設計コンソーシアムが設立、11月15日にKISTECで設立講演会を開催

6ヶ月 3週 ago
表面設計コンソーシアムが設立、11月15日にKISTECで設立講演会を開催

 「表面設計コンソーシアム」(https://surfacedesignconsortium.com/)がこのほど、複雑な表面課題にソリューションを提供しつつ、今後求められる表面課題に対応する複合処理の技術開発をする目的で設立された。創設メンバーは、微粒子投射技術を有する不二WPC(https://www.fujiwpc.co.jp/)と、多様なコーティング技術を持つ日本電子工業(http://www.ndkinc.co.jp/)、熱処理技術を提供する武藤工業(https://www.mt-k.com/)、金型の設計・製造を手掛ける昭和精工(https://www.showa-seiko.co.jp/)に加えて、豊富な分析評価技術を保有する神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)、理論構築を担う横浜国立大学。

 

 表面設計コンソーシアムは、単一の技術では対応できない表面に関わるユーザーのニーズ・オーダー(表面課題)に対して、表面技術のスペシャリスト集団がエンジニアリングの立場から共同受注し、計測・評価を経た根拠のある合理的で最適なバリューコストを高める表面設計ソリューション、また、各種の表面損傷に対して寿命予測が可能な表面設計ソリューションを開発し提供することを目的とするもの。

 一方で、将来的に必要とされるであろう表面課題に対応する複合処理の技術開発も行っていく。

 同コンソーシアムは11月15日15:00~17:15、神奈川県海老名市のKISTEC海老名本部(https://www.kistec.jp/aboutus/access/#ebina)研究棟5階・共通技術研修室で、「Innovation Hub 2023」の1フォーラムとして、「表面設計コンソーシアム 設立講演会~神奈川から世界へ、ものづくり中小企業による産学公地域連携の新しいカタチ~」を開催する。申込はこちらから。

 同フォーラムの内容は以下のとおり

・15:00~15:05    「開会の挨拶」
北森武彦氏(KISTEC 理事長)

・15:05~15:20
「KISTECのものづくり中小企業支援と表面設計コンソーシアム」
髙木 眞一氏(KISTEC 川崎技術支援部長)

・15:20~15:40
「擦り合わせ技術の複合化によるシステムソリューションを目指す」
梅澤 修氏(横浜国立大学大学院 工学研究院長)

・15:40~16:00
「企業連携で目指すもの-新たなビジネスモデルと複合技術によるイノベーション」
熊谷正夫氏(不二WPC 取締役 技術開発部長)

・16:00~16:15
「メンバー各社の得意技術紹介①」斉藤 邦夫氏(不二WPC 技術開発部 主任研究員)

・16:15~16:30
「メンバー各社の得意技術紹介②」池永 薫氏(日本電子工業 相模原工場長)

・16:30~16:45
「メンバー各社の得意技術紹介③」中村正美氏(武藤工業 企画開発部長)

・16:45~17:00
「メンバー各社の得意技術紹介④」木田成人氏(昭和精工 代表取締役)

・17:00~17:15
「メンバー各社の得意技術紹介⑤」髙木眞一氏(KISTEC 川崎技術支援部長)

kat 2023年9月25日 (月曜日)
kat

日本熱処理技術協会、11月28日、29日に2023年度 第3回熱処理技術セミナーを開催

6ヶ月 4週 ago
日本熱処理技術協会、11月28日、29日に2023年度 第3回熱処理技術セミナーを開催

 日本熱処理技術協会は11月28日、29日、対面参加(製粉会館5F 第2・3 会議室:東京都中央区日本橋兜町15-6)およびオンライン参加からなるハイブリッド形式により、「2023年度 第3回熱処理技術セミナー-熱処理基礎講座Ⅱ-」を開催する。

 第3 回熱処理技術セミナーでは、浸炭・窒化・高周波といった代表的な表面硬化熱処理技術を中心に、これらの熱処理とは不可分な金属学的現象についての解説を加えて,熱処理技術を中心に据えた基礎講座プログラムで構成されており、新入社員教育などをはじめとした企業における人材育成に最適なプログラムとなっている。

 申込締切は11月16日で、以下のURLから申し込みができる。対面参加の定員は30名。参加費は正会員36000円(税込)、維持会員36000円(税込)、非会員56,000円(税込)、高専、大学、大学院に所属する学生会員および非会員に適用される学生価格は10000円(税込)。

https://forms.office.com/r/LH2YUCsFpJ

 内容は以下のとおり。

11月28日

・9:55~10:00「開会挨拶および注意事項」日本熱処理技術協会

・10:00~11:30「鋼の焼入性と合金元素」梅澤 修氏(横浜国立大学)…鋼の等温(恒温)変態線図および連続冷却変態線図、焼入性について概説の上、鋼の焼入性に及ぼす炭素量および合金元素の影響、焼入・焼戻しによる強化との組織学的関係について述べる。

・12:30~14:00「拡散」中田伸生氏(東京工業大学)…熱処理、表面処理において拡散は重要な現象である。本講義では、金属を対象とした物質の拡散について概説する。特に気/固界面や相変態を含む複相間での拡散を理解するため、化学ポテンシャル勾配による拡散を理解することを目的とする。

・14:10~15:40「残留オーステナイト」土山聡宏氏(九州大学)…焼入れした鋼中に生成する残留オーステナイトについて、その生成機構や生成量に及ぼす鋼組成と熱処理条件の影響について述べる。また、残留オーステナイトの有効利用を目的とした最近の研究についても紹介する。

・15:50~17:20「鉄鋼材料の高強度化と変形・破壊の基礎」田中將己氏(九州大学)…本講義では、材料の破壊現象について、塑性変形をほとんど伴わない脆性破壊から塑性変形を伴う延性破壊について、その特徴を材料学的な見地に立って解説する。特に塑性変形(転位運動)挙動の温度依存性に着目する。

11月29日

・10:00~11:30「金属の高温酸化」上田光敏氏(東京工業大学)…本講義では、金属の高温酸化現象を概観するとともに、酸化現象を理解する上で重要となる平衡論(金属酸化物の化学的安定性)と速度論(酸化皮膜の成長とイオンの拡散)について概説する。

・12:30~14:00「表面硬化熱処理の基礎」奥宮正洋氏(豊田工業大学)…機械構造用部品に用いられる鋼を加熱してオーステナイト組織とし、炭素または窒素を侵入させた後に焼入れして機械的性質を向上させる表面硬化熱処理に関する硬化メカニズム、得られる組織、雰囲気管理方法等について基礎的な解説を行う。

・14:10~15:40「鉄鋼材料の窒化・浸窒処理における組織制御の考え方」宮本吾郎氏(東北大学)…窒化処理や浸窒焼入れ処理によって適切な表面特性を得るためには、表層組織の制御が欠かせない。本講義では、組織制御に必要となる状態図・熱力学や拡散、化合物層、拡散層生成挙動と表面硬化の関係について概説する。

・15:50~17:20「高周波熱処理」井戸原 修氏(高周波熱錬)…高周波熱処理は急速短時間加熱、表面加熱、部分加熱を特徴とし、自動車部品など機械構造用部品の熱処理の熱処理方法として幅広く用いられている。本講義では、この高周波熱処理技術の基礎と特徴、応用について解説する。
 

kat 2023年9月21日 (木曜日)
kat
Checked
28 分 43 秒 ago
mst配信ニュース 表面改質の情報サイト フィード を購読