第35回 自動回転ドアの挟まり事故を防ぐ安全設計

第35回 自動回転ドアの挟まり事故を防ぐ安全設計 kat 2009年3月29日(日曜日)

 2004年3月に東京・港区の六本木ヒルズ森タワーで大型自動回転ドアに児童が挟まれ死亡した事故に関して、問題の自動回転ドアのメーカーである三和タジマが、衝撃力低減や空間確保など安全性により配慮した製品を開発、市場に投入する。同社では、工学院大学教授・畑村洋太郎氏の協力を得て事故機を動態保存するなど、理念である「安全、安心、快適の提供で社会に貢献する」ことをめざし事故原因の検証とそれらに基づく開発を進めていた。事故以来自粛していた販売を5年ぶりに開始する。

 事故当時の自動回転ドアにおける安全設計は、センサーでぶつかったことを検知し機械を止めるというもので、ぶつかったときの衝撃力や機械がすぐに停止しない場合の非難手法などが施されていなかった。

 これに対し三和タジマでは今回、センサー検知エリア、制動距離などの基準値および点検要領を「ガイドライン」、「安全対策マニュアル」と「東京都建築安全条例」に沿って明確化、人や障害物をセンサで検知するやすぐに回転を停止するほか、万が一扉と方立の間にはさまれた場合には、その負荷を瞬時で感知し回転方向と逆側へ折れ、衝撃を低減しつつ非難空間を確保する機構「戸先折れ戸機構」を採用した回転自動ドアを開発した。回転部(扉・センターコア)の材質も従来のステンレス製からアルミ製に変更しぶつかった際の衝撃力を低減する。

 こうした安全対策を施した回転自動ドア「レボフォート」は、国土交通省・経済産業省の「自動回転ドアの事故防止対策に関するガイドライン」と日本工業規格「JIS A 4721自動回転ドア・安全性」に適合するとともに、1分間に2.5回転の動作で、内径φ3,600?の1区画定員2人のタイプで1時間あたりの通行可能人員が約1,200人、φ4,200?の定員3人のタイプで同約1,800人、φ4,800?の定員4人のタイプで同約2,400人という高効率な建物での入退出を可能にしている。

 特に高層ビルの場合、省エネや空気圧の関係から回転ドアを利用する利点があり、高層ビル建設に伴う自動回転ドアの潜在的な需要は非常に多い。回転ドアの利点を活かしつつ、「安全、安心、快適の提供で社会に貢献する」、より安全性の高い自動回転ドアの開発・市場投入を望む。