第15回 国産風力発電の導入促進を

 日本製鋼所が全国に保守網をもつ明電舎と組んで、国内での風力発電事業を本格化するという。国内最大手の三菱重工業は海外市場の開拓に注力、日本製鋼所が国内での風力発電機の新規設置では先行しているとはいえ、そのシェアは国内で2007年度に稼動した合計発電機18万5,750KWの1割に満たず(4,000KW)、8割以上を米国GEウインドやスペインのガメサなど欧米製が占める。

 しかし海から陸に安定した風が吹く欧州の仕様の発電機は、山がちで風向きの変化が激しい日本では負荷が大き過ぎ、ブレードが折れたり軸受など部品の損傷といった事故が相次いでいる。そこで、日本の厳しい気候風土を考慮して設計された国産風力発電機が見直されてきており、その気運に乗って攻勢をかけようというわけだ。日本製鋼所では、新規設置シェア50%を目指すとしている。

風力発電機の構造風力発電機の構造風力発電機用軸受(右はセラミックボール軸受、提供:ジェイテクト)風力発電機用軸受(右はセラミックボール軸受、提供:ジェイテクト) 風力発電機は、羽根で風を受けてロータを介して主軸が回転、その10~30min‐1の回転速度を増速機により発電可能な1,200~1,800min‐1という回転速度まで増やし、発電機により発電する(誘導発電機)。現在の主流は、1~2MWのこのタイプだ。

 ここでは、回転トルクを増速機に伝える主軸の軸受、増速機を構成するキャリア、遊星ギヤ、低速軸、中間軸、高速軸の各軸受、発電機用軸受が活躍している。

 2007年度の故障・事故発生回数125回のうち自然現象が31%を占め、中でも落雷が多い。雷撃による軸受の被害は発電機用軸受の電食である。電食は、軸受周辺から軸受内部に電流が通過、ボールと軌道面の接触面にスパーク現象が発生し、軸受の軌道面、ボール転動面に生じる損傷。電食が進むと振動を引き起こし、軸受として機能しない。そこで電食防止のため軸受外輪の外径部から側面にセラミックスを溶射した軸受や、転動体としてセラミックスボールを使った軸受が採用されている。

 日本の気候風土に適合した、安全性、信頼性を高める国産の風力発電機および風力発電要素技術が数多く採用されることに期待したい。