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三菱重工、小物も楽に加工できるコンパクト機円筒研削盤

 

 三菱重工業( http://www.mhi.co.jp )は、シャフトなど円筒形部品を加工する円筒研削盤の新製品「PD23」を開発、2月5日から販売を開始する。機械部品の小型化傾向を踏まえ、手のひらサイズの小物ワークに対応。作業が楽にできるよう、心高(床面からワーク加工中心までの高さ)を1mに抑え、機械自体もコンパクト化した。自動車の駆動系小型部品やエアコンのコンプレッサー部品、油圧ピストン関連部品ほか、幅広い加工分野での普及を見込んでいる。

砥石台2軸移動の円筒研削盤「PD23?B35P」とアンギュラ研削盤※1「PD23?B35A」をシリーズ化。軸物ワークだけでなく、コレットチャック※2を使用するような穴物ワークでも作業スペースを確保できるように、心間距離(主軸側センターから心押台側センターまでの距離の最大値)は350mmと大きくとる一方で、機械正面幅(間口)は1.6mに抑制。加工ラインなどに組み込んで設置しやすくした。また、操作盤も二重旋回方式を採用し、作業性に配慮している。

 砥石はできるだけ大きくして欲しいとのユーザーニーズが高いため、外径はφ(直径)510mmまで装着可能となっている。砥石モーターの出力は標準で5.5kWだが、オプションで7.5kWまで搭載可能で、cBN(立方晶窒化ホウ素)砥石を装着した高能率加工にも対応できるよう機械の剛性を高めている。好評を博している対話ソフトを搭載し、登録できるプログラム数は100(オプションで200)と、業界標準の2?5倍で、多様な加工に対応。バランシングアーバーや砥石吊具、長手位置決め装置、フルカバーなど、一般的にはオプション扱いの器具も標準装備とし、価格性能を高めた。

 同社は各種工作機械と切削工具を製作している強みと蓄積したノウハウを中心に、ユーザーニーズを先取りした工作機械・生産ラインシステムを開発してきた。

 今回の円筒研削盤は自動車部品などの量産ラインで活躍するほか、小型精密化する各種機械部品や複雑化する加工工程などを手掛ける多種少量生産にも適するよう汎用性を高め、幅広い生産現場に、使いやすさや省スペースといった価値を提供。世界の部品加工が特に集中する東南アジアをターゲット市場として、販売活動を展開していく。

※1 円筒研削盤とアンギュラ研削盤
円筒研削盤は円筒面だけを研削するストレート機。アンギュラ研削盤は円筒面と端面が同時研削できる。

※2 コレットチャック
筒状のチャックで、筒には中心から放射状に幾筋かの切れ込みが入っている(こうした筒をコレットという)。穴物加工ではワーク内径にコレットを差し込み、内側からテーパやその他の方法で押し広げることにより固定する。