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第30回 ASTEC2009展開催、機械を長寿命化、円滑にする表面改質技術

 ASTEC 実行委員会(事務局:ICSコンベンションデザイン)は2月18日?20日、東京・有明の東京ビッグサイトで「ASTEC 2009 国際先端表面技術展・会議」を開催、約4万7,000人が来場した。

 ASTEC展では、表面改質技術とそれにより改質された表面を測定・評価する技術が多数展示された。機械部品にとって表面改質技術は、潤滑油剤と併用され、あるいはその代わりに使われ動きを滑らかにする潤滑性・低摩擦特性を与え、ロングライフにする耐摩耗性を付与する省エネ、省資源の技術である。

提供:ナノテック提供:ナノテック 特に今回出展が多かったのはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングとその試験・評価機器。DLCはダイヤモンド状炭素の名のとおり、ダイヤモンドに近い硬度(耐摩耗性)と炭素に近い低摩擦特性を持つ。その耐摩耗性と離型性などから非球面レンズなど光学部品の金型などのほか、潤滑性と耐摩耗性などからHDD(ハードディスクドライブ)のディスク保護膜などに、しゅう動特性などから自動車動弁系部品(日産自動車)などに、耐摩耗性や低摩擦特性などから4WD電磁クラッチ(ジェイテクト)などに適用が広がってきている。

 しかし、DLCと一口に言ってもシリコン(Si)含有DLCや水素フリーDLCなど様々で、物性も広い範囲で異なる。DLCの事業化にいち早く取り組んでいたナノテックでは近年、その膜の物性を制御して機能を明確にしたICF(Intrinsic Carbon Film、真性カーボン膜)を開発、医療分野では生体適合性ICF、エネルギー分野ではシリコン材料に代わる太陽電池用ICFなど、機能性コーティング膜で新分野を開拓する。

提供:不二WPC提供:不二WPC また、不二WPCで出展していたのは、金属製品の表面に目的に応じた材質の微粒子を圧縮性の気体に混合して高速衝突させるという表面改質技術WPC。微細で靭性に富む緻密な組織が形成され表面を強化すると同時に、 表面性状を微小ディンプルに変化させることで摩擦・摩耗特性を向上させる。固体潤滑剤の二硫化モリブデン粒子をWPC処理したピストンスカートやエンジンベアリングなどはフリクション低減や耐久性改善が図られている。

 表面改質技術は母材にない特性・機能を表層に付与する。高価な材料を使わずにその表面だけ性質を変え必要な機能をもたせることができる、低コスト化にも貢献する技術で、HONDAで採用されているWPC処理ピストンやセミドライ加工用として採用されるDLCコーティング切削工具など、 環境負荷低減にも有用である。トータルコストダウンは常変わらぬ製造業での命題だが、特にこの不況下にあってはプラスに転じる取り組みの一つでもある。数ミクロン、時には数ナノの膜が機械システムを機能させる表面改質技術。その研究開発を支える試験・評価機器も含めて技術の深化と適用の拡大を望む。