第31回 FC EXPO 2009開催、環境と安全に貢献するメカ・加工技術

 「FC EXPO 2009 第5回国際水素・燃料電池展」が2月25日?27日、東京・有明の東京ビッグサイトで開催、自動車用および定置型燃料電池を中心に多数の技術が展示された。

提供:JHFC: 提供:JHFC提供:JHFC: 提供:JHFC 燃料電池は、燃料流体の水素ガスと、酸化用流体(空気に含まれる酸素)とを電気化学的に反応させることにより発電を行う。自動車で主流の固体高分子型の燃料電池の場合、各発電体部分は、固体高分子からなる電解質膜を酸素側電極と燃料側電極とで挟み込んだ構造を有し、酸素側電極には酸素を供給するために空気が供給され、燃料側電極には燃料流体が供給され、電気化学的な反応により発電が行われる。

提供:JHFC: 提供:JHFC提供:JHFC: 提供:JHFC 発電に際しては、固体高分子型の燃料電池では、イオン交換膜でありプロトン伝導体膜として機能する電解質膜中をイオン(プロトン)が移動し、酸素側電極の酸素と反応して電流が発生し、同時に酸素側電極では水が生成される。燃料電池の発電体部分は、電解質膜・電極複合体またはMEA(Membrane and Electrode Assembly)と呼ばれ、この電解質膜・電極複合体を燃料流体流路や空気流路が形成されたセパレータで挟み込んで発電セルとし、300枚にも及ぶ発電セルを積層することで積層構造(スタック構造)の燃料電池が構成されている。

 航続距離を延ばすためには多くの水素を貯蔵しなくてはならず、一般的には35MPa(350気圧)、将来的には70MPa(700気圧)という高圧で圧縮した水素を積むことになる。水素ステーションから車載タンクへ、車載タンクから発電セルへ、流量をコントロールしながら受け渡しする機器では、高圧水素雰囲気下でのバルブやシール、軸受など機械部品の信頼性が求められる。

提供:トヨタ自動車: 提供:トヨタ自動車提供:トヨタ自動車: 提供:トヨタ自動車 たとえばトヨタFCHV-advでは70MPa高圧水素タンクを搭載、衝突を検知した瞬間にタンクのバルブを閉じ水素の漏れを防ぐ構造としている。センシングとともにバルブシールなどが滑らかに動く必要がある。九州大学では摩擦摩耗特性に優れるPTFE(四フッ化エチレン)などのシール材料の水素中での特性を調べている。

 一方、加工技術も重要である。発電セルのセパレータには、燃料流体流路や空気流路が形成されている。裏表で直交した溝形状となっているのは、表面積を増やし水素を効率よく通過させるため。耐食性に優れるステンレス材料で高精度な流露を確保するには、プレス加工の後にバリの処理などが不可欠で、ここでは独自の砥粒を用いた特殊なブラスト加工などが適用されている。

提供:JHFC: 提供:JHFC提供:JHFC: 提供:JHFC? 燃料電池車は水素と酸素の化学反応により発電を行い、そこで発生した電気エネルギーでモーターを回して走行する。従来の内燃機関と比べエネルギー効率が高く、エンジン音もなく、大気汚染の原因となる窒素酸化物(NOX)や硫黄酸化物(SOX)、粒子状物質(PM=すす)の排出が極めて少ものの、取り扱いの難しい水素を制御し安全性を確保するには、その特殊環境下で機能を発現するメカ技術と部品を形成する加工技術、材料技術によるところが大きい。電気化学的にエネルギーを生み出す燃料電池でもメカの活躍する場面は多そうである。