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大阪ガス、トヨタなど、家庭用固体酸化物形燃料電池コージェネシステムを共同開発

 大阪ガスと京セラ、トヨタ自動車、アイシン精機は、家庭用固体酸化物形燃料電池(家庭用SOFC※1)コージェネレーションシステムを共同で開発することで合意した。

 家庭用SOFCコージェネレーションシステムは、総合効率に占める発電効率の割合が高いことから、熱需要が比較的少ない住宅でも環境性・経済性のメリットを充分に発揮できるほか、発電ユニットが小型で、排熱量が少なく貯湯温度が高いことから排熱利用給湯暖房ユニットもコンパクトに設計できるため、スペースに制約のある戸建住宅や集合住宅への設置性にも優れる。

 大阪ガスと京セラは、環境に優しい家庭用SOFCコージェネレーションシステムの普及拡大を図るため、2004年から共同開発を開始し、耐久性の向上、システムの小型化など、実用化に向けた取り組みを推進、2007年度から「固体酸化物形燃料電池実証研究※2」に参画し、大阪ガスエリア内で45台を実居住住宅で運転、高い省エネルギー性を実証してきた。

 一方トヨタとアイシンは、2001年から共同で発電出力1kW級の家庭用固体高分子形燃料電池(家庭用PEFC※3」)コージェネレーションシステムの開発を実施、2006年度からは「定置用燃料電池大規模実証事業※4」にも参画し76台のシステムを提供、実居住住宅において一次エネルギー消費量の低減やシステムとしての信頼性を検証した。

 今回の合意により、主に大阪ガスが排熱利用給湯暖房ユニット、京セラ・トヨタ・アイシンが発電ユニット(SOFCのセルとスタック※5は京セラ)を担当し、また4社共同で、家庭用SOFCコージェネレーションシステムの評価などを実施する。今後4社は、大阪ガスの排熱利用などのコージェネレーション技術、京セラのファインセラミック技術、トヨタ・アイシンのシステム化技術といった、各社が培ってきた技術やノウハウを統合・活用することで、家庭用SOFCコージェネレーションシステムの開発を加速し、2010年代前半の開発完了を目指す。

※1:Solid Oxide Fuel Cellの略。電解質にセラミックスを用いた燃料電池。
酸素がイオン化し酸素イオンとなって電解質を通過することで水素や一酸化炭素と化学反応し電気を発生。一酸化炭素も利用できる点が大きな特徴。

※2:2007年度から財団法人新エネルギー財団が独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の助成を受け実施している研究事業。家庭用SOFCシステムを一般家庭に設置し、実負荷環境下での実証データを取得することにより、今後の技術開発課題を抽出することを目的として実施。

※3:Polymer Electrolyte Fuel Cellの略。電解質に高分子膜を用いた燃料電池。
水素がイオン化し水素イオンとなって電解質膜を通過。酸素と化学反応し電気を発生。

※4:2005年度から2008年度まで財団法人新エネルギー財団が独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の助成を受け実施している実証事業。家庭用PEFCシステムを一般家庭へ大規模に設置し、実負荷環境下での実証データを取得することにより、技術開発課題を抽出することを目的として実施。

※5:セルとは、燃料極、電解質、空気極からなる単一の電池(発電体)。スタックとは、セルの集合体。単一のセルは起電力が1V以下、出力も数W程度であるため直列に接続してスタックとし、電圧や出力を高める。