第47回 CO2削減の切り札ヒートポンプの市場拡大を!

heatpump 空気中などに無尽蔵に存在する熱を汲み上げて利用するヒートポンプは、燃焼を伴わないシステムのため二酸化炭素(CO2)を排出しないことから、またその熱効率の高さから注目されている。ヒートポンプを使った給湯システム「エコキュート」は年間50万台の市場に拡大、政府は2010年までに520万台普及という目標を立てる。

 燃焼方式の暖房器具では、消費した電力1に対し得られる熱エネルギーが1なのに対し、ヒートポンプを使った冷暖房や給湯システムでは、必要な熱エネルギーを1とすると、その5/6を空気から取り出した熱エネルギーで賄える。つまり、消費電力が必要な熱エネルギーの6分の1で済む。このエネルギー消費量の少なさが、ヒートポンプの最大の特徴であり、またヒートポンプが日本中の空調・給湯・加温機器に普及した場合、日本全体で1年間に排出するCO2の約10%を削減できるとの試算があり、ヒートポンプシステムは地球温暖化対策の切り札とも言われている。

 ヒートポンプは、熱交換器に大気中の熱を取り込み、冷媒のCO2を膨張させて大気中の熱を吸収、その熱をコンプレッサーで圧縮してさらに高温にし、高温になった熱をタンクユニットの水に伝えてお湯にするもの。CO2は地球温暖化係数が1/1000以下と低い自然冷媒だが、高圧側で10MPa以上と動作圧力が高く、またHCFCやHFCなどのフロン冷媒とは異なり、摺動面に塩化物やフッ化物などの冷媒による固体潤滑膜を形成しないため、圧縮機内部の摺動部では摩耗量の増加が懸念される。三菱電機が2005年から市場に投入しているCO2冷媒適用の高圧シェルタイプシングルロータリー圧縮機では、負荷される荷重が大きく接触応力が高くなるベーン先端とローリングピストン外周部の摩耗量増加をする抑制するため、ベーンに対し優れた摺動特性を持つDLC?Si(シリコンを含有させたダイヤモンドライクカーボン)を適用している。

 麻生太郎首相は先ごろ、2020年までに最終エネルギー消費に占めるヒートポンプなど再生可能エネルギーの比率を今より倍増し、世界最高水準の20%まで引き上げたいと明言した。経済産業省総合資源エネルギー調査会第33回新エネルギー部会の試算では、2020年にヒートポンプ利用によって得られるエネルギー導入量が原油換算で2,361万kLとしている一方、同試算のベースとなった「長期エネルギー需給見通し」では、2020年の日本の最終消費エネルギー量は、原油換算で3億9,000万kLと見積もっている。つまり2020年の再生可能エネルギー導入量に対し、その約3割を担うことがヒートポンプに期待されている。ヒートポンプや太陽光発電など太陽起源の再生可能エネルギー利用技術は日本の得意とする技術。これらの普及により、CO2排出量削減とともにわが国の経済発展に寄与することを期待したい。