第53回 日本実験棟「きぼう」が完成、若田飛行士が帰還

 国際宇宙ステーション(ISS)に船外実験プラットフォームと船外パレットを取り付け日本実験棟「きぼう」を完成させた若田光一宇宙飛行士が、4ヵ月半ぶりにスペースシャトル「エンデバー」で元気に帰還した。

issきぼう(提供:JAXA) 日本の有人実験施設「きぼう」は、船内実験室と船外実験プラットフォームの二つの実験スペースからなるが、今回若田さんのロボットアームの操作により取り付けられた船外実験プラットフォームは、船外環境、つまり微小重力、高真空などの宇宙曝露環境を利用して、科学観測、地球観測、通信、理工学実験、材料実験などを実施できる多目的実験スペース。

 ロボットアームの機構や操作については第34回で触れたので詳細は省くが、「親アーム」とその先端に取り付けられる「子アーム」からなるロボットアームのうち、今回は重量4,100kgの船外実験プラットフォームという大型機器のため親アームが使われた。若田さんはまず貨物室に搭載されている船外実験プラットフォームをISS側のロボットアーム(SSRMS)で把持して取り出した。そのままの姿勢で直接取り付けられる位置にないため、いったんスペースシャトル側のロボットアーム(SRMS)に受け渡した後、SSRMSの位置を移動し、再度SSRMSで船外実験プラットフォームを受け取り、「きぼう」船内実験室のEFBMに結合させた。船外実験プラットフォームの。親アームの先端速度仕様は対象物7,000kg以下で20㎜/sとなっているが、10㎜/s程度の作動で5時間半がかりで行った。

aredARED(提供:JAXA) さて、今回注目したいメカは、無重力空間で長期滞在した後に起こる筋力の低下を食い止めたという改良型エクササイズ装置(Advanced Resistive Exercise Device、ARED)。AREDは、スクワットやウェイトリフティングなどの動きで筋力トレーニングを行うための装置。鉄アレイのトレーニングだと持ち上げてしまうと負荷が減るが、AREDは常に負荷がかかっている。ISSに滞在するクルーの1日のスケジュールには、筋力の低下を防止するためAREDを使用したエクササイズが組み込まれており、若田さんはさらに骨粗しょう症の薬も1週間に1回の割合で飲んでいたことから、筋力低下と骨量減少を防止したと見られている。長期滞在に伴うクルーの健康面でも成果をあげたといえよう。

 ISSの運用は2015年に終了する予定。「きぼう」を利用して実験を行う残り5年程度で、宇宙空間という真空環境を利用した、いかに多くの研究成果が出せるか今後に期待したい。