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産総研など、介護予防リハビリ体操補助ロボットを開発

産総研「たいぞう」の外観 産業技術総合研究所( http://www.aist.go.jp )知能システム研究部門・比留川博久研究部門長は、ゼネラルロボティックス(以下、ゼネラルロボティックス)、茨城県立健康プラザ(以下、健康プラザ)と共同で、介護予防リハビリ体操の体操指導士を補助できる人間型ロボット「たいぞう」を開発した。

 たいぞうは、体操参加者からも見やすい大きさ(身長70cm)とキャラクター性、体操を実行できる十分な関節数(26自由度)を持ったロボットで、体操指導士が簡単に指示できるユーザーインターフェースを備えている。また、いすに座って行う体操を中心に、約30種類の介護予防リハビリ体操を実行でき、体操指導士や体操参加者との間で簡単な音声対話を行う機能も備えている。たいぞうを体操指導現場で活用することにより、対象となる高齢者の体操参加意欲を向上させるとともに、体操指導士がより効果的な指導を行うことができると期待される。

 たいぞうのロボットハードウエアとしては、新たに開発した軸剛性の高いサーボモーターモジュールと軽量高剛性の板金機構とを組み合わせ、体操を安定して実行できる剛性を備えたものを開発した。体操の主要な動作を表現するため、肩のヨー軸と腰のピッチ・ヨー軸を含め、全体で26自由度を持っている。

 サーボモーターモジュールは、モーターの現在角度を読み出すためのエンコーダーを搭載していること、出力軸の軸受けを両持ちにするとともに剛性の高い構造で支持して軸剛性を高めたこと、身長70cmのロボットを駆動できる大きな出力トルクを持つことが特徴である。

 さらに、デジタル入出力およびアナログ入力のインターフェースを有しているため、サーボモーターモジュールに直接センサーを接続することが可能となっている。これらの特徴は、中型以上のロボットでは一般的であるが、ホビー用などを主な用途とする小型のサーボモーターモジュールではこれまで開発例がなかった。

 ロボットの構造体は、素材配置の適正化と閉断面の活用によって薄板板金構造の高剛性化を実現し、身長70 cmという比較的大きなロボットの動作を安定に実行することが可能となった。

 体操動作の生成には、産総研の人間型ロボットの動作生成技術を応用し、いすに座った状態での体操動作を容易に生成する方式を開発した。音声認識には、連続音声認識コンソーシアムの成果物でありオープンソースで開発されている汎用音声認識エンジンJuliusの記述文法音声認識機能を使用した。JuliusとRTコンポーネント化された対話制御エンジンSEAT/SATによる文脈に応じた動的な認識モデルの切り替え機能とを組み合わせることで、柔軟な音声対話機能を実現した。この音声対話機能を用いると、約30種類の体操の再生制御ができる。また、音声対話機能を用いて、体操の開始前や体操の合間などに場を和ませるための簡単なやりとりを行うことが可能である。

 これまでの実証実験では、前期高齢者に属する体操指導士が体操指導の際にたいぞうを使用できることが確認された。また、他の体操指導士の報告によれば、指導現場にたいぞうがいて一緒に体操すると体操参加者が普段よりも集中して体操に取り組む傾向が見られ、体操参加者の意欲向上に対する一定の効果が認められた。

 今後事業化に向けて、さらに動作の安定性を向上、コスト低下、構造をシンプルにしてメンテナンス性を向上、などの面からの検討を図り、関節数を22軸としたプロトタイプを開発中である。