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安川電機、製造ラインの組立工程などの置き換えに小型小形双腕ロボット

安川電機「MOTOMAN(モートマン)-SDA5D」 安川電機( http://www.yaskawa.co.jp )は、ロボットへの単純な置き換えが困難であった製造ラインの組立工程、物流プロセスの工程間搬送など、人が行っていた作業をそのままロボットに置き換えられる新世代ロボットのラインアップとして「MOTOMAN(モートマン)-SDA5D」を開発、受注を開始した。主な用途は、製造業における組立作業などのネジ締め、部品組付け・挿入作業、部品搬送、そして物流プロセスにおける搬送作業などの各種部材の工程間・工程内搬送、工程前配膳など。販売価格は880万円/セットで10年度に1,200台の販売を見込んでいる。 

 同社は、人間に近い形や動きをする新世代ロボットを開発し、人間と共存しての作業や補助を行うロボットを量産化し市場へ供給している。現在、自動車・電機・物流業界を中心に生産ラインへ適用され、本格市場投入の2005年末からの累積出荷台数は約2,000台となっており、増加を続けている。

 今回の新製品は、新世代ロボットのさらなる適用範囲の拡大のために小形双腕ロボットを新たなラインナップとして追加した。駆動部は新規開発した小形アクチュエータ※1を搭載し、アームの小形化を実現した。従来のラインナップ(10kg可搬/アーム、20kg可搬/アーム)へ新たに5kg可搬/アームの双碗ロボットを投入することで小物部品の組立・搬送用途において、よりコンパクトな設備レイアウトを実現する。

 新製品の主な特徴は以下のとおり。


  1. スリムアーム&スリムボディ
     小物部品の組立現場では、取り扱う部品や完成品が小さく、作業効率の追求から人の作業環境も狭くなっている。この環境に対応するため、ロボットの肩幅を486mmとし、ロボットの設置床面積も280mm×280mmとA4用紙サイズ1枚半としている。さらに、部品・製品に最も接近する手首部分用に、直径80mmの新規開発の小形アクチュエータを適用することで、アームのスリム化を図っており、部品・製品やアーム同士の干渉を大幅に低減している。また、スリム(軽量)化により、最小限の変更で人が使用していた作業環境をロボット化し、干渉の低減による器用な動きや、速度アップを実現している。
  2. 器用で素早い動作性能
     小物部品の組立作業では、狭い領域での高い精度を伴った細かな作業や、その生産量の多さから、器用で素早い動作が必要。この作業に対応するため、ロボット各軸の動作速度を最大で54%アップ(同社類似機種比)し、繰り返し位置決め精度も±0.06mmと高精度。さらに、アーム関節機構の工夫※2により、動作領域は人以上となっている。これらの動作性能の向上とスリムアーム&スリムボディとの相乗効果で、器用で素早い動作を実現している。

※1:小形アクチュエータ
 ロボットの各関節に埋め込まれている「モータ・減速器・ブレーキ・エンコーダ(回転速度・回転角センサ)」の構成部品を一体化した電動機。構成部品単体の組み合わせ構造に対し、容積を1/3程度に小型化しており、ロボット専用設計で形状、特性を最適化している。

※2:アーム関節機構の工夫
 ロボットアーム中心線と関節の回転中心をオフセット(ずらす)させることで、可動範囲を大幅に増やすことができる。ロボットの小形化で起こる動作領域の狭小化を防げる。ただし、アーム構造や姿勢制御の演算は煩雑になり、新たな技術開発が必要になる。