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 麻薬組織のボスに恋人を殺されたマリアッチ(ミュージシャン)の復讐劇を描いたロバート・ロドリゲス監督作のバイオレンス・アクション。全般的に殺伐とした映像が続くなか、「ラ・バンバ」のロス・ロボスの音楽がラテン系に盛り上げるほか、友情出演のクエンティン・タランティーノらのコミカルな演技が場を和らげる。

 メキシコ国境の町サンタ・セシリア。ギターケースを下げ町に現れたマリアッチ(アントニオ・バンデラス)は、誰もが恐れるギャングのボスで麻薬王のブチョ(ジョアキム・デ・アルメイダ)の命を狙い、一味の取引場所であるバーでブチョの居所を尋ねる。店内の荒くれどもはみんな一味なので白状するわけもなく、店はたちまち激しい撃ち合いの場に。マリアッチを匿う書店オーナーの美女キャロリーナ(サルマ・ハエック)も巻き込んで、組織のボスへの無勢の闘いが始まったが。

 さて、先のバーではあらかじめ、マリアッチの兄弟分がギターケースを持ったブチョを狙う殺し屋のエピソードを大仰に語っていたため、いかにも悪そうな太っちょのバーテンが、ギターケースを手にしたマリアッチが入ってくるや、「ケースには何が入ってる?」と詰問する。初めは穏やかに事を進めるつもりだったマリアッチは「ギターに決まってる」と言うが、もちろん疑って「中身がギターだったら店のおごりにしてやる」と言いながら、仲間にケースの上蓋を開けさせる。ギターが現れ一同が拍子抜けしたのも束の間、ギターらしきものは実は内蓋で、それがゆっくりと持ち上がっていって、その中には武器商人かというくらいの様々な銃が並んでいた。それで戦闘開始、となるわけである。

ロータリーダンパーイメージ(提供:トックベアリング)ロータリーダンパーイメージ(提供:トックベアリング) このギターケースの内蓋がゆっくりと開いた機構はロータリーダンパーであろうか。軸周りに封入したオイルの粘性抵抗によって発生する制動力を利用した回転系のダンパーで、トイレの蓋がゆっくり、静かに閉まったり開いたりする、あれである。

 本作ではマシンガンになるギターケースやロケット弾を発射するギターケースも出てくる。元ギタリストの殺し屋のケースさばき(!?)も見物である。