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第70回 環境分野を核に、成長市場でのビジネス展開が加速

cop15デンマーク大使館提供 コペンハーゲンで開催されていた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)は、最大の焦点だった2020年までの各国の削減目標の義務付けが盛り込まれないまま、19日に閉幕となったが、新興国も含めた主要国のCO2排出削減に向けた枠組み作りへの取組みは確実に始動している。新興国を中心とする成長市場での環境保全に根ざした需要の取込みに向け、潤滑、軸受など機械を支える要素技術メーカーの現地での研究開発、生産、販売が活発化してきている。

 出光興産は先ごろ、ブラジルのサンパウロに潤滑油販売子会社を設立、2010年1月1日から営業を開始する。南米地域の中核であるブラジルは、2007年度のオートバイ生産台数が世界4位となる170万台、自動車生産台数は2008年度で世界6位の320万台に達しているほか、2010年~2014年までの国内総生産は、米ドルベースで年率5.6~16.4%の伸長が見込まれている。現在、ブラジルの潤滑油需要は日本の約7割にあたる140万kLだが、今後環境性能を有した自動車用潤滑油、CO2冷媒を用いた冷凍機用潤滑油など高機能潤滑油の需要が大きく成長すると見込んで、新会社設立を決めた。ブラジルをはじめアルゼンチン、ペルー、チリなど南米諸国での販売を強化、2015年には売上高21億円をめざすという。

 NTNでは早くから、新興市場向けの低価格車用等速ジョイント(CVJ)、CVJとハブベアリングで構成されるモジュール部品であるハブジョイントの商品群を開発しているが、2011年からブラジルの日系自動車メーカー向けにハブベアリングの量産に乗り出す。傘下のSNR社のブラジル工場で製造・供給する。将来的にはCVJの現地生産も検討するという。

 日本精工では、2013年3月期までに新興国で拠点を整備する。同期の中国での売上高を、2009年3月期比75%増の1,000億円と見込むほか、2009年3月期に約1,300億円だった新興国での売上高を2013年3月期には約2,300億円とする計画。生産・販売拠点の整備・拡大のほか、中国に続きインドにも研究開発機能を持たせていく。成長市場での生産が進む中、現地生産した製品の評価から、将来的には市場ニーズに合わせた製品・技術の研究開発期間を早める狙いだ。

 中国で家電向けなどの受注が好調なミネベアは、現地調達率を上げ生産体制を整える。同社では中国で厳しさを増す排水処理規制に先行して完全クローズド水処理設備(排水再利用装置)を導入、政策的に現地生産を円滑化させつつある。

 ジェイテクトは先ごろ13機種の工作機械を発売したが、ここにも成長市場への対応がうかがえる。鉄道車両の車軸の加工に適した複合研削盤は高速鉄道の整備が進む中国やブラジルなどで販促を進めるという。

 各社の拠点整備・拡充や製品・技術の投入は、自動車では新興国の旺盛な需要に対して、産業用ではクリーンエネルギーとして需要拡大が見込まれる風力発電に対して、主に進められている。特に風力発電市場はメンテナンス需要も含め新規ビジネスとして期待がかかる。

 機械の稼動を円滑にする要素技術・製品の開発を促進し、それらをグローバルに普及させていくことで、わが国の景気復興を後押しするとともに、財政支援だけでなく技術的なサポートにより、新興国の地球温暖化防止の活動強化へとつなげてほしい。