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 暖冬と予想されていたこの冬は、連日寒気に包まれている。本作は、コロラドの雪深い山中にあるリゾート・ホテルを舞台に、その管理を任された家族を襲う怨念と狂気を描いた、スティーヴン・キング原作、スタンリー・キューブリック監督のホラー映画。

 作家のジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)は、妻のウェンディ(シェリー・デュヴァル)と息子ダニー(ダニー・ロイド)とともに、冬の間閉鎖するリゾート・ホテル「オーバー・ルック・ホテル」の管理人として住み込むことになる。だがそのホテルでは、前任者の管理人が孤独な生活のために発狂し、妻と二人の娘を斧で殺し自殺したという。「シャイニング」と呼ばれる幻視能力を持つダニーは、ホテルに着くや、エレベーターの扉から流れ出る大量の血と、その前に立ちつくす双児の少女の姿を幻視する。一方、ジャックは一向に進まない執筆への苛立ちから次第に不安定な状態に陥り、ついには前任者の怨念に取り憑かれ、斧を持って家族を恐怖に駆り立てていく。

 さて、雪深い山奥のホテルに物資を届ける唯一の手段は、雪上車である。歩行の難しい、軟らかい積雪の上を走行しなければならないうえ、登坂、旋回などの運動性もより求められるため、雪上車の接地圧力は0.12kg/cm2以下にして、積雪での運動性能を確保している。そこで駆動輪に無限軌道のゴム・クローラーというものを履かせるわけである。エンジンブレーキの利きもよく、安全性も高い。母子は雪上車で脱出できるのか。ジャックの斧でのすさまじい追撃をかわせるのか…。

 近年は『恋愛小説家』などでユーモラスな顔も見せているジャック・ニコルソンだが、斧でドアを突き破って母子に襲いかかる狂気にあふれた演技は圧巻である。