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 本作は、第二次大戦中、ドイツ軍の第3捕虜収容所に収容された連合軍将校全員250人を脱走させようという史実に基づく物語。

 脱走常習者・連合軍空軍将校たちが運び込まれているドイツ第3捕虜収容所にビッグXと呼ばれる空軍中隊長シリル(リチャード・アッテンボロー)が入所するや、連合軍捕虜250名全員を脱走させようという壮大な計画が立てられた。ビッグXの指揮の下、“トンネル王”クニー(チャールズ・ブロンソン)や“独房王”ヒルツ(スティーブ・マックィーン)などが協力して、収容所を囲む鉄条網の外の森へと抜ける数百フィートのトンネル掘りとそれを使った一大作戦が始まった。

 トンネル掘りはまず深さ90cmくらいまで掘り下げた後、そこを起点に地面に平行して坑道を作っていく。収容所の外、森の下からは垂直に上へと掘って脱出口ができあがる。掘り進めながらレールも敷設し、そのレールの上を、掘った土を坑外に運び出すトロッコを走らせる。壁や天井が落盤しないよう貼り付けたセグメントタイルの代わりは、ベッドを解体した木材である。実に掘削機シールドマシンのようである。脱出も出口の番がロープで牽引したトロッコに頭を低くして乗った脱出者がレール上を滑走する。酸素を補給するエアポンプも自製している。エア漏れがないよう革袋で作った蛇腹のシール(ブーツ)まで備えた念の入れようである。

 中立国スイスを目指しバイクで爆走するスティーブ・マックィーンの姿が印象に残っている方も多いだろうが、リチャード・アッテンボローやチャールズ・ブロンソンなど名優の存在感も光る。あらためて見直すと、独房で壁を相手にキャッチボールしたり、芋焼酎を作って皆に振る舞ったりするマックィーンのコミカルな演技も何とも貴重である。