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三菱重、原子力発電設備でスペイン・イベリンコ社と協業

 三菱重工業( http://www.mhi.co.jp )は、欧州での原子力発電所建設の入札パートナーとして、スペインのエンジニアリング会社、イベリンコ社と協業していくことで合意、覚書を締結した。

 世界最大級(170万kWクラス)の加圧水型(PWR)原子力発電設備である同社EU-APWRの欧州市場への浸透を加速するのが狙い。今回の協業合意を皮切りに、今後EU-APWRに関して欧州企業との提携も強化しながら、拡販に注力していく。

 覚書は、EU-APWRを対象とし、その建設に当たっては、三菱重がプラントの総合エンジニアリングと主要機器・設備を担当、イベリンコ社が据付工事、周辺機器の設計・調達、試運転を手掛けて協業するとした内容。当面は、欧州で具体的に建設が計画されている案件の獲得に向け協業していく。

 イベリンコ社は、スペインの大手電力会社イベルドローラ社グループのエンジニアリング・建設部門を担う企業。火力、水力、原子力、風力、太陽光などの各発電プラント、配送電ネットワークなどのEPC(設計・調達・建設)を手掛けるグローバル企業で、電力産業向けエンジニアリング部門で世界第2位の規模を誇る。原子力分野では、蒸気発生器(SG)の取替工事やタービン換装工事など多数の実績を有している。

 EU-APWRは、日本原子力発電(株)敦賀3、4号機向けに建設準備工事中の改良型PWR(APWR、153.8万kW)をベースとして、欧州各国の規制や顧客のニーズを反映させた最新型PWR。同規模のPWRプラントであるUS-APWRと同様、従来PWRに比べ、機器・出力の大型化、世界最高レベルの熱効率を実現するとともに、新たな自動安全システムやデザイン要素を取り入れることにより、大幅な経済性向上をはかっており、現在、欧州各国で安全要求に合致するフィージビリティ・スタディ(F/S)を精力的に進めている。

 欧州においても、2030年頃までに数十基の新設原子力発電プラントの需要が見込まれるなど、原子力発電導入・再開の機運が高まっている。

 三菱重は、米国において、ドミニオン社向けに3基目のUS-APWRの採用が内定するとともに、米国企業とのアライアンスを構築しており、欧州市場においてもEU-APWRの受注に向けて、現地企業との協業にも力を注ぎつつ、積極的な営業活動を展開していく。