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第95回 機械要素技術展にみるドライ潤滑技術

機械要素技術展 機械要素、加工技術を一堂に集めた専門展「第14回機械要素技術展(M-Tech)」が6月23日~25日、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された。今回は、従来からのモーション技術、モータ、油空圧機器、機構部品・関連製品、ねじ・締結技術、ばね、機械材料・加工技術、表面処理・改質、試験・計測機器/センサ、バリ取り・表面仕上げ、工具の11の専門フェアに加えて、洗浄、大物・厚物加工、微細・超精密加工、部品供給・検査の四つの専門フェアが新設、さらに医工連携の流れを受け、医療機器を開発、製造するための部品、装置などの専門展「医療機器 開発・製造技術EXPO」が新設された。この医療機器に代表されるように、今回の展示では、機器を無潤滑で稼働させる技術が目立った。

thk提供:THK たとえばTHKでは、油が使えない高真空環境下(~10-6[Pa])での仕様に最適な特殊環境用オイルフリーLMガイド(直動案内)を出展、転動体に新開発の固定潤滑S膜を使用することでグリースを排除、構成部品をオールステンレス材としたため、半導体製造装置などでの低アウトガス・低発塵を実現する。


nankai提供:南海精工所 南海精工所では、SUS440Cステンレス鋼を使用することで腐食環境、クリーンルームや食品機械などに使える調心機能付きステンレスベアリングを出展した。搬送ローラなどの軸のたわみや取り付け不良などで生じる軸心の誤差を調心し、軸受への異常な負荷を減らす。密閉装置としてシール、シールドを使用しつつ、食品機械用NSF-H1(食品と偶発的に接触する可能性のある箇所で使用が認められている潤滑油)グリースや低発塵グリース、フッ素グリースを封入することで食品機械や半導体製造装置などに使用できるが、さらに油を嫌う環境ではグリースを使わず固体潤滑剤を使用、低摩擦のセラミックボールやフッ素樹脂シールなどの仕様で無潤滑を実現する。

kashima提供:鹿島化学金属 鹿島化学金属では、食品機械の搬送コンベア用ステンレスベアリングに替えて、無潤滑仕様の樹脂で食品にも安全なPEEK材を使用したプラスチックベアリングを出展した。同様に水中や溶液中で使える、PEEKなど無潤滑エンプラを使ったスプロケットも出展、近く販売を開始する予定という。


rbc提供:三和油脂 日清オイリオグループでは先に植物油由来の食品機械用潤滑油を開発しているが、今回、三和油脂と東北大学・堀切川一男教授(開発当時は山形大学)が共同開発した脱脂米ぬかを原料とした硬質多孔性の炭素材料「RB(Rice Bran)セラミックス(RBC)」を販売することを打ち出した。毎年発生する農業系植物資源(米ぬか)を有効利用し、廃棄しても自然環境に害を与えないエコマテリアルであるRBCは、軽量で高強度、高硬質、低摩擦、優れた耐摩耗性を示すため、水のかかる環境や油が嫌われる環境で使われる無潤滑のすべり軸受の摺動材として、実績を持つ。

nsk提供:NSKマイクロプレシジョン また、今回新設された「医療機器 開発・製造技術EXPO」では、NSKマイクロプレシジョンが、従来のステンレス鋼SUS440C以上の高耐食性を示す4化学成分の適性添加と微量元素を調整した新開発材料(TBN-6)に独自熱処理技術を施した高耐食ベアリングを展示した。化学薬品などで侵食されやすい医療器具や精密機器、屋外で使用される機器のほか、塩水にさらされる船舶や釣具など広範な用途で、無潤滑で高い機械的性質を発揮する。住鉱潤滑剤では「機能部品・関連製品フェア」で潤滑性、耐食性、耐薬品性、耐熱性などの複合機能をもつ高機能ドライフィルムを展示していたが、この「医療機器 開発・製造技術EXPO」の出展社・来場者からも注目を集めたという。

 半導体やフラットパネルディスプレイ、太陽電池など特殊環境となる製造工程が増えてきているなか、また医療分野での生体適合性など人にやさしい機械技術が求められるなか、昨今話題のダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングだけでなく、各種ドライ潤滑技術の適用はますます広がってきている。