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産総研、耐熱衝撃性と高温での強度を高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発

産総研「試作した金属溶湯用管状部材(直径82 mm 長さ370 mm)」 産業技術総合研究所( http://www.aist.go.jp )は、三井金属鉱業と共同で、従来品に比べて耐熱衝撃性と高温での強度を飛躍的に高めた窒化ケイ素系セラミックスを開発した。

 今回、窒化ケイ素(Si3N4)をベースとして、高い熱伝導率をもつ粒界相を形成させるとともに、そこに非晶質に近い窒化ホウ素(BN)のナノメートルオーダーの微粒子を分散させることで、耐熱衝撃性を飛躍的に向上させた。

 従来の窒化ケイ素が1,000℃の温度差で強度が低下するのに対して、今回の開発材は、電気炉で1,400 ℃に加熱した後水中に投下することを10回繰り返してもほとんど強度が劣化しなかった。また、この開発材について大気中1,200 ℃で高温曲げ試験を行ったところ、室温と同程度の強度を保持していた。

 セラミックスでは大型化すると小試験片では得られた特性が得られず、実用化を進める上での課題になることが多いが、この開発材では、焼結条件を最適化することによって、直径82mm長さ370mmの比較的大型の部品でも、試験片と同様の組織、物性が得られた。また、実際の製品形状に近い部品の焼成も可能となった。

 今後、今回開発した材料を使って、アルミニウム鋳造用だけでなく、亜鉛、鋳鉄、鉄鋼系の鋳造など、より過酷な使用条件のプロセスにも適用できる大型部品をターゲットとして部材化技術を確立し実用化を図る。