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三菱重、マカオでゴムタイヤ方式の全自動無人運転車両を受注

 三菱重工業( http://www.mhi.co.jp )は伊藤忠商事と共同で、マカオ政府が新たな社会資本整備として建設を計画している軌道系交通システム(Macau Light Rapid Transit:LRT)一式を受注し、契約を締結した。

 これは、マカオの半島側とマカオ国際空港のあるタイパ島を全自動無人運転のゴムタイヤ式車両(APM:Automated People Mover)で結ぶもので、このプロジェクトが完成すれば、経済発展に伴い深刻化している都市部の渋滞解消に大きく貢献することとなる。完成は2015年2月の予定。

 マカオLRTは、中国広東省珠海市と境を接するマカオ北部(出入国検査場)からタイパ島までの全長約20kmを結ぶ新交通システム。路線は数kmの地下トンネル以外は高架で、マカオフェリー埠頭のある沿岸部や、カジノ施設が林立する市中心部を経由。西湾大橋を渡ったタイパ島では、埋立地であるコタイやマカオ国際空港を経て、北安フェリー埠頭のある終点に至る。車両基地も1ヵ所建設する計画。営業開始は 2015年4月の予定。

 今回受注したのは、駅舎と土木工事を除くLRTシステム一式で、具体的には、APM車両(110両)、供電設備、通信システム、軌道工事、検修設備、ホームドア、料金機械など。オプションとして増車やメンテナンスが含まれている。

 観光・カジノ産業の隆盛を背景に経済成長を続けるマカオは、これまで鉄道やモノレールなどの軌道系交通機関を持たず、市内中心部の渋滞が深刻化していた。今回のLRTは、マカオ・広州・珠海を一体的に開発する壮大な計画の一環で、フェーズ2、3のプロジェクトも計画されている。

 APMは、完全自動運行システムで無人走行する新交通機関。電気で動くため排ガスで空気を汚さず、また、ゴムタイヤ走行方式を採用しているため、運行が滑らかで、低騒音であるのが特長。三菱重工業はこのAPMシステムをこれまで、シンガポールのセンカン/プンゴル線などの新交通のほか、米国マイアミ/ワシントン/アトランタ、香港、シンガポール・チャンギ、韓国・仁川、ドバイの各空港向けに受注している。また、昨年6月には、東京臨海新交通臨海線(ゆりかもめ)向け新造車両108両を一括受注するなど、世界市場でトップを争うポジションを確立している。今回の受注はこれらの実績と信頼性が高く評価されたもの。