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中部電力など、鋳造工場向けにアーク式取鍋加熱装置

 中部電力は、トヨタ自動車および特殊電極と共同で、鋳造工場向けに、省エネルギー化を実現した「アーク式取鍋加熱装置」を開発、特殊電極から受注販売を開始した。

 鋳造工場では、金属を溶かす溶解炉から鋳型を造る造型ラインへ「取鍋(とりべ)」と呼ばれる耐火容器を用いて溶けた金属(溶湯)を運搬し、鋳型に溶けた金属を流し込む注湯の工程を経て、製品(鋳物)を取り出し、出荷している。取鍋は、溶湯の温度低下を防ぐため、溶湯を注ぐ前に内部を予熱しておく必要がありる。

 この予熱作業では、通常ガスバーナーが用いられるが、ガスバーナーを用いた予熱では、排気による熱損失が大きいため、多くの時間とエネルギーを要するほか、排熱によって取鍋周辺の雰囲気が高温となることが課題だった。

 また、取鍋の定期的なメンテナンス時には、取鍋内側の耐火物を張り替え、耐火物の強度を向上させるために所定の昇温速度で加熱乾燥を行うが、ガスバーナーでは取鍋内部温度のばらつきが大きくなるため、同様の課題が生じていた。

 開発品では、従来のガスバーナーに比べて熱源温度が高いアーク加熱方式を採用するとともに取鍋をほぼ密閉状態にすることで、加熱時間の短縮とエネルギーの大幅な削減を実現した。また、アーク式は取鍋内部温度を制御しやすいため、加熱乾燥においてもエネルギーの損失を大幅に削減することが可能となる。

 さらに、ガスバーナーでは、多量の燃焼排気が工場内に放出されて、取鍋周辺の雰囲気が高温になるが、アーク式では化石燃料の燃焼排気が発生しないため周辺温度の上昇が抑えられ、断熱蓋の設置で騒音も低減できることから、作業環境の改善にも役立つ。

装置の外観装置の外観