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第184回 人とくるまのテクノロジー展2013でEVから表面改質技術までを展示

 自動車技術会は5月22~24日、横浜市西区のパシフィコ横浜で第22回自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2013」を開催、475社(986小間)で製品・技術の展示が行われた。

SIM Driveが展示を行った「SIM CEL」SIM Driveが展示を行った「SIM CEL」 車両展示では、電気自動車(EV)ベンチャー企業のSIM Driveが一般向けには初公開となる試作EV「SIM-CEL」を展示。0から100km/h加速4.2秒という加速性能の他に、世界最高レベルの効率となる電力消費量を実現した車両を紹介した。また、先行開発車事業第3号参加企業の中からは宇部興産がPP製樹脂製の軽量、高剛性が特徴の「ツインコーン」など、三五がハイドロフォーミング加工による軽量高剛性スティールスペースフレームなど、GMBが電動式ウォータポンプやサスペンションなど、大同工業が軽量化部材など、日本特殊陶業がハブベアリング向けに供給したSiN(窒化ケイ素)製のボールなどのパネル出展を行い、SIM-CELに実際に搭載されている新しい技術を紹介した。日産ブースでは、同社が省エネ大賞・経済産業大臣賞を受賞した「LEAF to Home」電力供給システムや1.2GPa級高成形性超ハイテン材を使用した車体骨格モデル、エルグランドに搭載した世界初の新技術「踏み間違い衝突防止アシスト(駐車枠検知機能付)」等の最新技術を展示し、同社の環境、安全への取り組みを紹介した。

ジヤトコのブース第63回自動車技術会賞 技術貢献賞の業績として展示されたカットモデル 自動車メーカーからEVやHEV、省燃費技術が中心に紹介された中、自動車用変速機(AT・CVT)の専門メーカージヤトコでは、新世代CVTである世界初の副変速機付CVT「Jatco CVT7」、中型と大型FF車用の2台の「Jatco CVT8」やそのハイブリッド車対応モデル「Jatco CVT8 HYBRID」などのCVTフルラインナップを展示、CVTの優れた環境性能を紹介した。また、第63回自動車技術会賞 技術貢献賞を受賞した「トライボロジー技術を通じたAT・ベルトCVT技術の進歩発展への貢献」(加藤芳章氏)の業績としてカットモデルを展示した。

大豊工業のブース大豊工業の展示物 要素技術では、大豊工業が二硫化モリブデンとバインダーであるポリアミドイミド樹脂による固体潤滑剤コーティング「RAコーティング」を成膜したすべり軸受やエンジン用スラストワッシャ、トランスミッション用スラストワッシャなどの展示を行った。同コーティングを施したエンジン用部品は低燃費用エンジンへの採用が広がっているという。またNTNでは車両1mmの動きを検知する「広域・高分解能小型センサ」とタイヤからの検知反応時間を5分の1に短縮する「多軸荷重センサ」を内蔵した「高機能センサ内蔵ハブジョイント」や、HV等の協調回生ブレーキ用としてモータの回転運動を精度良く直線運動に変換し、油圧ブレーキ力の調整でより多くの走行エネルギーを回生し航続距離が向上する「ボールねじ駆動モジュール」などを紹介した。

神戸製鋼所のブース「MACHAONコート KS-G」をコーティングした金型 表面改質関連では、パーカー熱処理工業がリニア・イオン・ソースとUBMスパッタ、FCVAソースの適切な組み合わせで基材との密着性が高く多様なDLC膜をコーティングできる「ハイブリッドDLCコーティング」、また自動車・部品メーカーに多く採用実績のある熱処理装置としてコールドウォール・システムを採用し作業環境や人への影響を軽微にしたセル型低圧浸炭設備「ICBP」などの提案を行った。神戸製鋼所は、ハイテン材冷間プレス加工等の高負荷のかかる成形金型において金型の耐久性を向上させるPVDコーティングとして「MACHAONコート KS-G」を提案。この技術は基材上に密着・基材保護層としてCr系被膜を5μm、耐摩耗・耐熱層としてTi系被膜5μmの二層で構成することにより、VC(TD)処理と同等の耐面圧性、VC(TD)やTicを上回る耐熱性を有しているという。

 東洋ドライルーブは、二硫化モリブデンやグラファイト、フッ素樹脂等の潤滑物質と各種バインダーを配合し、各種溶剤または水に分散させた有機結合型の機能性被膜を紹介。自動車業界で多数実績のある固体被膜被膜潤滑剤として処理を行った様々な部品の展示を行った。スルザーメテコジャパンでは最新の溶射装置、溶射ガンおよびサンプルを展示。欧州等で豊富な実績を誇るスルザーメタプラスのPVD/DLCサンプルや、スルザーフリクションシステムズのシンクロナイザーリングおよび摩擦材の展示と技術紹介等を行った。フランスパビリオンの一角として出展したH.E.Fグループは、耐摩耗性や耐食性を高める塩浴軟窒化処理「タフトライド処理」やPVDプロセスによるDLCコーティングの処理品をサンプル展示し、日本国内でも同グループの技術を導入した企業による受託加工が可能であるとPRした。

 日本自動車工業会が公表している2012年度の国内需要は5,210,291台で、前年度の4,753,273台に比べ9.6%の増加となり、2年連続で前年度を上回った。生産拠点の海外移転が進んでいるとはいえ、依然として自動車産業は裾野が広く我が国産業の中枢であるといえる。近年、HEVやEVに加えてFCV(燃料電池車)などの開発も進んでおり、これらに関連する要素技術も多岐に渡る。機械要素技術に関わる中小製造業としては、自動車に求められる高度な研究・開発能力をさらに高めた上で、他産業への応用を進めていくことが望まれる。