日立製作所、カーボンナノチューブを探針に用いた近接場光学顕微鏡を開発

 日立製作所は、カーボンナノチューブ(CNT)を探針(プローブ)に用いた近接場光学顕微鏡(NSOM:Near-field Scanning Optical Microscope)を開発し、波長850nmのレーザー光を用いて、幅5nm(1nmは100万分の1mm)の金のパターンの画像化に成功した。

 開発したNSOMは、4nmに尖らせたCNTの先端に近接場光と呼ばれる物体表面近くだけに存在できる特殊な光を生成し、これを走査することによって物質表面から反射する光を分析・画像化する技術。光による計測は大気中あるいは液中で、物質にダメージを与えることなく組成や分子構造を測定できることから、今後、生体細胞や先端高機能材料のnm単位の分析に道を拓く技術として期待される。

 細い針を移動させて物質表面の状態を調べる走査プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)は、1986年にGerd BinnigとHeinrich Rohrerがノーベル物理学賞を受賞した走査型トンネル顕微鏡(STM:Scanning Tunneling Microscope)や原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)などが、すでに産業分野に応用されている。これらのSPMは、原理的に物質表面の凹凸は測定できるが、物質の組成やどのような分子構造であるかなどの分析はできない。これに対して、プローブの先端から細い光を出し物質表面から反射する光の情報を分析するNSOMは、微小部分の組成や分子構造を知ることができる。また、大気中や液中で測定を行えるため、生きている細胞などの計測に適しているという。

 一方、NSOMの最大の課題は、微小な光スポットを作り出すことだという。たとえば、人間の目に見える光の波長は約500nmナノメートルのため、数nmの対象物を観察するためには、これを数百分の一に絞らなければならない。今回、日立は、プローブにCNTを用いることで、数nmの大きさの金のパターンの画像化に成功した。