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三菱重工業、製鉄機械事業でドイツ・シーメンスと合弁会社設立

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 三菱重工業は、ドイツのシーメンス社(Siemens AG)と、製鉄機械の合弁会社を設立することで合意したと発表した。2015年1月に設立する予定。製鉄機械事業における製品ラインナップの拡充とグローバル展開を加速するのが狙いで、新会社は製鉄プロセスの上流から下流までをカバーする製品をフルラインで供給する体制の整備と全世界を網羅する事業ネットワークの構築に取り組むことにより、顧客に対し、より付加価値の高い製品・サービスを提供することを目指す。

 新合弁会社は、三菱重工業の連結グループ会社で日立製作所およびIHIが出資する三菱日立製鉄機械と、シーメンスグループ会社がドイツ、オーストリア、米国などに持つ製鉄事業を分割・集約することにより、英国国内に設立する。傘下に事業会社を抱える。出資比率は三菱日立製鉄機械51%、シーメンス49%とする計画で。

 新合弁会社は、日本(東京/広島)、オーストリア(リンツ)、ドイツ(エアランゲン)、米国(ピッツバーグ)、中国(上海)、インド(ムンバイ)の6ヵ所に地域拠点を置き、全世界をカバーする計画。製品ライン別の事業部は、東京/広島、リンツ、エアランゲンの3ヵ所に分けて設置し、その他の三菱日立製鉄機械とシーメンスの既存事業拠点は、担当製品により、東京/広島またはリンツの傘下に入る予定。英国本社は、事業部も含め地域拠点を統括するとともに、販売・マーケティング・顧客管理、調達、製造、研究開発計画等の組織横断的機能を持ち、各拠点をバックアップしていく計画。新会社発足時の従業員は約9000人を予定している。

 2000年10月に三菱重工業と日立製作所の合弁会社として発足した三菱日立製鉄機械は、昨年10月にIHIメタルテックとの圧延機分野における事業統合を完了。連続鋳造、熱・冷間圧延、条鋼圧延から、最下流となる連続焼鈍・亜鉛めっき設備までの製品供給が可能になっている。今回、シーメンスとの合弁により、最上流の高炉・電炉設備が加わることで、製品ラインナップが拡充され、全製鉄プロセスでの製品供給能力が高まる。  

 また、両社が得意とする地域の補完効果も大きく、アジア、欧州、ロシア、北中南米、アフリカなど、全世界での事業展開を加速することが可能となる。さらに、三菱日立製鉄機械の高いプロジェクトマネジメントノウハウや、シーメンスが持つ豊富なサービス事業ノウハウを活用し機電一体として相乗効果を追求することにより、事業機会の拡大を図る。

 世界の鉄鋼業界では、設備過剰、原材料コストの増大、製品価格低下などの影響により、設備投資意欲が低調に推移すると予想される。そうした状況下で、今回の合弁合意は、製品拡充と事業拠点網の整備により事業強化を目指す日本側と、事業ポートフォリオ見直しのなかで製鉄機械事業の体質改善を急ぐシーメンス側、両者の狙いが一致したことにより実現したもの。