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竹中工務店など、疲労耐久性を約10倍に高めた新合金を用いた制振ダンパーを開発

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 竹中工務店は、物質・材料研究機構(NIMS)、淡路マテリアと共同で、制振ダンパーの素材として現在一般的に使われている鋼材(低降伏点鋼)の疲労耐久性を約10倍に高めた新合金(特許出願済)を用いた制振ダンパーを開発した。2015年11月竣工予定の「JPタワー名古屋」に、最大荷重4000kNの本制振ダンパーが、高層棟の低層階部分(1階~4階部分)に16基配置されている。

 開発したダンパーは、長周期・長時間地震動などにより繰返し変形を受けても安定した性能を維持し、建物の耐震性能余裕度が向上する。

 開発した制振ダンパーの心材には、NIMSが鉄を主成分として高濃度のマンガンやケイ素などを添加して開発したFe-Mn-Si系新合金を用いている。疲労耐久性だけでなく延性、耐腐食性も優れている。

 ダンパーの開発では、竹中工務店がこの新合金を心材とした新型ダンパーの最適形状設計と性能評価を行った。また、溶解・加工が困難な新合金の製造技術開発を淡路マテリアが担当し、大型化と量産化に不可欠なFe-Mn-Si系合金初の電気炉溶解とダンパー心材用素材板の製造を日本高周波鋼業が実施した。

 今後は、主に超高層建物の長周期・長時間地震動対策として、本制振ダンパーをオイルダンパーや摩擦ダンパーなど従来のダンパーと併せて適材適所に採用するという。

Fe-Mn-Si系制振ダンパーの外観 Fe-Mn-Si系制振ダンパーの外観