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東邦テナックス、生産性を大幅に向上させた高速硬化タイプのプリプレグ

 帝人グループで炭素繊維・複合材料事業を展開している東邦テナックスは、生産性を大幅に向上させた高速硬化タイプのプリプレグ(炭素繊維シートに樹脂を染み込ませたもの)を開発した。

 プリプレグは熱硬化性炭素繊維複合材料(CFRP)の中間材料として使用されるもので、主にオートクレーブ成形などにより、航空機や自動車部品などに向けたCFRPの製造に用いられている。こうした成形方法によるCFRPは、高い強度特性を発揮する一方、成形に要する時間が長く、加工費用も増大傾向にあるため、生産性向上とそれによる加工費用低減が課題となっていた。

 今回、同社が開発したプリプレグは150℃×3分間で硬化させることができ、成形時のレジンフロー(成形工程での加圧によりプリプレグ中の樹脂が流れ出す現象)が少なく、優れた成形性および高い表面外観性を実現することができるという。また、これを用いてプレス成形することにより、同社の従来タイプのプリプレグに比べて生産効率を数十倍に向上させることができ、年産5万個程度のCFRPの量産に対応することが可能となる。

 加えて、0.5MPa程度の低圧力でも成形が可能となるため、内圧成形による中空品など、スポーツ用途や一般産業用途にも使用することができ、さらに難燃性のあるグレードも開発していることから、家電用途や車両用途などに幅広く活用できる。

 同社では、すでにこのプリプレグを自動車用途に向けて展開している。将来的には、航空機用途やこれまで使用実績のない用途の開発を進めるという。