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山陽特殊製鋼、ピッチング損傷による疲労寿命を5倍向上の高強度肌焼鋼

ECOMAX4の適用事例(ギヤ・シャフト)ECOMAX4の適用事例(ギヤ・シャフト) 山陽特殊製鋼は、ニッケル・モリブデンフリー高強度肌焼鋼「ECOMAX4」を開発、商品した。ターゲットとなる主な用途は、クロム肌焼鋼(SCr420)やクロムモリブデン肌焼鋼(SCM420)、ニッケルクロムモリブデン肌焼鋼(SNCM420)等が用いられる自動車、建設機械、産業機械などのギヤやシャフト、軸受部品等で、すでに量産が決定しているという。

 同品は、希少資源であるニッケル(Ni)やモリブデン(Mo)を使用しない省希少資源型肌焼鋼。 鋼の本来の性能を引き出す同社の高清浄度鋼製造技術をベースに、クロム(Cr)やシリコン(Si)等の合金バランスの設計技術と素材製造プロセス条件の最適設計により、大幅な疲労寿命の向上とその安定化を図るとともに、部品製造コスト低減につながる特性を実現した。

ECOMAX4の疲労強度とコストECOMAX4の疲労強度とコスト また同品は、一般的な肌焼鋼(JIS SCM420等)に比べて高い軟化抵抗性を有するとともに、浸炭した部品の表層にき裂が生じにくい特性を有することで、高いピッチング疲労寿命を実現している。特に、ギヤの寿命を左右するピッチング損傷に対しては、従来鋼比で5倍以上という高いピッチング疲労寿命を実現しているという。

 さらに、鋼中に結晶粒粗大化を抑制する微細ピンニング粒子を多量に析出させたことで、浸炭焼入れ時においても結晶粒が微細な状態で安定する。その結果、従来必要とされていた焼ならし工程の省略が可能となった。浸炭焼入れにおいては、部位による変態の時間差を小さくする合金組成としたことで、熱処理時の変形が抑えられる特性を有していることから、焼入れ後の矯正・修正加工の簡略化が可能になった。

部品製造工程の一例部品製造工程の一例

 これら特徴により、適用部品の飛躍的な疲労寿命向上を実現し、自動車のギヤ・シャフト等をはじめとする部品の小型・軽量化に寄与するという。