DLC工業会、若手人材の研修を目的に実務者向け研修会を開催

 DLC工業会は11月8日、千葉県柏市のナノテックでDLC膜の基礎に関する講義から各種試験機による実務研修を行う「一般社団法人DLC工業会 平成30年度実務者向け研修会」を開催した。今回初めての開催となる同研修会だが、今後、DLCコーティングにおける若手人材の研修を目的に年1回開催をしていく予定だという。

 会の冒頭、挨拶に立った中森秀樹会長は、「DLC工業会も発足から3年目を迎えた。これまで、私がNDF(ニューダイヤモンドフォーラム)の理事や、NDF内でDLC標準化事業のプロジェクトリーダーなどを務めてきたが、このほど理事を退任しDLC工業会の仕事を積極的に行う立場となった。今年からはこれまでNDFが行っていたDLCの国際標準化の一部を担う。今のところ来年くらいまではNDFと当工業会で連携しながら標準化を展開することになっているが、再来年あたりから当工業会単独で国際標準化を進めていく予定なので、皆さんのご協力をお願いしたい」と述べた後、以下の講義が行われた。
挨拶する中森会長挨拶する中森会長

・「DLCの基礎と応用~成膜技術から評価まで~」平塚傑工氏(DLC工業会 理事)…DLC膜の構造とその分類図や成膜方法、DLC膜の特性と効果、適用例などの基礎的な解説を行った。DLC成膜の設計のポイントでは、受託加工メーカーのノウハウとなっている中間層の最適化、各成膜手法による分類と使い分け、ドーピング技術などを解説した上で、各成膜手法によって異なる特性を持つDLC膜を適切な用途に対して適用することでそれぞれのメーカーのオリジナリティが出てくる、とした。また、評価においてはISO 18535として2016年3月に発行されたボールオンディスク法によるDLCの摩擦摩耗評価法など、これまでに国際規格として登録されている試験・評価方法を紹介した。
講義を行う平塚氏講義を行う平塚氏

・「マイクロスクラッチ試験と規格化」新井大輔氏(レスカ 部長)…薄膜表面に圧子を押し付け微小振動しながら引っ掻くことで、膜の破壊を検出するマイクロスクラッチ試験の原理や実際の測定データを示しながら得られる結果などについて解説を行った。マイクロスクラッチ試験は、サブミクロンオーダーの被膜の変化を高感度に検出することや、JIS R 3255に準拠していることを特徴として挙げ、測定条件を揃えた上で薄膜の優劣を調べる比較試験としての利用に価値があるとした。また、膜厚300nm以下のDLC膜の密着性評価として、ISO規格化に向けた活動を進めていることなども報告した。
講義を行う新井氏講義を行う新井氏

・「堀場製作所の分光計測技術のDLCへの適用」和才容子氏(堀場製作所)…非破壊・非接触でDLC膜のGバンドとDバンドが評価できるラマン分光、DLC被膜中の水素含有量が評価できるGD-OES、DLC膜の膜厚や屈折率(n)、消衰係数(k)などを分析するエリプソメータについて解説。ラマン分光ではグラフェンのG/Dバンド比を調べることでグラフェンの総数を識別することができるとした。GD-OESでは、RBS/ERDAの水素定量結果と良い相関を示しており、大規模な装置が使用できない場合でも身近で迅速に水素の簡易定量化が行えるとした。エリプソメータでは、結晶性と光学定数(n-k)の変化、導電性と光学定数の変化、見た目の色と光学定数について、構造による光学定数の違いなどを示し、エリプソメータによるDLC膜の光学測定評価法についても国際標準化が進んでいる状況から必要性が高まっていく、とした。
講義を行う和才氏講義を行う和才氏

 講義終了後は、同工業会新規会員のiQubiq 代表取締役 松尾 誠氏、ウエキコーポレーション 部長 富田明彦氏が事業紹介を行った後、摩擦摩耗試験機、エリプソメータ、スクラッチ試験機を実際に操作する実務体験を行った。研修会終了後には参加者に研修修了証が発行された。
実務体験のもよう実務体験のもよう