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NTN、耐蝕性・耐焼付き性・耐摩耗性に優れる低摩擦滑り軸受を開発


 NTN(Tel.03-5487-2815、http://www.ntn.co.jp)は、潤滑性に優れる硫化マンガン(MnS)を適量配合した、ステンレス系耐蝕・低摩擦焼結含油軸受「MnS配合ステンレス焼結含油軸受」を名古屋市工業研究所と共同で開発した。耐焼付性・耐摩耗性が優れており、同社ではすでに量産納入を開始している。



 一般的に、母材が青銅系や鉄系の焼結軸受では、固体潤滑剤として黒鉛(C)、二硫化モリブテン(MoS2)、鉛(Pb)などを配合するが、母材がステンレス材の場合に黒鉛や二硫化モリブテンを配合すると焼結時に化合物が生成され、硬度が母材より高くなり、相手軸への攻撃性が生じるため滑り軸受には適さない。また、潤滑剤として効果が高い鉛は、人体に有害な物質として世界的に使用が規制されている。



 そこで、NTNと名古屋市工業研究所では、母材をステンレス材とし、硫化マンガンを適度に配合した低摩擦ステンレス焼結含油軸受を開発した。摺動時に硫化マンガン中の硫黄により潤滑性・極圧性の高い膜が形成されるため、耐焼付き性・耐摩耗性に優れる。さらに、硫化マンガンは、ステンレス鋼中の酸化クロムによる不動態膜の形成を阻害しないため、耐蝕性に優れる滑り軸受となる。



 このMnS配合ステンレス焼結含油軸受は、腐食性環境下で問題なく使用でき、長時間にわたり低トルクを実現する。同焼結含油軸受はすでに、「IT機器」向けにステンレス製転がり軸受に代わって採用されている。



 対応する軸受内径寸法は、φ1から10mm。NTNでは、2年後に年間5,000万円の販売を目指している。