富士テクニカなど、自動車向け金型大手が政府支援で事業統合

 富士テクニカ( http://www.fujitechnica.co.jp )は9 月17 日、政府が出資する企業再生支援機構の支援により、宮津製作所から金型関連事業を譲渡する形で本年12月中に事業統合することを決定した。富士テクニカと宮津製作所は自動車向け金型でそれぞれ9.0%、5.2%の国内シェアを持つ業界2位、3位メーカー。今回の事業統合により、すでにタイ大手自動車部品大手メーカーのタイサミットの傘下にあるシェアトップ(同13.5%)のオギハラを抜き、最大手となる見込み。企業再生支援機構による支援終了予定時である2014年3月期には売上高約172億円、営業利益約6億円を目指す。

 富士テクニカは1957年の設立以来、国内外の自動車メーカーに自動車車体のプレス金型を製造・販売、業界ではいち早くCAD/CAMを導入するなど先進技術と職人技術の融合を図るとともに、品質向上のためのトライプレス工場や仕上げ工場の増築、顧客となる自動車メーカーの工場周辺への自社拠点の設置などを推進、ゼネラルモーターズなど米国ビッグスリーや欧州の自動車メーカーにも大量に金型を納入していた。2006年以降は北米市場や国内市場が低迷する一方で、中国など新興国の自動車市場が拡大すると同社も軸足を新興国市場、とりわけ中国に移したが、中国の旺盛な金型需要を背景に、豊富な資金力を有する中国地場企業が金型事業へ相次いで参入、価格競争に伴う金型製品価格の大幅な下落は、中国に留まらず世界市場に波及。こうした中同社は、高精度金型領域に追い込まれ、この領域でも主戦場となる中国市場で同業他社との熾烈な過当競争を強いられることとなり、経営が悪化していた。2009年度には、生産拠点の見直しを核とした人員の削減、グループ全役員・従業員を対象とした報酬・給与の減額などのリストラを実施するなどで2010年3月期には連結ベース、単体ベース双方で単年度黒字化を達成し、連続して当期純損失が生じる状況からは脱したものの、各自動車メーカーからの足元の受注状況がより一層厳しさを増す中、急激な円高基調の為替変動など外部要因の影響もあり、2010年3月期第1四半期の業績は厳しいものとなった。

 このため同社では、外部からの資本の受入れを含む財務基盤の強化と、日本の金型技術を結集し、技術優位性を生かした事業モデルを策定することにより、新興国の金型メーカーとの差別化と国内企業間の過当競争の解消を図ることが必要との判断から、同社と同様金型業界のトップメーカーである宮津製作所との事業統合を決めたもの。機構に対する第三者割当増資による約53億円の資金調達を行い、財務基盤と信用力の強化を図るとともに、機構から最大15億円の債務保証と経営人材派遣などで支援を得る。

 今回の事業統合に対して経済産業省では、企業再生支援機構に対し以下のとおり意見を提出していた。

(1)わが国の金型産業は、一昨年の世界同時不況以降の受注量の大幅な減少、アジア諸国の産業の急速な発展等による需要構造の変化など、大きな環境変化に直面している。そのため、日本の金型企業のうち、主要な二企業が経営統合を行うことは、極めて大きな意義を持つものと認識している。

(2)わが国が優れている品質・納期管理能力に加え、新興国に勝るコスト競争力を構築し、持続性ある雇用基盤の構築と、着実な再生が進展するよう措置されたい。

(3)経済産業省では、これを契機とし、経営統合後の会社が、わが国を代表する競争力を身につけ、飛躍的に発展することを期待している。他の金型企業ひいては他のものづくり企業においてもこうした取組が進み、わが国ものづくりの競争力の向上、さらには、日本経済の成長につながることを期待している。

 経産省ではまた、6月策定の「産業構造ビジョン」でも提唱しているとおり、産業再編や事業の棲み分けを後押しするため、規制、資金、人材・雇用面での阻害要因の除去と、起業・転業・事業再生を促す仕組みの強化を進めていきたい、としている。