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JFEスチール、打抜き加工性に優れた780MPa級高張力熱延鋼板がトラックフレームに初採用

クロスメンバーおよびエンジンサポートクロスメンバーおよびエンジンサポート JFEスチールは、トラックフレーム向けに開発した780MPa級高張力熱延鋼板「780SB」が、三菱ふそうトラック・バスの大型トラック「スーパーグレート」のトラックフレームのクロスメンバーおよびエンジンサポートに採用されたと発表した。

 トラックの骨格をなすトラックフレームでは、荷台の重量に耐える静的な強度と走行中に路面振動などから発生する繰り返し荷重に耐える動的な強度(疲労強度)の両立が求められる。疲労強度については材料の静的強度にある程度比例するが、トラックフレームの場合、多数開けられる打抜き穴の端面に応力が集中し疲労破壊するため、打抜き穴部の疲労強度低下の抑制が課題だった。

 今回採用された高張力熱延鋼板「780SB」は、ベイナイトと呼ばれる強化相を用いるとともに、打抜き穴の端面荒れを生じる組織の不均一性を大幅に低減することで、打抜き穴の疲労強度を向上させることに成功した。これにより、トラックフレームに対して、780MPa級の高強度材料を積極的に採用することが可能となり、軽量化(薄肉化)に大きく寄与している。

 また、組織の均一性を高めたことにより、上記の疲労強度のほか、部品のプレス加工時における各種成形性も向上し、曲げ加工を主体としたトラックフレーム、自動車の足回り部品など張り出しやバーリング加工を受ける難成形部品への適用も可能。

 これらの特性が評価され、三菱ふそうトラック・バスの大型トラックのクロスメンバーおよびエンジンサポートに採用され、当該部位における疲労強度特性の向上およびプレス品質の安定化が図られている。

 同社では「780SB」の量産体制を確立し、今後も引き続きトラックフレームや足回り部品への採用範囲の拡大を図るとともに、さらなる高性能な高張力鋼板の開発を行い、軽量化を図る。

採用された大型トラック「スーパーグレート」採用された大型トラック「スーパーグレート」