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日立金属、アモルファス金属製コアのリサイクルプラントを4月から本格稼働

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 日立金属( http://www.hitachi-metals.co.jp )は、アモルファス変圧器で使用されているアモルファス金属製コアのリサイクルプラントを島根県松江市に設置し、4月から本格稼働する。

アモルファス金属アモルファス金属 リサイクルプラントでは、アモルファスコアの破砕、磁選、洗浄、乾燥を行い、アモルファス金属の原料生産を行う。生産されたアモルファス金属の原料は、同社メトグラス安来工場(島根県安来市)で再溶解して利用することが可能であり、循環型ビジネスモデルを構築した。現在のアモルファス金属の需要は、中国をはじめ国内でも堅調に推移しており、リサイクルプラントで生産したアモルファス金属の原料は、全量を新しいアモルファス金属として出荷する。

リサイクルプラントリサイクルプラント 今後は、アモルファス変圧器の廃棄の本格化にあわせて、リサイクルプラントの能力を増強することを検討する。この取り組みより、省エネルギーなアモルファス変圧器の世界的な普及促進に努めるという。

 アモルファス金属は、結晶構造組織を持たない金属で、溶解した金属を結晶構造組織となる前に急速に冷やすことで生産する。優れた磁気特性や機械的特性を示すことから、電力配電用変圧器用コア、電子・電気回路用磁気コア、金属接合用材料として採用されている。同社は、このアモルファス金属のブランドである「Metglas」を世界に向けて展開している。

 同社によると、アモルファス金属をコアに用いるアモルファス変圧器は、電磁鋼板をコアに用いた変圧器と比較して待機電流の損失を約1/3に抑えることが可能で、省エネルギー化に取り組む北米や日本で採用が開始された。近年ではインフラ整備が急速に進む中国やインドで積極的に採用されている。日本国内の変圧器がすべてアモルファス変圧器に転換されると、その省エネルギー効果は、100万KWの発電所約2基分に相当すると試算されという。

 変圧器の寿命は20~30年程度であることから、約20年前から普及が始まった北米や日本で、アモルファス変圧器の廃棄が本格化する見込み。しかし、アモルファス金属製コアは、その化学成分のため、一般鋼材へのリサイクルが難しいという問題があったという。さらに機械的強度が高く、積層構造になっているため、一般的なスクラップ用リサイクル設備での処理もできなかった。また、環境問題への関心が特に高い日本では、リサイクルできないことがアモルファス変圧器普及の課題になっていた。