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三菱樹脂、製造コストを約半分に低減した新グレードの炭素繊維

三菱樹脂のピッチ系炭素繊維「ダイアリード」 三菱樹脂は、熱伝導性と剛性に優れるピッチ系炭素繊維の超高弾性グレードにおいて、炭素繊維1束のフィラメント(繊維)数を増加させ、その生産性を高めることで、製造コストを約半分に低減した新グレード「ダイアリード K13C6U」を開発、4月1日より販売を開始する。

 従来品は、人工衛星に搭載する電子機器の放熱部材などにその用途が限定されていたが、製造コストの大幅低減によって、軽量・小型化が進む航空機向け電子機器部材、ヒートシンク、LED部材、自動車部材への拡販を行っていく。

 炭素繊維には、ポリアクリロニトリル(PAN)系とピッチ系の2種類があるが、ピッチ系炭素繊維は、剛性(固さ)や熱伝導性に優れ、かつ熱膨張率がほぼゼロの製品を生産することができるなどの特長を有している。その一方で、高い剛性がゆえに二次加工でのハンドリングが難しく、また金属系材料やPAN系炭素繊維と比べて価格が高いことが、さらなる市場拡大における課題になっている。

 同社の「ダイアリード」シリーズにおいて超高弾性グレードに位置づけられている「ダイアリード K13C2U」は、最高クラスの剛性(引張弾性率900GPa)と、アルミニウムの約3倍となる600W/mKという優れた熱伝導率を有し、人工衛星に搭載する電子機器の放熱部材などに使用されてきた。しかし、ピッチ系炭素繊維においても非常に高価格な製品であることから、その用途をさらに拡げるためにはコストダウンが必須だったという。そこで、同社は、優れた剛性(引張弾性率900GPa)と熱伝導率(600W/mK)を維持しつつ、繊維1束当たりフィラメント数を従来の2K(2000本)から6K(6000本)へと3倍に増やすことで生産効率を高め、その製造コストを約半分に低減した新グレード「ダイアリード K13C6U」を開発した。

 同社は、三菱ケミカルホールディングスグループで、PAN系炭素繊維を扱う三菱レイヨン社とも連携しながら、炭素繊維事業の拡大を行っていく。