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第65回自動車技術会賞発表、守谷隆史氏(本田技術研究所)が技術貢献賞受賞

 自動車技術会は、自動車工学および自動車技術の向上発展を奨励することを目的に1951年より毎年実施されている「第65回自動車技術会賞」の受賞者を発表した。技術貢献賞では「燃料電池自動車および水素製造技術の進歩・発展への貢献」で守谷隆史氏(本田技術研究所)が表彰されるなど24件、81名が受賞した。

 守谷氏は、1990年代半ばから自動車用燃料電池の基礎研究をスタートし、2008年に世界に先がけて発表したセダン型FCVに搭載した燃料電池は小型高出力と発電安定性を高次元で両立した。さらに、燃料となる水素の製造技術開発にも取り組み、天然ガス改質型の小型水素製造システムや、太陽光発電を利用した完全CO2フリーの高圧水電解型小型水素充填装置の開発を主導した。これらにより、世界をリードする日本のFCV技術の進歩、発展に多大な貢献をした。

 受賞者・業績一覧は以下のとおり。

技術貢献賞

・守谷隆史氏(本田技術研究所)「燃料電池自動車および水素製造技術の進歩・発展への貢献」

浅原賞学術奨励賞

・喜久里 陽氏(早稲田大学)「数値シミュレーションモデルによる火花点火エンジンの熱効率向上に関する研究 ―ノック発生,熱損失および壁面内部の熱伝導特性を考慮した解析―」
・藤田昌弘氏(スズキ)「アノード酸化・封孔処理によるアルミニウム部品の耐食性向上技術の開発」
・山本修身氏(本田技術研究所)「NUMERICAL MODELING STUDY OF DIESEL EXHAUST CATALYST ON VARIOUS PRECIOUS METALS」
・五味智紀氏(いすゞ自動車)「トータルエンジンシミュレーションシステムを用いたピストン温度予測手法の開発」

浅原賞技術功労賞

・平野 豊氏(トヨタ自動車)「先進制御理論による車両運動制御開発および モデルベース開発手法の展開・啓蒙」
・杉原 毅氏(マツダ)「軽量高性能な車体構造の研究開発に関する永年の功績」

論文賞

・髙橋 晶士氏(三菱自動車工業)、菊池誠二氏(同)、岩知道 均一氏(同)、池田正憲氏(ユミコア日本触媒)、後藤秀樹氏(同)「ガソリンエンジンの排ガス浄化性能を向上する鉄触媒技術の開発」
・有光哲彦氏(中央大学)、戸井武司氏(同)、曺 浣豪氏(Korea Research Institute of Standards and Science)、穂垣周三氏(日産自動車)、中島洋幸氏(同)「自動車車室内における逆問題的接近法に基づく多領域音場制御」
・河村拓昌氏(トヨタテクニカルディベロップメント)、澤 紀彦氏(トヨタ自動車)「スポット溶接位置の確率的変動を考慮した応力評価手法」
・田中信壽氏(交通安全環境研究所)、森田和元氏(同)、青木義郎氏(同)、安本 まこと氏(同)、榎本 恵氏(同)「予防安全支援システム効果評価シミュレータ(ASSESS)による 夜間歩行者事故低減のための Adaptive Driving Beam の有効性評価」
・小坂英雅氏(豊田中央研究所)、守屋一成氏(同)、秋田智行氏(同)、後藤成晶氏(同)「フリーピストン発電システムの構築(第1報〜第2報)」
・岩瀬耕二氏(マツダ)、新部忠幸氏(同)、松岡 悟氏(同)「人の視覚特性の分析によるワイパーの払拭欲求発生要因の解明と払拭特性の考察」
・志茂大輔氏(マツダ)、角田良枝氏(同)、金 尚奎氏(同)、丸山慶士氏(同)、鐵野雅之氏(同)「予混合型ディーゼル燃焼による排気と燃費の低減(第3報)―モデルベース着火時期制御と多段噴射によるロバスト性の改善―」
・渡部 尚氏(本田技術研究所)、若生 宏氏(同)直井康夫氏(同)、中野政身氏(東北大学)「移動境界法CFDを用いた逆止弁自励振動メカニズム解析」
・平松 真知子氏(日産自動車)、寸田剛司氏(同)、小竹元基氏(東京大学)、鎌田 実氏(同)「一時停止交差点におけるドライバのヒヤリハット・リスク定量化手法の研究」

技術開発賞

・藤本公介氏(トヨタ自動車)、山下 実氏(トヨタ自動車研究開発センター(中国))、平野聡伺氏(トヨタ自動車)、加藤勝善氏(同)、渡邊 泉氏(同)「過給ダウンサイズエンジンでの異常燃焼抑制エンジンオイルの開発」
・波多野 邦道氏(本田技術研究所)、岡田周一氏(同)、大久保 直人氏(同)、松下悟史氏(同)、西岡 崇氏(同)「電動サーボブレーキシステムの開発」
・岡部昌規氏(本田技術研究所)、中沢孝治氏(同)、針生栄次氏(同)「燃料電池車向けスマート水素ステーションに適用可能な差圧式高圧水電解システム技術の開発」
・望月一磨氏(小糸製作所)、 松本昭則氏(同)、山道龍彦氏(同)、難波高範氏(同)、前田真平氏(同)「LED1灯式バイ・ファンクションプロジェクタの開発と商品化」
・川野健二氏(トヨタ紡織)、中川佳久氏(同)、新 知己氏(同)、村田義幸氏(同)、 柳田良則氏(同)「表皮一体発泡工法の特徴を生かした高フィット感シートの開発」
・土井淳一氏(マツダ)、丸末敏久氏(同)、鎌田真也氏(同)、三谷明弘氏(同)、坂 時存氏(同)「走る歓びと環境性能を両立する新型オートマチックトランスミッション」
・田崎祐一氏(日産自動車)、進木博之氏(同)、阿部 修氏(同)岡 弘和氏(日産車体)「後方視界を確認できるモニタとルームミラーを両立させた世界初のルームミラーモニタの開発」
・今東 昇一氏(デンソー)、酒井雅晴氏(同)、吉野悦郎氏(日本自動車部品総合研究所)三石康志氏(同)、栗山直久氏(同)「エコカーの空調性能を向上させる、小型高性能内外気2層送風機の開発」

技術教育賞

・狩野芳郎氏(神奈川工科大学)「ものづくりと座学をリンクさせたPBL教育の推進」