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第36回『チェーン・リアクション』

 ハイブリッド自動車の競争が激化する中、電気自動車、燃料電池自動車の開発も進められ、水素自動車も登場している。このうち、廃棄までを含む自動車のライフサイクルからは水素自動車が完成形とする見方もある。電気自動車が有害な物質を排出しないと言ってもリチウム電池の処理はどうするのかというわけだが、議論はさておき、今回は画期的な水素エネルギー発生装置開発に絡む陰謀に巻き込まれたエンジニアたちのサスペンス・アクションである。

 シカゴ大学のエンジニア、エディ(キアヌ・リーブス)らバークレー博士率いるプロジェクト・チームは、ほんのわずかなエネルギーで水を分解し水素エネルギーを取り出す装置「ソノ・ルミネセンス」の開発に成功、打ち上げパーティを終え、同じチームの物理学者リリー(レイチェル・ワイズ)を家に送りラボに立ち寄った彼は、バークレー博士の死体と激しく振動している装置を見る。装置の反応を停止できずバイクでラボを後にするエディの背後で、仕掛けられた爆弾が爆発し大量の水素に引火、ラボはもちろん一町画が吹き飛ぶ。罠にはめられたエディは容疑者としてFBIと謎の組織に追われながらも、事件の真相に迫る。

 作中、水素発生装置の反応が安定せず爆発を起こしそうなところを、自分のロフトで研究していたエディが、グラインダーで何かを削っている際の周波数が装置内の反応を安定させることに気づく、という場面がある。装置のキーとなる周波数をエディだけが知っているために謎の組織に追われるというわけだが、何を削っているのか、なぜ削っているのか、実に気になるところである。

 FBIに追い詰められたエディが跳ね橋が跳ね上がっていくところを駆け上がったあげく、橋の下の巨大な(高トルクの)ギヤに突っかい棒をして動きを止めるなど、「マトリックス」直後の作品ということもあり、正統派のSFというよりキアヌ・リーブスのアクションがメインの突っ込みどころ満載の映画である。