第124回 建設機械の省エネ化がグローバルで進展

komatsuハイブリッド油圧ショベル(提供:コマツ) 日本建設機械工業会が先ごろ発表した2010年の建設機械出荷額は、前年比59%増の1兆8,489億円と、2年ぶりのプラスとなった。中国をはじめ新興国向けを中心に輸出が2倍近くに急増、特に油圧ショベルが前年の2.1倍に増え、出荷額を押し上げた。そうした中、新興国向けを含めたグローバルでの建機の省エネ化が進んでいる。

建設機械におけるシール、作動油の省エネ化

 建設機械ではディーゼルエンジンを回して油圧ポンプを駆動し、油圧作動油をブームシリンダやアームシリンダ、バケットシリンダといったアクチュエータに送り、車体各部を作動させる。油圧作動油を用途別に見ると建機向けが5割強というから、油圧機器もまたその主要用途は建機と言えるだろう。油圧機器に使われるパッキンの某メーカーでは、業績がリーマンショック前の9割近くまで回復、生産をスリム化していたため受注の急増に対してうれしい悲鳴を上げているという。

kyb油圧シリンダ(提供:KYB) さて、油圧機器の省エネ技術を見ると、350気圧といった高圧シリンダにおいて、油圧作動油の密封性を高めつつ作動時の摩擦を少なくするPTFE製のシールリングと合成ゴム製Oリングを組み合わせたロッドシールなどが用いられている。シールの摺動面にダイヤモンドライクカーボンコーティングを施して、さらに低摩擦化し省エネ化につなげようという取組みも進められている。

 また、油圧作動油でも省エネ化が進められている。高粘度指数(高VI)基油と非金属系の添加剤を使うことなどで、低温における始動トルクが小さく動力損失を軽減できるほか、高圧・高温化でも配管詰まりの原因となるスラッジの発生を抑え、エネルギー損失を抑えることができるという。

油圧機器とモーターのハイブリッド化による省エネ化

 こうした油圧機器におけるメカニカルな省エネ化の取組みの一方で、油圧機器とモーターとのハイブリッド化による省エネ化も進められている。

 コマツでは先ごろ、新型ハイブリッド油圧ショベルを開発、すでに日本で販売を開始し今後は北米、中国、中南米、東南アジア、欧州などへも販売を拡大する予定だ。独自ハイブリッドシステムにより、車体旋回の減速時に発生するエネルギーを旋回電気モーターで電気エネルギーに変換してキャパシター(蓄電器)に蓄え、発電機モーターを通じてエンジン加速時の補助エネルギーに活用することで、大幅な燃料消費量の低減を実現する。また、必要な吐出量を確保しながら、日米欧の排出ガス規制に対応したエンジンの回転を低く抑えるエンジン・ポンプマッチング制御を採用、燃費効率の良いところでエンジン回転とポンプの吐出量をマッチングさせることで燃費低減を図るという。

 世界中の建設現場で使われる建設機械では、早くから生分解性の作動油を採用するなど環境対応への取組みがなされてきたが、さらに動力損失や使用電力を抑える技術的取組みが強まってきている。わが国の得意とする油圧ショベルなど建設機械において、わが国の誇る省エネ技術が搭載されることによって、建設機械の市場拡大が促進されるよう期待したい。