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第08回『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』

 京都市が、間伐材の燃料化に向けたモデル事業を10月から本格化するそうである。京都市域は7割以上が森林で、毎年230?240ヘクタールで間伐などの森林整備に取り組んでいた。間伐された木材をコースターなどに加工して販売するケースはあったが、使用量はわずかで大半は放置されていたという。間伐材の活用法を検討していた市は、粒状に加工した木材「ペレット」を燃料とする暖房器具やボイラーなどが一部普及していることに着目、間伐材燃料化のビジネスモデルを検討し始めた。加工コストや山からの運搬コストの問題から一般への普及は課題も多いが、木材の燃料は石油など化石燃料に比べ二酸化炭素(CO2)の排出が少なく、地球温暖化防止と森林整備を同時に狙える。大いに期待したい。

 このすばらしい取組みからマズい連想で大変恐縮だが、森林をダイナミックに伐採しながら車が進むシーンをスクリーンで観た。『インディ・ジョーンズ/クリスタルスカルの王国』である。物語はほぼ、エルドラドから500年前に盗まれたクリスタル・スカル、それを手掛かりに黄金郷にたどり着くまでの、インディらとソ連の非情な士官イリーナ(ケイト・ブランシェット)率いる秘密部隊とのチェイスに費やされる。米ソ冷戦の番外編である。

 この中で、ジャングルの木々を伐採しながら進むソ連のホイールソー(丸ノコ)車両が登場する。車の両側で巨大なホイールソーが高速回転して瞬時に大木をはらっていく。このほか、スプラッシュ・マウンテンみたいな水陸両用ジープなど、いろんなメカが出てくる映画ではあるのだが、追跡のためだけの森林破壊や、キノコ雲が上がる核実験、それに巻き込まれながら家庭用冷蔵庫に飛び込み難を逃れるインディ、しかもそれを演じている66歳のハリソン・フォードも痛々しい。

 20年前の前作、第3作までタイムリーに観ていた世代には、『インディ・ジョーンズ』もとうとうスピルバーグ/ルーカス流にSF映画になってしまったから、とあきらめきれない痛々しさである。勢いよく伐採した木材は、橋を作るとか、日本のウサギ小屋を作るとか、木炭自動車の燃料に使うとか、さらに先進的にはバイオマス燃料を作るとかに使われたと考えたい。もちろん、バーボンのグラスを載せるコースターでも結構である。